オーストラリアの空に光り輝くサザン･クロスは、この国のシンボルとして国旗にも描かれている。
今日、新たなスターが快晴となった金曜日のサーファーズ･パラダイスに誕生した。オーストラリア人唯一のドライバーであるウィル･パワー(#5オージー･ヴィンヤーヅ･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が、16年の歴史を持つレックスマーク･インディ300において、地元出身のドライバーとして初めてチャンプ･カーの予選を制した。パワーは2.795マイルのストリート･コースを1分31秒403で駆け抜け、2度のシリーズ･チャンピオンで昨年のサーファーズ･パラダイスの覇者である、セバスチャン･ブルデイ(#1マクドナルド･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)から初日のポールを奪って見せた。
パワーはゴールド･コーストでのレースをフロント･ローからスタートする初めてのオーストラリア人ドライバーとなり、金曜予選をリードしたことでチャンピオンシップ･ポイントを獲得。ロシュフランズ･ルーキー･オブ･ザ･イヤーのポイント･ランキングは、ダン･クラーク(#14CTEレーシング‐HVMフォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)に対し、その差を8ポイントに広げている。
パワーはセッションの序盤から強さを発揮し、3周目に早くもタイム･チャートのトップへ躍り出た。通常のチャンプ･カーの予選セッションがそうであるように、序盤のリーダーはシリーズ･ランキングの上位ドライバーのタイム･アタックによって後退する。パワーもブルデイが12ターンあるストリート･コースの3周目にマークした自己ベスト･タイムで、すぐに2位へ下がってしまった。
再びパワーは戦線に復帰して暫定ポールを奪い返すが、ブルデイも即座に次の周でパス。パワーはこのチャレンジに応じるように次の周で暫定トップに立つが、またもやすぐにブルデイと彼のニューマン/ハース･レーシングのチームメートである、ブルーノ･ジュンケイラ(#2ホール･イン･ザ･ウォール･キャンプス･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)にかわされてしまった。
セッションの中盤にアンドレアス･ワース(#19サニーズBBQフォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)のストールしたマシンを排除するため、レッド･フラッグによりセッションが中断。全ドライバーがこの日の最終スティントに向け、レッド･オルタネート･ブリヂストン･ポテンザに交換するチャンスを得た。
最終スティントは14台のマシンがコース･インし、タイヤの温度が上がるとともにタイムが短縮されはじめた。ブルデイは今日の自己ベスト･タイムとなる1分31秒774をマーク。すぐにA.J.オールメンディンガー(#7インデック･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が、ブルデイのタイム塗り替え、1分31秒677で暫定ポールの座に着くが、それも長くは続かなかった。
パワーが11周目にスタート/フィニッシュ･ラインを駆け抜けたとき、ポール獲得タイムをマークし、その後、オールメンディンガーのクラッシュによってセッションが2分早く終了したことで、チーム･オーストラリアは歓喜に包まれた。オールメンディンガーがターン7のウォールに激しくヒットしてセッション終了を2分早め、他のドライバーからパワーを下すチャンスを奪っただけでなく、彼自身の2番手ポジションまで犠牲にしてしまった。今シーズン5勝を挙げているこのドライバーは、レッド･フラッグを出したことによるペナルティーを受け、最速タイムを抹消、最終順位で5位に後退した。
ブルデイはパワーの後ろの2位につけ、ブルーノ･ジュンケイラは1分32秒265を記録して3位に入った。2005年オーストラリアのポールシッターであるオリオール･セルビア(#6ガルフストリーム･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は4位で終え、オールメンディンガーとネルソン･フィリップ(#4ウェルボックスCTEレーシング‐HVMフォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、それぞれ5位、6位となった。
ルーキー･ポイント･リーダーを追うクラークは7位に終わり、アレックス･タグリアーニ(#15オージー･ヴィンヤーヅ･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)、マリオ･ドミンゲス(#8ぺメックス･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)と、アントニオ･ピッツォニア(#18レキシントン･エネルギー･サービス･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)のロケットスポーツの2台がその後ろに続き、ここまでがトップ10となる。
全18台のうち、様々な要因のため今日の予選を走行したのは14台に留まり、日曜日のスターティング･グリッドは予測もつかない結果となるだろう。ライアン･ブリスコー(#10ルースポート･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、予選前プラクティスでのアクシデントのため走行せず、ポール・トレイシー(#3インデック･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、午前のセッションで同じくアクシデントに見舞われ、彼のフォーサイス･チームは午後を修復作業に費やした。
ジャスティン･ウイルソン(#9CDWフォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、予選前プラクティス中に手首を傷めてしまい、走行することが出来なかった。彼はこの不参加によって2006年のシリーズ･チャンピオン争いに留まる機会を失い、事実上チャンピオン争いから脱落したことになる。キャサリン･レッグ(#20ベル･マイクロ･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)はエンジン･トラブルによってセッションを走行しなかった。彼女は今朝のプラクティスを走行していたが、18人中15位であった。
日曜日のレックスマーク･インディ300の最終グリッドは、明日の現地時間午後2時から始まる第2予選で決定する。レース･ファンはチャンプ･カー･ワールド･シリーズの公式ウェブ･サイト www.champcar.ws にあるレース･ディレクターを通じて観戦が可能だ。
トップ3インタビュー
ウィル･パワー： 「ああ、ほんとうに最高の気分だよ。ブラック･タイヤでコース･インして良いタイムが出ていた。それからピットで待機してレッド･タイヤに履き替え、これならもっとグリップするとわかった。マシンはまだ理想的ではなかったけど、かなりハードにプッシュしていたんだ。そして僕たちはポール・ポジションを獲得した。週末を通してコースに留まり、明日はもっと速く走って本物のポール･ポジションを確定させたいね。明日を楽しみにしているよ」
セバスチャン･ブルデイ： 「最初のシケインでとても危ない瞬間をかいくぐったんだ。クラッシュするかと思ったけど、うまく切り抜けられた。でも、それが僕の最速ラップだったね。僕とクレイグ(ハンプソン)はオルタネート･タイヤに履き替えることを決めて、ピットに戻ったことが良かったようだ。良いラップを走れたね。ターン1の進入に関してもう少しマシンのアジャストをやってみるよ」
ブルーノ･ジュンケイラ： 「レッド･タイヤは少しだけ良い感触だけど、うまく活かしきることが出来なかったんだ。こんなことで無駄にしてしまったのだからイライラしたよ。でも、たぶん4周目より3周目が速いと思うんだ。確かに彼らは速かった。グリップが高まるから、明日は1つでも前のポジションを狙っていくよ」
主な注目のポイント
ウィル･パワーは日曜日のレースのフロント･ロー･スタートを確定させ、サーファーズ･パラダイスのチャンプ･カー･イベントでオーストラリア人トライバー･ベストのスタート･ポジションを獲得した。パワーは昨年も出場しており、そのときは11番手グリッドだった。
パワーがオーストラリアでフロント･ロー･スタートを確定させ、ダン･クラークはロード･アメリカでポール･ポジションを獲得し、ルーキーがチャンプ･カーのレースで連続してフロント･ローからスタートするのは、2003年にセバスチャン･ブルデイ(ロード･アメリカ)とライアン･ハンター･レイ(ミド‐オハイオ)が、記録して以来のことになる。