Osamu Ishimi's

準備万端! 先行逃げ切りで3年ぶりの優勝を狙うペンスキー

画像第93回インディ500も33台のグリッドが決定し、いよいよ日曜日に決勝レースを迎えます。栄えあるフロント・ローは、ポール・ポジションを獲得したエリオ・カストロネベス。2番手にライアン・ブリスコーとペンスキーのワンツー、そしてこの両者に一歩及ばなかったチップ・ガナッシのダリオ・フランキッティが並ぶという、ほぼ事前の予想どおりになりました。

あまりにも鉄壁の予選結果に少々おもしろさが削がれるという感じでしたが、ペンスキーの強さに唖然というのも正直な気持ちです。ペンスキーはドライバーやチーム・クルーの風紀にも厳しいことで有名ですが、そのチームカラーの厳しさがマシンの仕上がりにも出ています。

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マシンの表面はいつも傷一つ無くピカピカ、モノコックに取り付けられるノーズやエンジン・カバー、そしてサイド・ポッドなどにも一切の歪みや隙間が無く、これぞレーシングカーといった圧倒的な美しいフォルムを見せています。これだけでもスピードが1マイル速いのは当然といった感じです。ポールポジションは至極当然なことなのかもしれません。全チームが同じシャシーを使っているのに、何故ペンスキーのマシンだけが別物に見えてしまうのか不思議というのが実感です。

このペンスキー・コンビはポール・デーで早々にワンツー・グリッドを決定し、翌日のセカンド・デー・クォリファイの合間に行われたプラクティスからは、早速2台で交互にドラフティング走行を始める余裕のプログラムを行っていました。これにはもう一つの優勝候補チームであるチップ・ガナッシも、遅れを取ったという感じが否めません。

ペンスキーの誉めちぎりですが、スタートと同時に2台で逃げる作戦を採ってくることは間違いないでしょう。このスタートで2台のペンスキーに3番手グリッドのダリオ・フランキッティや2列目のグラハム・レイホール、スコット・ディクソン、そしてトニー・カナーンが割り込むことが出来ればペンスキーの緻密な戦略にも狂いが生じ、レースは面白い展開になるのですが……。今のところストップ・ザ・ペンスキーが他チームの合言葉みたいなものですね。

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それと台風の目は何と言っても今年KVレーシングに移籍したマリオ・モラエス。予選はポール・デーで7番手グリッドを獲得し、プラクティスでも常にトップコンテンダーとして名前を連ねるなど、底知れぬ勢いを感じました。インディ500ではスポット参戦するベテランのタウンゼント・ベルとポール・トレイシーがチームメイトになりましたが、レギュラードライバーとして先輩の追従を一度も許さないというところも圧巻。未知数な部分が多くクラッシュしてしまう可能性も高いのですが、恐れを知らないイケイケの走りでレースを引っ掻き回してくれると思います。何と言っても怖いもの知らずという強さが彼の“売り”でしょう。ひょっとして驚く結果になるかもです。

−ニューシャシーに翻弄されたAGR武藤英紀−

ポール・デーでバンプ・アウトされる憂き目に遭い、セカンド・デー・クォリファイで16番目のグリッドを獲得したAGRの武藤英紀。今回のインディ 500からニュー・シャシーを使用しているのですが、この新しいマシンがどうにも上手くセッティングが決まらず悪戦苦闘していました。

チームメイトのダニカ・パトリック、トニー・カナーン、そしてマルコ・アンドレッティがそれぞれポール・デーでグリッドを獲得したにもかかわらず、武藤英紀だけが脱落。これには本人も相当ショックだったようで、これほど落ち込んでいる武藤選手を見たのは初めてのことでした。

その後のプラクティスでもセッティングが好転せず、一進一退の状態が続き「大丈夫かな?」と我々メディア関係者も心配することが多かったのですが、バンプ・デーの合間に行われたプラクティスでトラフィック走行を繰り返し行い、何度となくオーバーテイクするシーンも見られるようになりました。

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武藤選手も「大丈夫、今年は昨年よりもいいマシンが作れました」と力強いコメント。ようやく納得できるセッティングに辿り着いたようで、武藤選手にも笑顔が戻り、一安心といったところです。

キーポイントは序盤でトップ・グループの中に食い込むこと、そしてピットストップでミスを犯さないこと。この2点が実行できれば武藤選手にも必ずチャンスが巡ってくるはずです。アスリートでもないのに生意気ですが、長年生きてきたオジサンの助言として「勝つというイメージを持つことが大切」ということを武藤選手に伝えさせていただきました。再び「頼むぞ武藤」の心境です。