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インディカー・シリーズ 第11戦 ナッシュビル【決勝】フォト&レポート

<US-RACING>

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大雨によって171周で終了となったレースは、雨を味方につけたスコット・ディクソンがナッシュビル3連覇を成し遂げた。予選アタックが不利な2番目だったことで、5番グリッドに沈んだディクソンだったが、スタートからハンター-レイ、武藤、パトリック、カナーンを次々に捉えると、55周目にはトップのカストロネベスまでかわしてリードを奪う。だが、90周目にバック・マーカーを抜きあぐね、その隙にカナーンの先行を許した。カナーンとの差が広がっていた139周目、稲光を放っていた雲から雨が落ち、上位陣がピットへ。ところがディクソンはチームとの連絡がうまくいかず、コースに取り残されてしまう。この時点では絶対にもう一度ピット・インする必要があったため、不運なトラブルといえたが、166周目に恵みの雨が降り出し、そのままレースは171周で終了。ディクソンは不運から一転して、今シーズン4勝目という大きな幸運を手にした。「ピットに入れなかったときの数周は頭にきたね。でもまた雨が降ってくるのが分かって、もしかすると上手くいくかもしれないと思ったんだ。チームとって最高の夜になったよ」と喜ぶディクソン。エナジャイザーの特別カラーでの無敗神話は今回も生きていた。

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6番手スタートのダン・ウエルドンが2位に入り、チップ・ガナッシはIRL通算4度目のワンツー・フィニッシュを達成した。優勝したディクソンとは対照的に、スタートからうまく順位を上げることができなかったウエルドンは、ディクソンと同じく148周目にピット・ストップを行わなかったことで、7番手から2番手に浮上する。レースが再開されるとディクソンにはついていけなかったものの、雨が降り出したことでポジションを守りきった。「正直に言って、今夜のマシン・パフォーマンスは2位を獲得できるようなものではなかったんだ。でも時には、ラッキーが正しいと思ってやったことを上回ることがあるようだね」とウエルドン。今日のワン・ツー・フィニッシュと雨はエナジャイザー(ディクソンの特別カラーのメインスポンサー)のおかげかも知れない」と冗談まで言っていた。

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ポール・スタートのエリオ・カストロネベスは、またしても勝利を逃す3位フィニッシュ。スタートからリードを保ち、バック・マーカーが現れても無理なオーバーテイクを仕掛けず、絶妙なライン取りとスピード・コントロールでパトリックを抑え込んでいたが、同じ手はディクソンに通じず、55周目にトップを明け渡すことになる。ここでレコード・ラインを外れたため、一気に失速して続けざまにカナーンやパトリックにもかわされた。パッシングが難しいコースのため、5番手から順位を上げられなかったカストロネベスは、152周目のリスタートで意を決し、やや強引にパトリックとカナーンをかわす。その16周後に雨が降ったことで、3位から順位を上げることなくレースが終わった。「僕達の望んでいたレースではなかったよ。特にこのフィニッシュはね。ガナッシの2台はあと4周ぐらいで、燃料が切れるとチームに聞かされていたから、もう2分あとに雨が降ってくれれば優勝できただろう。でもチャンピオンシップにとって、3位は十分な結果だよ」と残念がるカストロネベス。またしても今シーズン初勝利がお預けとなった。

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今日のレース最多となる59周をリードしたトニー・カナーンは、雨の影響を被り、4位でレースを終えた。90周目にディクソンを捉えると、アグレッシブにバック・マーカーをかわすことでリードを拡大。カナーンの走りは優勝を十分に感じさせるものだったが、139周目に降りだした雨が全てを台無しにした。雨がすぐに止んだことでレースが再開されることから、当然のごとくレースの残り周回数分の燃料を補給すべくピットへ向かったカナーン。他の上位陣も同じ作戦を取っていたが、チームとの連携ミスがあったチップ・ガナッシ勢だけはコースに留まる。レース・リーダーは3番手で隊列に復帰するも、152周目のリスタートではカストロネベスにかわされ、そのままなす術なくレースが終わり、悔しさだけが残った。「あの時ピットに入るのは正しい選択だったよ。誰も雨が降ることを予想できなかったはずさ。僕はチームを100%支持する。雨が降ったことは不運だったんだ」と強調するカナーン。彼にとって今日一番の敵は、神のみぞ知る天候だった。

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自己ベストの予選3位を獲得した武藤英紀は、スタートでディクソンにかわされるが、序盤はトップ4を守っていた。ところが55周目、ピット・タイミングを間違えてスローダウンしてしまい、ここで大きく後退する羽目となる。ピットでウイングを立てて挽回を狙うが、順位は一向に上らず、逆に96周目でラップ・ダウンにされてしまう。結局序盤のミスが最後まで響き、2ラップ遅れの14位でフィニッシュ。昨年インディカーを初めてテスト・ドライブした次戦のミド-オハイオでは、ここ3戦続いた苦戦を払拭するレースを見せて欲しい。

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「タフなレースでしたね。最初のピットでタイミングを間違えてしまいました。僕が思っていたよりも後だったんです。このせいで上位に進出するチャンスがなくなったと思います。雨が降ってレースが短くなったのは関係ないですね。でも、このレースから学ぶことはたくさんありましたから、来週のミド-オハイオに向けて準備します」

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レース・スタートからわずか3周で、マルコ・アンドレッティと接触してリタイアとなったライアン・ブリスコー。ツー・ワイドで並んだところ、インサイドのアンドレッティが急にバランスを崩し、ブリスコーに突っ込んできた。ハーフスピンしたマシンはリアからウォールに激突したが、致命傷には至らず、自走でピットまで戻ってくる。チームはなんとか修復してブリスコーをレースに復帰させようとするが、レースは1時間30分後に終了し、コースに戻ることは叶わなかった。「ここ数戦は不幸の連鎖が続いているようだね。ほんとうに不運だよ。エリオのセットアップを参考にしたから、上位が狙えると思ったのに・・・」と落ち込むブリスコー。第6戦ミルウォーキーで初優勝を遂げたが、思わぬアクシデントに巻き込まれることの多いジンクスはまだ続いているようだ。

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「完全に僕のミスだよ」とブリスコーとのアクシデントを振り返るアンドレッティ。「ルーズになってブリスコーに突っ込んでしまったんだ。チームやブリスコーには申し訳ないよ」。この日の午後アンドレッティは、ナッシュビルから約1