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第10戦トロント【決勝】フォト・レポート

<US-RACING>

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カナダの大都市トロントの市街地を制覇したのは、ダリオ・フランキッティでした。ポール・シッターのフランキッティは、スタートで後ろの数台が絡む中、後続との差を2秒まで広げてリード。24周目に最初のピット・インを行った際、ホイールの装着に手間取って出遅れ、先行を許してしまいました。しかし、2度目のピットは偶然コーションと同じタイミングとなり、上位へ復活。65周目にグリップを失いかけていたカストロネベスをパスしてリードを奪い、みごとポール・トゥ・ウィンに輝きました。「戦略で良いタイミングを見つけたみたいだね。最初のスティントの終盤にはかなり苦戦していたよ。レッド・タイヤのグリップがすぐに減ってしまって、すごく大変だったんだ。そして途中のスティントで遅いクルマに引っかかった。マリオ・モラエスの後ろでパスしようとしていたけど、彼の走りに安定性がなくて動きが予測できなかったから、パスできなくて大変だったよ。イエロー中のピットではなんとか数台パスして、そこからハードに走り始めた。ガナッシのマシンはリスタートでほんとうに速くて、かなり大きな差をつけることができたんだ。またこうやって優勝できてすごくうれしい」と10年ぶりのトロント制覇を喜ぶフランキッティ。シーズン3勝目で、キャリア11勝目となりました。ランキング・トップに返り咲きです。

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2位でフィニッシュしたのは、トロント初参戦のライアン・ブリスコーでした。11番グリッドからスタートしたブリスコーは、1周目にタイヤをカットされてすぐに22番手まで転落したものの、優れたピット戦略により、徐々に追い上げていきました。65周目に目の前のクラッシュをうまく避けて2番手に上昇。その後ブラック・タイヤだったブリスコーは、レッド・タイヤでトップを走行していたフランキッティに離されたのですが、2位をしっかり守ってフィニッシュしました。「かなりタフな一日だったよ。1周目のターン3で後ろから突っ込まれて、タイヤをカットされてしまった。そのせいでかなり後ろのほうに下がっちゃったよ。このレースの直前に大きな変更をしてみたんだ。うまく行くかどうか分からなかったけど、ひたすら祈っていた。実際はクルマがすごく良い感じで、速いラップを重ねることができた。パッシングが多くて、かなり楽しいレースになったね」とブリスコー。ここ6戦中5回も2位フィニッシュとなっていますよ。

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3位に入ったのは、なんとブリスコーのチームメイト、2007年のトロント覇者ウィル・パワーでした。2番グリッドでフロント・ローからスタートしたパワーは、スタート直後のターン1でリア・タイヤにグラハム・レイホールのフロント・ウィングが接触し、コーナーを曲がりきれずにエスケープ・ゾーンへ進入。最後尾まで後退したのですが、ものすごい勢いで次々とマシンをパスし、みごと表彰台フィニッシュとなりました。「クルマが横に滑って、グラハム・レイホールのフロント・ウィングにぶつけたと思うんだ。最初から周回遅れになりそうだったよ。その後気が付いたんだけど、ルールではレッド・タイヤで2周走しらなればいけなかったから、もう一回ピット・インして最後までレッド・タイヤを履かなければならなかった。最終的にすごく良い結果になったね。このレースを楽しめたよ。これだけ多くのクルマをパスしたのは初めてかもしれない」と久しぶりのレースを振り返ったパワー。ブリスコー同様4回もピット・インしています。今シーズン4戦目となったパワーは、2回目の表彰台フィニッシュとなりました。

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8番グリッドと、予選で少し遅れたスコット・ディクソンでしたが、チームメイトのフランキッティ同様マシンが好調。最後のスティントで10番手から4位まで追い上げてフィニッシュしました。「クルマはすごく良い感じで、今日は調子が良かった。ほんとうにたくさんのクルマをパスできたね。ピット・クルーもがんばったよ。クルマは満足しているけど、結果は良くなかったね。ピット戦略でちょっと厳しい展開になったと思う。イエロー・コーションが出てきたときは、だいぶ後ろのほうで、前に行けなかったよ。全体的には良い一日だった」とディクソン。5戦連続のトップ5フィニッシュを獲得しているディクソンですが、チャンピオンシップ・ランキングで、チームメイトのフランキッティに2点差でトップを奪われてしまいました。

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先週ビッグ・チームを倒して、シーズン初優勝を飾ったジャスティン・ウィルソンは、4番グリッドからのスタートで安定した走りを見せたのですが、今回はそのビッグチームに一歩及ばず、5位でフィニッシュしました。「今日はまあまあ良い結果だったね。すごくタフなレースだったので、生き残るのが大変だったよ。なんとかポイントを稼ぐことができた。レースはうまくいくときもあるし、うまくいかないときもある。そんなもんだよ。ウィル・パワーとバトルしていたとき、彼が先行したけど、その後完全にブロックしていたね。先週僕らはペンスキーとガナッシをつぶしたから、今日はある意味彼らがリベンジできたんじゃないかな?」と今日の結果を分析したウィルソンは、シーズン5回目のトップ5フィニッシュです。次戦エドモントンでの活躍も楽しみですね。

