NASCAR

『CarNo.01 Yokoso! Japan TOYOTA』初戦デイトナで無念のリタイヤ

<VERTEX SPORTS>
<2009.2.7 フロリダ州 デイトナビーチ>
現地時間2月7日(日本時間2月8日)、デイトナインターナショナルスピードウェイにて、デイトナレースウィークのオープニングレース 『2009 ARCA RE/MAXシリーズ』 の第1戦 『Lucas Oil Slick Mist 200』 決勝レースが行われた。 本レース後にNASCARのスタードライバーが勢揃いするエキシビションレース 『NASCARBudweiser Shootout』(注1) が開催されることもあり、午前中から続々と観客がサーキットに集まり会場はますます盛り上がりを見せた。

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抜けるような青空の下、気温も摂氏20度近くまで上昇し夏の日差しさえ感じられる午後3時過ぎ、決勝レースに向け全車がピットロードに並べられた。 ドライバー紹介に引き続き、ピットロードではドライバーのマイケル・アネット(Michael Annett)が全米を網羅するケーブルテレビネットワーク、SPEEDチャンネルからレース直前インタビューを受ける一方、観光庁及び日本政府観光局(JNTO)が推進する 『ビジット・ジャパン・キャンペーン』 ガールが浴衣姿で登場しマシン横で花を添えると、その姿が全米に向け映し出され周囲の注目度も期待も高い。

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スタート前のセレモニーが終わり観客の興奮がますます高まった午後4時すぎ、各車一斉にエンジンに火が入れられ次々とピットロードからコースへ飛び出して行く。 緊張が最高潮に達した午後4時15分ちょうど、グリーンフラッグが振られ80周の決勝レースが始まった。 スタートはローリングスタート(注2)、スタート直後から各ドライバーの駆け引きが始まる中『CarNo. 01 Yokoso!Japan TOYOTA』 は順調な滑り出しを見せ、1 周目を終えたところの順位は6位。 昨日の予選タイムより1秒近く早いペースで周回を重ねる。 レース序盤の緊張が少しとけはじめた12周目、先頭集団後方に位置するCarNo.81のマシンが突如白煙を上げクラッシュ。 結果、他7台をも巻き込むアクシデントとなり11周にわたりイエローフラッグ(注3)が振られ、80周のレースは早くも波乱含みとなった。

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19週目、クルーチーフのマイク・アブナー(Mike Abner)よりタイヤ交換と給油のためピットインの指示が出される。クルーの見事なチームワークにより数秒のみのストップでコースに戻った『CarNo.01 Yokoso!Japan TOYOTA』は、ピットインにより16位にまで順位を落としたが、未だイエローフラッグが提示される中引き続き慎重に周回を重ねる。ペースカーがコースを離れグリーンフラッグが振られた22周目、一気にスピードを上げた『CarNo.01 Yokoso!Japan TOYOTA』は驚異的なペースで周回重ねるごとに順位を上げ、19周目には11位までポジションアップするがその瞬間、ターン4進入で悪夢が起こる。

CarNo.19のマシンが集団の中のハイスピードに持ちこたえ切れず他車に接触、コントロールを失ったマシンはコーナー壁にクラッシュし、『CarNo. 01 Yokoso!Japan TOYOTA』を含む15台ものマシンを巻き込んだ決勝レース最大のアクシデントとなった。 幸いどのドライバーにも怪我は無く何台かのマシンはピットイン後コースに戻ったものの、残念ながら 『CarNo. 01 Yokoso!Japan TOYOTA』 が受けたダメージは大きく、そのまま戦列を離れる事になった。 その後もレースはさらなる波乱の展開を見せ、最終的にチェッカーフラッグを受けたマシンは、走台数43台中僅か22台のみという大荒れに荒れたレースとなった。

■チームオーナーコメント (Shigeaki Hattori)
今日の敗因を運のせいにしたくないので自分なりに冷静に分析すると、予選までの低い気温からレース当日の高い気温にマシンのセッティングを合わせきれず、他の上位チームより早めに1回目のピットを行う事になり集団の中に入ったのが1つの原因だと思います。ただピットでの調整後はマシンも本来のスピードを取り戻し、すばらしいペースで順位を上げていたのでとても残念です。 レースは結果がすべてですが、それに至るまで自分自身がどれだけ妥協をしないでベストを尽くせたかと言うプロセスの部分も僕は大切にしたいと思っています。その意味では時間のない中、チームが1つにまとまり、参戦1年目の昨年よりいい仕事が出来たと思っています。
レースが終わり改めて今回のプロジェクトを振り返って見ると、この様な世界経済の中、アメリカにおける自動車レースの国技とも言われるNASCAR と、その下部団体であるARCA に対し、日本国政府がレースをPR の場として活用する事により、アメリカ国内のモータースポーツを側面から支援していると言うイメージをアピールできた意義は大きかったと思いました。その結果、レース協会及び一般のレースファンからとてもいい形で受け入れられましたし、それが日本と言う国にも興味を持つきっかけになって行くのではないかと思います。これを機会にアメリカと日本との架け橋となる様なサポート活動にもレースと同様にチャレンジして行きたいと思います。
最後になりましたが今回のプロジェクトの為、ご尽力下さいましたすべての皆様に対しお礼申し上げます。ありがとうございました。

■ドライバーコメント (Michael Annett)
1度目のピットでの調整でマシンは練習走行の時と同じハンドリングにもどりハイペースで上位まで上がっている時だったので残念すぎて言葉がありません。これもレースだと思いますが勝てるマシンとエンジンを手にしていて、この様な形でレースが終わる事にとてもフラストレーションが溜まっています。

■チーフクルーコメント (Mike Abner)
シゲアキやスタッフがこのレースに向け、どれだけのハードワークをこなして来たか知っていましたので何とかいい成績を出したいとチームメンバー全員が思っていたのでとても残念です。悪い予感は当たるものでレース前にシゲアキと上位にいる経験の足りないドライバーの話をしていたのですが結果的にその選手のクラッシュに巻き込まれてしまいました。決勝レースまでのいい流れを持続出来れば勝つ自信があったのでとても悔しいです。

注1: NASCAR の頂点に位置するスプリントカップシリーズのエキシビジョン的レース。シリーズ争いのためのポイントはつかないものの、過去のシリーズ勝者によって争われるためスタードライバーが一堂に会し、お祭り的イベントとして毎年多くのファンを集めている。

注2:モータースポーツにおいて、スタート前の準備周回の後ホームストレートに停止せず、そのまま加速しスタートする方式のこと。
注3:モータースポーツにおいて、コース上でトラブルが起こった際に振られる黄色の旗。イエローフラッグが提示されている間は他車の追い越し
禁止となる。