Interview

武藤英紀選手、出身地である東京都中央区の矢田美英区長を表敬訪問

<US-RACING>
長いオフシーズンも残りわずかになったインディカー・シリーズ。2週間後には合同テストも控えていて、いよいよ2009年のインディカー・シリーズが本格的に動き出します。今かいまかとシーズン開幕を待ちわびているファンの方に、今回は武藤英紀選手の最新情報をお届けします。

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現在、武藤選手は日本に帰国していて、トレーニングの真っ最中とのこと。2年目に向けて着々と準備を進めている武藤選手が、2月9日、出身地である東京都中央区の区役所を訪れ、矢田美英区長を表敬訪問しました。

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昨年も表敬訪問をしている武藤選手ですが、実は矢田区長との関係はそれだけにとどまらないことが今回の訪問でわかりました。矢田区長は武藤選手が二十歳になった際、中央区の“成人のつどい”で成人代表挨拶を依頼したことや、武藤選手の母親がPTAの会長をしていた当時、武藤選手がレーシング・ドライバーになることをとても心配していたというエピソードを紹介。武藤選手は少々照れながらその話を聞いていました。

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二人が座っていた後ろには中央区を写した航空写真のパネルがおいてあり、写真を見ながら武藤選手の通っていた小学校などを指差して、その当時の思い出話をするなど、10分ほどの談笑を楽しんでしました。

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武藤選手がインディカーに出るまでは、自動車レースにあまり関心がなかった矢田区長ですが、今では武藤選手が出ている新聞記事を全てチェックするそうで、区役所内でもインディカーが話題になるほど、武藤英紀とインディカーの認知度が向上したそうです。

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武藤選手は「インディ・ジャパンまでの1勝と、インディ・ジャパンでの優勝を狙います」と今年の抱負を述べ、矢田区長からは「今年も区をあげて応援します」と激励を受けました。「優勝した時には銀座をインディカーでパレードさせてください」というビックリするような武藤選手のお願いにも、矢田区長は「いろいろ検討したいと思いますよ」と前向きな応え。もしかすると武藤選手の銀座パレードが実現するかもしれませんね。

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最後に、昨年武藤選手が乗った27号車のミニカーにサインをして矢田区長にプレゼント。「一番目立つところに飾っておくよ」と矢田区長はとても喜び、硬い握手を交わしてまたの再会を約束しました。

表敬訪問が終わったあとには10分ほどの囲み取材が行われました。その模様もお届けします。

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Q:「今回地元の中央区を表敬訪問されたということで、中央区は武藤選手にとってどんな街ですか?」

武藤英紀(以下:HM):「とても住みやすいところだと思います。僕にとってはまだ多くの友達が中央区内にいますから、アメリカから帰ってきたときはすごくリラックスできますし、知り合いのレストランやお寿司屋さんに行くのが楽しみなんです。馴染み深い場所なので、みなさんもぜひ一度は訪れて欲しいですね」

Q:「アメリカの住まいはインディアナポリスからシカゴに移ったそうですが、新居のご感想は?」

HM:「すごく良いですね。周りに日本人の方が多いですし、いろいろなジャンルの人たちと知り合いになれることは新鮮です。また、そういう人たちにもレースを観に来てもらえるよう、交流を深めています」

Q:「オフ・シーズンはどのような過ごし方をしていたのですか?」

HM:「まず、1月13日に全ドライバーの体重測定があり、その体重によって積むウェイトの量がかわるということで、有利になるように体重を増やしていました。今はやせるために体を動かしていますよ」

Q「増やすということは、もんじゃ焼きをたくさん食べたりしたのですか?」

HM:「そう言うとキレイにまとまるんですけど、残念ながらまったく食べてません(笑)。炭水化物を多めにとって、体重測定の前には水を3.5リットルぐらい飲んで挑みました」

