Kazuki Saito's

“チャンプ・カー北の国へ” 日本初・公道グランプリ開催への道! 第41歩>>市街地レースの必需品

12年前、身をもって体験したその重要性
ブロックとフェンスはFIAの審査が必要!
 みなさんからいただく市街地レースに関してのご質問で、やはり一番多いのが安全性に関することだ。中でも、「クルマが飛び出したりしませんか?」と聞かれることが最も多い。仮設でコースを作るだけに、その安全性がどれほどのものなのか、みなさん心配するのは当然のこと。だが1993年からチャンプ・カーのほぼ全戦を取材してきた僕は、コースからクルマが飛び出す事故を見たことは一度もなかった。
 ロング・ビーチは1975年に始まり、32年間そのような事故は皆無だったと社長のジム・マイケリアンも断言する。現在チャンプ・カーはロング・ビーチのほかにオーストラリア、デンバー、サンノゼ、トロント、ヒューストンで市街地レースを行っているが、もしそのようなアクシデントがあれば、大問題となっていただろう。
 FIAの規定で、コースの両脇には12フィート(約3.65メートル)のコンクリート・ブロックとフェンス(高さは2メートル〜3メートル)を設置しなければならない。このコンクリート・ブロックがどれだけ頑丈か、身を持って体験したことがある。1994年のオーストラリアで、デビューしたばかりのホンダ・エンジンを駆るマイク・グロフのローラが、真正面に突っ込んできた。バックストレートのシケイン通過に失敗したグロフは、恐らく200キロ以上のスピードだったはず。ブロックのすぐ後で写真を撮っていた天野さんと僕は、瞬間的にかがむしかなかった。もしブロックが壊れたりすれば、ふたりともアウト。ほんとうに恐怖の一瞬で、その後手が震えてしばらく写真を撮れなかったことを思い出す。
 コンクリート・ブロックの重さや接続方法など、すべてFIAの規定があり、これに準じたコースを作らなければ、レースはできないということをぜひ知っていただきたい。もちろん、チャンプ・カー・ワールド・シリーズのレースはどれもFIAのルールに則っており、毎レースFIAのオフィシャルが来てチェックしている。日本で開催する場合も必ずFIAの審査を受けなければならず、例外はありえないのでご安心を!

筆者近況
そろそろデモンストレーションに関する詳細を発表したいのですが、思いも寄らない展開となってしまい、先へ進むことができなくなってしまいました。ほんとうに予想もしていなかった状況で、現在、スタッフ全員で様々な方法を模索しています。これまで問題らしい問題はなく、思いのほか順調だったのですが、いざ色々なことが本格化したら、様々な障害が出てきたというわけです。なんとかしなければ・・・。
(オートスポーツ誌 2006年9月7日号に掲載)