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今週末調子が出ず、苦戦していたAGR勢の中で、ダニカ・パトリックは18番グリッドからスタートしました。クルマが相変わらず不調だったものの、うまい戦略とアグレッシブな走りにより、残り20周の時点で4番手に躍進。70周目に2ポジションを失ったものの、なんとか6位でフィニッシュしました。「このストリート・コースではかなりアグレッシブに走らないとダメみたい。今日はかなりハードに走っていたわ。後方からスタートしてここまで戦ってきたの。クルーがピットで素晴らしい仕事をして、我々の戦略は正解だった。最後から2番目のリスタートでは抜かれたけど、そのとき燃料をセーブしようとしていた。状況を考えると、素晴らしい結果になったね。ファンのみんながこうやって集まってきたのはほんとうに感謝しています。来年も楽しみ」とAGR勢トップとなったパトリック。今シーズン第2戦ロング・ビーチでは4位となり、再び市街地コースでの実力を見せてくれましたね。

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初日からセッティングに苦しみ、最後列となる予選22位のグリッドからスタートした武藤英紀は、我慢にがまんを重ねて12位でフィニッシュしました。最初のフル・コース・コーションでピット・インせず、11番手までアップしたものの、グリップしないマシンに限界を感じて17周目にピットへ。ここで再び20番手に順位を落とします。しかしタイヤを替えても一向にマシンのグリップは回復することなく、ついに周回遅れとなってしまった武藤。忍耐力が試される展開となったレースで、最後まで走りきって得た12位でした。ターン1で撮影していたのですが、マシンを思うように走らせることができず、苦労している様子がよくわかりましたね。よく最後まで走ったと思います。おつかれさま!

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「今までの人生の中で、こんなにグリップしないクルマは初めてでした。昨日まで良くなかったから、朝のウォームアップでは足まわりを大きく変えたんですが、それでうまくいったので、さらに変更したら違う方向へいってしまったようです。毎回同じラインを通れないし、壁にも一回当たりましたね。ハンドルもめちゃくちゃ軽くて、接地している感じがまったくなかった。最初のコーションで『ピットしたい』って無線で伝えたんですが、『ステイアウト』って返事で残ることになり、案の定抜かれまくりましたね。その後タイヤをプライマリーからレッドに替えても良くならず、初めてですね、レース中にクルマを止めたいって思ったのは。このままじゃ絶対にクラッシュすると思っていましたが、最後まで走りきることができました」

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15番グリッドからスタートしたホームタウン・ヒーロー、ポール・トレイシー。62周目に3番手まで上がっていたトレイシーでしたが、ペース・ダウンしていた2番手のカストロネベスをパスしようとして接触。無念のリタイアとなってしまいました。地元ヒーローをクラッシュさせたカストロネベスは、大勢のトレイシー・ファンにブーイングされていましたよ。焦ったカストロネベスは、「こういうシチュエーションは初めてかもしれないけど、間違いなく、カナダはまだ大好きだよ」とかなりショックを受けていたようです。リタイアしたあとピットに戻っていたトレイシーは、大勢のカナダ人ファンの寄せ書きが集まったレーシング・スーツを披露。ファンはお金を寄付すると、このレーシング・スーツにサインできるみたいです。集まったお金は、負傷した兵隊のチャリティ団体に寄付されます。「ここカナダで走ることがオレにとってすごく大切だ。いつもこのファンのみんなからサポートをいっぱいもらっている。わが国の兵隊のために募金ができて、誇りに思っているんだよ」とトレイシー。先週に続いてのリタイアとなってしまいましたが、今回は40歳になってもまだ上位で戦えることを証明しましたね。

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トレイシーと同じカナダ人で5番グリッドからスタートしたアレックス・タグリアーニは、スタート直後に2番手へジャンプ・アップしました。25周目から9周に渡ってトップを走行し、その後48周目にトレイシーとワンツーを形成、地元ファンが大盛り上がりとなりました。ところが、75周目にブレーキング・ミスでトーマス・シェクターとマリオ・モラエスを巻き込んでクラッシュ。なんとかコースに復帰できたのですが、そのクラッシュでリタイアとなったシェクターの怒りが爆発。なんと現場に戻ってきたタグリアーニに、グローブを投げつけたのです。9位フィニッシュとなったタグリアーニですが、インディ500同様、今回も大きな注目を集めました。次戦のエドモントンではどんなシーンを見せてくれるでしょう。

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今日は朝から快晴となったトロント。朝のうちは気温14度と少し肌寒い感じでしたが、レースがスタートすると気温は24度まで上昇しました。レース中は雲が出てきて太陽が顔を出したり隠れたり、といった天候になりました。天気も良かったので、サーキットには昔のようにファンが集まり、インディカーの開催になったレースを楽しんだと思います。ただ、2006年に最後に行ったときよりも、観客は少なかったような気がします。母国出身のトレイシーがリタイアしたときは、ファンのショックも大きかったのですが、マシンから出てくると大きな拍手で迎えられていました。次戦のエドモントンもカナダの開催となるので、タグリアーニ、トレイシーの活躍に期待しましょう!