Roger Yasukawa's

奇抜なデルタウイングのシャシーだけど・・・

画像いよいよ来週はバーバー・モータースポーツ・パークでIZODインディカー・シリーズ(IICS)の合同テストが行われます。今シーズン戦うことが決まっているドライバーが、初めてコースに勢揃いすることになりますね。まだフル参戦のシートが確定していないドライバーは、きっと今週が修羅場なのではないでしょうか。
 
僕はちょうどインディ500の営業活動で日本に戻ってきているのですが、今日は雪が降っていて東京は寒い! しかしそんな寒さを吹き飛ばすような、日本のモータースポーツ・ファンにとってホットなニュースが飛び込んできました。佐藤琢磨選手がインディカーに参戦することが発表されたのです!
 
琢磨選手は日本での人気も高いので、IICSの日本での人気向上に繋がると期待しています。その反面、動向が気になるヒデキですが、本人はすでにアメリカに戻り、着々と準備を進めているみたいです。来週のテストまでには発表を期待したいところですね! ヒデキもがんばれ!!
 
さて、今回のコラムでは最近話題となっている2012年以降のIICSで使用されるマシンのコンセプトや、シリーズへのシャシー提供を狙う4社のマシンについて、各社が発表しているデザインに基づいて僕の考えを書きたいと思います。
 
ご存知のとおり、インディカーはF1と違って毎シーズン新しいシャシーが誕生するわけではありません。現在使用しているシャシーは、僕がデビューした2003年に登場。このシャシーは2011年まで9年間も使うことになるので、さすがに次のシャシーに関しては、かなりモダンなルックスが求められます。それは2012年にモダンと思えるものではなくて、そこから10年経ってもカッコ良いマシンでないと。要するにモダンというよりも、未来的なデザインに仕上げないといけないのです。
 
今回新しく選ばれることになる車体メーカーへは、シリーズから様々なルールとコンセプトに適合する必要項目が与えられました。まず一番重要なポイントとしては、安全なマシンを作ることです。特にオーバル・レースでは350km/hオーバーで常に戦っているので、壁にぶつかって大破してもドライバーが安全であることが最優先されます。
 
その次に重要なポイントとしては、コストパフォーマンスが良いことです。クルマに付属するパーツの数を減らし、マシンの値段を下げることによってチームの負担を減らすと同時に、新規参戦を検討中のチームにも初期コストを低くすることができれば、より多くの参戦台数を確保することが可能です。
 
その他にも新シャシーはアメリカ製で、できればインディアナ州で生産されることとあり、地元の産業を活性化させたいという狙いが見えます。デザイン面ではタービュランスにあまり影響されず、軽量化してさらに空気抵抗が少ないモダンなデザインでありながら、環境保護も考慮されていることが必要条件となっています。
 
それでは具体的に4社のデザインを分析してみましょう。現在IICSにシャシーを提供しているダラーラ社と、以前CART時代に戦っていたローラ社とスイフト社に関しては、チャンプカーのような雰囲気の現実性の高いモダンなデザインを提案。
 
●Dallara

画像

●Lola

画像

●Swift

画像

 
さらに、未来をイメージさせるコンセプト・マシンといった複数のデザイン案が発表されました。
 
●Dallara

画像

画像

●Swift

画像

 
現在使用されているダラーラのマシンは、まだIICSがオーバルだけで戦っている時にデザインされていたので、ロードや市街地に適したマシンだとは言えません。そこで、すでに様々なシャシーを開発してきた実績のある3社としては、ロード/ストリートとオーバルの両方のコースで対応できることを考慮した結果、かつてのチャンプカー的なルックスになったのだと考えられます。
 
4社の中でもっとも斬新なのが、デルタウイング。長年チップ・ガナッシ・レーシングの開発エンジニアをしていて、元ローラのチーフ・デザイナーだったベン・ボールビーがデザインと開発を担当し、衝撃的なマシンを発表しましたね。シカゴ・オートショーで画像が公開された時は、僕自身もマシンを見て“えっ・・・?!?”って驚きましたよ。
 
●DeltaWing

画像

画像

 
フロント・ウイングは無く、フォルムはまるでジェット機のようなデザイン。フロント・タイヤのトレッド(幅)は現在のマシンよりも24インチ(約610mm)狭くなり、リア・タイヤのトレッドは70インチ(1