INDY CAR

松浦孝亮、ショートトラックでの激戦を戦い抜き9位に

<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2005 IRLインディカー・シリーズ第7戦「サントラスト・インディ・チャレンジ」
日程:6月24〜25日
開催地:バージニア州リッチモンド
コース:リッチモンド・インターナショナル・レースウェイ
距離:0.75マイル (1.207km)
■■■6月25日決勝■■■
天候:晴れ 気温:28℃ 時間:20:00〜(日本時間:26日9:00〜)
<超高速バトルの次は超テクニカルバトル>————————–
IRLインディカー・シリーズ第7戦サントラスト・インディ・チャレンジは、リッチモンド・インターナショナル・レースウェイで土曜夜に開催された。第6戦テキサスに続き、リッチモンドもナイトレース。そして、テキサス同様に多くのファンがスタンドを埋めてのレースとなった。 前戦のテキサスが1.5マイルオーバルでの超高速バトルなのに対して、リッチモンドは全長0.75マイルのショートトラックでのテクニカルな戦いである。IRLインディカー・シリーズのオーバルコースはどれもユニークな特徴を備えており、それぞれが難攻不落のサーキットとなっているが、リッチモンドはその中でも最もテクニカルな難コースとされている。
<予選11位という難しいグリッドからのスタート>—————————-
松浦孝亮は予選で11番グリッドを獲得した。バックストレッチのグランドスタンドの向こうに夕日が傾く中、午後7時50分にフォーメイションラップはスタート。気温は決して低くはないが、決勝日も予選日同様過ごし易い天候である。コース全長が短いリッチモンドとあって、いつもより長い5周のウォームアップランの後、大歓声の中で250周のレースはスタートした。松浦が駆るパナソニックARTA/パノス・Hondaは、上位グループで十分に戦えるだけの仕上がりが期待されていたが、序盤のハンドリングはオーバーステアで、なかなかポジションを上げて行くことができなかった。しかし、ピットストップで給油だけを行なう作戦、フルコース・コーションでピットストップを行なわない作戦などが功を奏し、いったんは周回遅れに陥りながらも挽回し、松浦はレース終盤を迎えてもトップと同一周回を保つことができていた。
<マシンをセッティングしながら戦い抜いた250周のサバイバルレース>—-
序盤の松浦はダレン・マニング、トーマス・シェクターらとバトルを続けながらトップ10を争い、レースの折り返し点となる125周目の順位は1周遅れの14位を走行していた。しかし、146周目に出されたフルコースコーションでピットインしなかったことでトップと同一周回へと復活。ブライアン・ハータ、トーマス・エンゲらと12位前後を争い続けた。
ポジションを守り、あるいはひとつでも上のポジションを目指す戦いを続けながら、松浦はコクピットでウェイトジャッカーとロールバーを操作し、ハンドリングがベストとなるセットアップを探していた。レースも終盤に入ると、アクシデントによるリタイアも増えて行き、松浦の順位は着々と上がって行った。そして残り1周で切られた最後のリスタート、松浦は8位を奪い取るべくハータにアタックを仕掛けた。残念ながらオーバーテイクはできなかったが、無事チェッカードフラッグを受け、松浦は9位を手に入れた。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
「自分の成長を感じることができた一戦だった」
「プラクティスや予選のポジションよりも上位の9位でフィニッシュできたという意味では今日の結果には満足しています。クルマを壊さずにこのレースを終えられたのもよかったと思います。リッチモンドのレースは本当に難しくて、ベテランドライバーでも実際クラッシュしていましたが、僕らはちゃんとフィニッシュできました。昨年よりも大分落ち着いてレースを戦うことができました。もう少し良いレースをするためには、あとちょっとオーバーテイクのしやすいクルマに仕上げていかなくてはダメですね。今日は路面のコンディションの変化によってなのか、レース中に常にハンドリングが変化していました。ウェイトジャッカーやロールバーをコクピット内で操作して、ハンドリングを良くしようとがんばったおかげで、最後にはかなり良いクルマになっていました。最後の残り1周でのリスタートではブライアン・ハータをアウトから抜きに行きました。抜き切ることはできませんでしたが、クリーンなレースをハータと戦えました。ああいう戦いができるところまで自分も成長できたのかな、と感じています。ジョン・ウォードというエンジニアとのレースは今回が初めてでしたが、自分(松浦)の意見とエンジニアの意見を足して2で割る戦い方を彼はしてくれます。レース中のアドバイスも多くて、とても勉強になると感じながら走っていました。今後のレースでは、ジョンに言われなくてもクルマの調整ができるようになろうと思います。彼はドライバーを育ててくれるエンジニアですね。自分が成長して行くのを感じられるので、レースをやっていて本当に楽しかったです」
