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第9戦テキサスでディクソンが今季2勝目、佐藤琢磨は16位完走で貴重なデータを得る

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インディ500に続く今シーズン2度目のオーバルを制したのは、スコット・ディクソンでした。ロング・ビーチに続く今季2勝目で、通算では37回目の勝利となります。コーションが一度限り、しかもコース上の破片を取り除くだけでアクシデントが皆無だった今回。平均速度191.940mphの新記録が達成されました。
 
前回のデトロイトではタイヤとピットインの判断が勝負を決めましたが、このレースで最も興味深かったのは、各マシンのエアロ・パッケージの組み合わせでした。勝ったディクソンと2位トニー・カナーンのチップ・ガナッシ・レーシングの二人はダウンフォースを増やすため、リア・バンパーの上にロード・コース用の「トップ・フリック」と呼ばれるウィングを装着していました。
 
一方、ガナッシのマイク・フルによるとペンスキー勢は「10%ダウンフォースが少なかった」そうで、ポール・ポジションのウィル・パワー、序盤にリードしたサイモン・パジノウ、途中でレースをリードしたファン・パブロ・モントーヤはトップ・フリックを装着せず。同じペンスキーでもエリオ・カストロネベスは、外側にだけこのパーツを付けて3位表彰台獲得をしたのです。
 
2008年にもテキサスを制していたディクソンは、「序盤はひどいアンダーステアだった」と語っています。しかし太陽が沈んで気温が低くなるにつれ、「フロント・ウィングや空気圧の調整でバランスが取れた途端、レールの上を走っているようだった」と言うほど、マシンはよく走ってくれたそうです。
 
予選7位からのスタートでしたが「今回のレースのカギは、トラフィック(渋滞)の中でクルマが素晴らしかったことだ」とディクソン。「去年はトラフィックの中でもがいて、うまく走れなかったのが、今晩のクルマはトラフィックの中でとても良く、どこでも必要なところでパスすることができた。タイヤの落ち込みもうまくマネージメントできたし、中盤以降はかなりの部分で全開だった」
 
気温が高い中では今ひとつのクルマでも、気温が下がってくるのに合わせて快調になるセッティングだったのでしょう。もちろん、うまく合わせていけるディクソンとチームの総合力が重要で、ペンスキ―の中でもオーバルの経験が豊富なカストロネベスとモントーヤだけがついていけました。マシンに苦しんだポールのパワーは4周遅れで、今一歩ベテラン勢にはかなわないといった感じです。
 
トップと同一周回のクルマが5台だけとなった今回、その最後に滑り込んだのがマルコ・アンドレッティでした。6位のカルロス・ムニョスもそうで、アンドレッティ・オートスポーツの二人はホンダ・エンジンの燃費にかけ、シボレー勢が5回のピットに対して4回で走り切りきったことで上位に進出しました。
 
シボレー勢全体を見ても装着が分かれたリア・バンパー上のウィングですが、ほとんどのホンダ勢はスーパースピードウェイ用の小さなウィングではなく、ロード・コース用のウィングを付けてレースに臨んでいました。佐藤琢磨は今回のレースに臨むにあたり、「スタートして早く夜になるのを待っていました」と語っています。
 
「日が沈んで路面温度が下がるとタイヤのグリップが上がりますし、空気密度が増してダウンフォースも増えるというのを見越したセットアップだったんですけど、夜になる前に非常に車が滑ってしまって、スティントの中でタイヤをマネージメントできない状態でした。アンチロールバーも両極端に右から左まで全部使う状態で、日が沈んだら逆にオーバーステアが出始めて、ダウンフォースを減らす方向でした」
 
スピードが高いオーバルで、思うように走らないクルマほど、辛いものはありません。「厳しかったです」と琢磨はレースを振り返ります。「アンダーもオーバーも出て、冷やりとする場面もあったし、神経を使い過ぎたというか、最後は疲れましたね。ただ、メカニック達が精一杯の仕事をしてくれて、無事にゴールまで運んだことで、結果は良くなかったですけどもここから学んで次に進みたいと思います」
 
最終的にトップから5周遅れの16位になりましたが、何度も周回遅れにされながらもゴールを目指すシーンは、前回の2位表彰台と同じぐらいの価値があったと思います。今回は新しいエアロ・キットを装着しての初レースでした。途中でジャック・ホークスワースがリタイアしたこともあり、ここで得られたデータは同じキットを装着するフォンタナやポコノで、必ずや役に立つことでしょう。(斉藤和記)
 
●決勝リザルト

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