Q:「体重はどれくらい増やしたのですか?」

HM:「8キロぐらい増えました」

Q:「気になる体重測定の結果はどうなったのですか?」

HM:「昨年よりも10ポンド(4.5キロ)軽くすることができます。たった4.5キロですが、レーシングカーではこれが大きな差になるんですよ」

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Q:「体重測定のあとはかなり走りこんでいるそうですね」

HM:「そうですね。今は一生懸命になって体を動かしています。毎日走りこんだり、ウェイト・トレーニングをしています。またあさってから福岡で合宿をやってきますよ」

Q:「トレーニングでは具体的にどのあたりを鍛えているのでしょうか?」

HM:「上半身で言えば、背中周りですね。昨年のレースで疲労感があったところがありますので、背筋やそうぼう筋を鍛えて、有酸素運動を欠かさずやっています」

Q:「開幕までのトレーニング・メニューが決まっているわけですね?」

HM:「はい。体力面はもちろん、英語でのメディア対応も上達したいので、英語の勉強も昨年以上にやっています。エンジニアやチームメイトとのコミュニケーション上達にも役立つと思いますね」

Q:「オフはかなり忙しそうですね」

HM:「毎日、何かしらやることがあります」

Q:「インディカーはコストを上げないためにテストが少ないようですね」

HM:「特に今年は少なくなっています。レース前に2回しかテストがないので、みんな同じ条件でもありますが、不安はあります」

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Q:「アンドレッティ・グリーン・レーシングに体制の変更はありましたか?」

HM:「チーム内のエンジニアの変更は多少ありましたが、僕のマシンを担当している人たちは昨年とまったく同じ体制ですので、やりやすいと思っています」

Q:「昨年はルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝きましたが、武藤選手自身の反省点は何かありますか?またそれをどう活かして今年に臨むのでしょう」

HM:「昨年は予選の調子が良かったのですが、レース中は台数が多いトラフィックのなかでの課題が多くありました。トラフィックに対処できれば上位でフィニッシュできると思います。また昨年はピット・インする前後の周でタイム・ロスが多かったです。オーバルでは1秒の違いが非常に大きな差になってしまいますから、アウトラップとインラップにかかるタイムを縮めていきたいですね。走行時間が限られていますので、データと向き合うためにパソコンとにらめっこする時間が多くなると思います。走行後のデータをエンジニアとじっくり見直してレースに臨みます」

Q:「今シーズンは経験がないコースがロング・ビーチだけになりますが、昨年と比べて気持ちに余裕は持てるのでしょうか?」

HM:「2年目でコースを知っているということは大きいと思います。ただ、僕よりも経験豊富なドライバーがたくさんいますので、また新たな気持ちで取り組むのが大事だと思いますね。ロング・ビーチに関しては、エンジニアが移動用のトラックのなかに作ったシミュレーターでコースを覚えたりしています。それが活きてくればいいと思います」

Q:「スケジュールの変更にともなって、インディ・ジャパンが秋になりました。インディ・ジャパンに向けた準備が入念にできそうですね」

HM:「昨年は最初のオーバルのレースがインディ・ジャパンだったので、9月になったことで、時間ができたことはうれしいことですね。9月までのレースをしっかり戦って、良い状態でレースに臨めると思います。日本に戻ってくる前に、最低でも1勝はしていたいです」

Q:「モータースポーツが取り巻く環境が厳しくなっていますが、武藤選手の目標などに何か影響はありましたか?」

HM:「目標は変わらないですね。最終的にF1に乗るというのが目標です。中学生に観たF1をきっかけにレースをはじめたので、その目標は変わっていません。ただ、まず今年はインディカーに乗れているチャンスを活かしたいと思います。暗いニュースが多い中で、僕が明るいニュースを届けたいですね」

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Q:「最後にファンへのメッセージをお願いします」

HM:「昨年はルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得できたので、今年はチャンピオン争いがベストですが、それよりもまずはインディジャパンの前に1勝して、インディ・ジャパンでも優勝できるように光る走りを見せたいと思います。応援よろしくお願いします」

2年目のシーズンを前に、やる気十分な武藤選手から飛び出した優勝宣言。昨年の経験を活かすことができる今シーズンに、大きな飛躍を期待しましょう。まずは開幕前の合同テスト(マイアミ・ホームステッド・スピードウェイ)が2週間後の2月24日〜25日に控えています。US-RACINGでは現地からテストをレポートしますので、お楽しみに!!