<ジョン・ウォード レースエンジニア>
「コウスケとの互いの理解のための大きな成果を得ることができた」
「今回初めてコウスケとレースを戦ったが、お互いの理解のための大きな成果を得ることができた。コウスケは良いレースを戦っていたと思う。今回、我々は彼に勝てるマシンを用意することができなかった。今日のデータを基に今後セットアップの向上を目指すつもりだ。コウスケはとても良いドライバーだと改めて感じることができた週末でもあった。今日も路面のコンディションは変化し続けていたようだった。コスウケはコクピット内でできるセッティングの変更を繰り返したことで、最後にはまずまずのマシンに仕上げることができていた。今後は彼との協力体制をさらに深めて行く。次のカンザスシティでは必ずや、今回以上のレースを戦うことができるはずだ」
<サイモン・ホジソン チームマネジャー>
「来週のカンザスでコウスケはさらにいい戦いを見せてくれるはずだ」
「コウスケはスタートからゴールまで懸命にトライを続けていた。クルマは序盤、ハンドリングがニュートラルに過ぎ、大きくスライドしていた。タイヤの内圧が低かったのか、本来のグリップを発揮するまでに時間がかかってしまい、これがポジションを下げる結果となっていた。タイヤがグリップするようになってからは、コウスケも自信を持って走ることができていた。リッチモンドのコースは全長が短いため、ドライバーはとても忙しい。ポジション争いをしながら、難しいコースと格闘し、さらにマシンの調整も続けなくてはならない。コースのコンディション変化もレースを通して大きい。そうした状況下で、クルマをどうすべきか、コクピット内での操作は何を行なうべきか、いろいろと考えるのは本当に難しい。そこで生きて来るのが経験だ。自然にクルマを操作して、ベストのハンドリングを実現して行く戦い方がここでは求められる。だからベテランがリッチモンドでは速い。今日はエンジニアのジョン・ウォードからコウスケにいくつものアドバイスがレース中に出されていた。エンジニアリングに関する会話はジョン・ウォードが直接行なっていたが、とてもスムーズに進んでいた。新しい体制はその1戦目から早速効果を発揮したと考えていいだろう。最後はブライアン・ハータにアウトからのパスを仕掛けていた。結局はターン2でスペースも時間もなくなってオーバーテイクし切れなかったが、あのチャレンジは良かった。今回のレースでコウスケはさらにドライバーとしての自信を深めたはずだ。来週のカンザスでは、今まで以上に強力な戦いぶりを見せることができるはずだ。ジョン・ウォードも良いマシンを用意してくれるものと期待している」
<エイドリアン・フェルナンデス 共同チームオーナー>
「チームとしてステップアップを果たせたレースだった」
「ジョン・ウォードがコウスケのエンジニアを務めることになって初めてのレースで、自分も今回からコウスケのピットでレースを見ている。僕としてはドライバーの立場からコウスケをサポートして行く。レースでのコウスケはクルマの状態をレポートし続けていた。それはとても良いことだと思った。ただ、今回はリスタートでのクルマが強くなく、オーバーテイクのチャンスを数多く作ることができずにいた。それでも、今日与えられたクルマでコウスケは良いファイトを戦っていた。今後もさらに多くのことを学び、ドライバーとして、そしてチームとして実力を高めて行くことができればいい。そうすれば、近い将来に望むリザルトを手にすることができるはずだ。レース中のセットアップ変更はとても難しい。特にリッチモンドは走るだけでも大変なコースだ。コウスケのショートトラックでのパフォーマンスは向上している。そして、新体制も効果を発揮した。チームとして1段高いところへとステップアップを果たすことができたと思う。本当の効果はレースを重ねることより引き出される
だろう」