INDY CAR

武藤英紀、初の母国レースで11位フィニッシュ

<Formula Dream Indy>
<2008 IRLインディカー・シリーズ 第3戦もてぎBridgestone Indy Japan 300 mile>
【日 程】2008年4月17〜19日(予備日20日)
【開催地】栃木県芳賀郡茂木町
【コース】ツインリンクもてぎ
【距 離】オーバルコース:1.5マイル(2.414km)
【天 候】20日:くもり/気温16.6℃
<1日遅れのスタート>
 IRLインディカー・シリーズ第3戦「ブリヂストン インディジャパン 300マイル」は、予選が行われる予定だった金曜日に夜遅くまで大量の雨に見舞われた。長時間に渡って降り続いた影響で、決勝日である土曜日になってもコース上の一部に水が染み出し続け、シリーズ主催者のIRLは安全なレースコンディションが確保できないと判断。決勝は1日順延されて、日曜日の開催となった。
<難しいコンディションでのレース>
 午前11時、くもり空の下でレースはスタート。気温は低く、風も強く吹き荒れていた。2日間、いっさいの走行がなかったコースはグリップレベルも低い状態。エンジニアたちはセッティングに頭を悩ませ、ドライバーたちはライバルだけではなく、難しいコンディションとも戦わなければならなかった。
 気温も路面温度も低いコンディションのため、武藤英紀はフォーメーションラップでタイヤを温めようとマシンを左右に振って走行した。そのときにステアリングを急に切り過ぎたのが原因か、レースがスタートすると左フロントタイヤにできたフラットスポットによって強いバイブレーションが発生。マシンの振動は腕に強い負担をかけたが、武藤はできる限りのペースを保ち、1回目のピットストップまで走り続けた。
<ピットアウトでペースカーと交錯>
 武藤がピットへと滑り込み、タイヤ交換と燃料補給といった作業を受けている間にフルコースコーションが発生。コースへと戻ろうという時、右後方からチームメイトのトニー・カナーンが並びかけてきた。そして、この瞬間にペースカーが武藤の目の前に現れた。
 ペースカーを追い越してよいのか一瞬迷った武藤の耳に、無線で「ゴー、ゴー!」という指示が飛び込んできた。即座に武藤はアクセルを踏んだが、ここでリヤタイヤがグリップを失い、イン側へとスピン。左側のウォールに接触してフロントウイングを破損してしまい、武藤は1周遅れに陥った。
 ピットに戻ってフロントウイングをノーズごと交換してレースへ復帰。ここからはピットタイミングをトップグループのタイミングからずらす作戦を繰り返し、リードラップへ戻ることを目指した。
<最後のピットでは燃料を十分に補給できず>
 その後、レース展開が武藤に味方することはなく、トップから1周遅れのままレースは進んでいく。しかし、最後の最後にチャンスは訪れる。143周目にトップグループがピットイン。全車があと1回のピットストップを行い、給油をしなければゴールまで走り切れない状況となったのだ。
 104周目に給油していた武藤は、最後のピットストップを158周目に行った。もうゴールまで燃料の心配をする必要がないばずだったが、燃料ホースを引き抜くタイミングが早過ぎ、計算よりも3ガロン少ない給油でピットアウトしてしまった。
 ゴールまで20周を切ったところで、武藤に燃費セーブの指示が飛んできた。トップグループに何ら遜色ないペースを保っていた武藤だったが、そこからは大幅なペースダウンを余儀なくされた。もう1回ピットストップを行えばさらに
順位を落とすことになるからだった。
<今シーズンのオーバル初完走>
 やむを得ないペースダウンによって武藤は結局11位、トップから1周遅れの199周でフィニッシュした。1回目のピットストップの後のスピン、最後のピットストップでの燃料補給、ミスがふたつ重なったことで上位フィニッシュのチャンスを逃してしまった。しかし、レース中のペースの速さで武藤は大きな自信を手に入れ、チームもセッティングに対する手応えをつかんだ。ブリヂストン インディジャパン 300マイルは、武藤たちにとって次戦カンザスからの戦いに大きな弾みをつけるものとなった。
■■■コメント■■■
<武藤英紀>
「ミスはあったが、レース中のラップで次に弾みのつくレースだった」
「ピットアウト後にトニー・カナーン選手と並び、目の前にはペースカーがいて、ペースカーを抜くかどうか躊躇した後でアクセルを全開にし、左側の壁にヒットしてしまいました。あれは僕のミスでした。マシンの仕上がりはとても良く、スタート直後はタイヤにフラットスポットがあったためにペースが上げられませんでしたが、その後はとてもいいラップを刻めていました。戦略を立て直して何度もリードラップに戻ろうとしたのですが、レースが自分たちにとってうまい方に展開しませんでした。
 最後のピットストップでは予定より3ガロンほど少ない燃料しか補給できず、燃費をセーブする走りにならざるを得ませんでした。このふたつのミスがなければ、勝つこともできたレースだっただけに悔しいです。しかし、今日のレースでは本当に多くのことを学びました。11位という結果は納得のいくものではありませんが、難しいコンディションでレースを戦い抜いたこと、レース中のペースが速かったこともあり、絶望的な11位ではありません。来週のカンザス、そして、それ以降のシーズンに向け、自信をつけることができました」
<レイ・ガスリン:レースエンジニア>
「レースを通して高い競争力を示し、今後のレースにつながる一戦だった」
「走行時間が少なかったので、セッティングをどうするか、非常に難しかった。しかし、我々のマシンはとても安定したパフォーマンスを発揮していた。ピット出口でのアクシデントは、ペースカーがあのような場所を走るべきではなかったと思う。あそこで1周遅れにはなったが、その後のヒデキのペースはトップグループと同等か、それ以上という素晴らしいものだった。最後のピットストップで燃料を十分に補給できなかったミスもあり、上位でフィニッシュできなかったが、レースを通してのペースは高い競争力を持っていた。来週のカンザスは今回とはまったく異なる性格の1.5マイルオーバルだが、きっと良いレースを戦えると信じている。そして、その次のインディ500を非常に楽しみにできるレースを我々はもてぎで戦えたと思う」
■■■決勝結果■■■
1.5マイル(2.414km)×200周=300マイル(482.803km)    出走18台
順位 No. ドライバー     タイム    平均速度mph(km/h)
1位  7  D.パトリック    1:51’02.6739  164.258(264.348)
2位  3  H.カストロネベス     +5.8594  164.114(264.116)
3位  9  S.ディクソン      +10.0559  164.011(263.950)
4位 10  D.ウェルドン      +13.1116  163.936(263.829)
5位 11  T.カナーン       +16.0731  163.863(263.712)
11位 27  武藤英紀         1周遅れ  162.951(262.244)
※全車シャシー:ダラーラ/エンジン:Honda/タイヤ:ファイアストン
■■■ポイントスタンディング■■■
順位 No. ドライバー     ポイント       ビハインド
1位  3  H.カストロネベス     112        リーダー
2位  9  S.ディクソン       100          -12
3位  7  D.パトリック       98          -14
4位 11  T.カナーン        89          -23
5位 10  D.ウェルドン       85          -27
9位 27  武藤英紀         59          -53