新年あけましておめでとうございます。みなさんの年越しはいかがでしたか? 僕は知人の家でカウントダウンし、2010年を良い雰囲気で迎えることができました。残念ながら今年のレース活動の予定が決まらないまま年を越してしまいましたが、近日中に新たな活動内容が発表できると思うので、吉報を楽しみにしていて下さい。
さて、2010年第1弾のコラムは、今年のIZODインディ・カー・シリーズ(IICS)のチーム体制について、2回にわけてご紹介していきたいと思います。初回となる今回は、すでに発表済みのドライバーとチームに注目しましょう。
言うまでもなく、今年もチャンピオン争いを繰り広げるであろう、2強のチーム・ペンスキー(TP)とチップ・ガナッシ・レーシング(CGR)。チャンピオン・チームであるCGRはドライバー・ラインアップからチーム・スタッフまで、去年とほとんど同じ体制のようです。シリーズ・チャンピオンを獲得したダリオ(フランキッティ)とスコット(ディクソン)の関係もより深まる事によって、チーム力はさらに上がるのではと予想されます。
TPはご存知のとおり、ウィル・パワーの加入によって3台体制でのフル参戦となります。もともとGrand Amシリーズに参戦していたスタッフをそのままIICSの3台目チームとしているので、TPほどのチーム力を持っていれば、チーム規模が大きくなることに関してまったく問題はないと思います。逆に台数が増える分だけ、レース中の戦略的にもギャンブルすることが可能となるので、去年の最終戦のような展開になった時には有利になるだろうと考えられます。
今年スポット参戦からフル参戦に返り咲くウィルにとっては、飛躍の年となるような気がします。ウィルのエンジニアとなるのは、チャンプカー時代にチーム・オーストラリア(ウォーカー・レーシング)でウィルのエンジニアを担当し、去年はKVレーシングのエンジニアだったデビッド・フォスティーノが抜擢されました。
すでに意気投合しているふたりだけに、ウィルにとっては心強いスタッフが加入したと言えますが、なんと彼はシーズン・オフの間に、僕がインディ・ジャパンで走ったドレイヤー&レインボールド・レーシングのPR担当スタッフと、婚約までしていました。今シーズンはさらに一皮むけた、落ち着いたウィルの走りが見られるかもしれません!
昨年、2強にまったく歯が立たなかったAGR改めアンドレッティ・オートスポーツ(AA)は、ライアン・ハンター−レイ(RHR)がIZODの支援でAAに加入する発表がありましたが、現時点で今季のAAは3台体制でのフル参戦。ライアンはインディ500が確定で、その他数戦のスポット参戦を検討中とのこと。去年はパフォーマンスが低迷していたAAだけに、チームの所有権を独占したマイケルは確実に今年のパフォーマンス・アップを狙っていると思います。
チームにはCGRやフェルナンデス・レーシングで手腕を振るっていたトム・アンダーソンが、マネージング・ディレクターとして加入。昨年まではマイケル以外に二人の共同オーナーやマネージャー、そしてドリーム・チームの様なエンジニア陣がいたため、時にチーム内での政治的な動きや意見の食い違いがあったようです。今シーズンはアンダーソンが統括してチームの方向性を管理するようなので、必ずチーム力はアップするでしょう。
昨年までAGRのリード・エンジニアだったアラン・マクドナルドは、アレックス・タグリアーニがドライブする新チームのFAZZTレーシングに移籍。噂ではトニー(カナーン)とセット・アップの方向に関して意見が合わなかったようなので、チームのリーダーシップを握っているトニーにとっては、自分が作りたいマシンの方向性へ進めることができるようになるかもしれません。新しく加入したライアンは、僕が2002年のアトランティック時代にチームメートだったのですが、トニーに似たセッテイングを好むドライバーなので、チームには良いデータを提供できると思います。
ライアンの発表によって、気になるのがヒデキの動向ですが、ニューマン・ハース・ラニガン・レーシング(NHLR)に加入すると噂されています。昨年のNHLRは、オーバルもロードもCGRとTPに次ぐパフォーマンスを見せていたので、今年こそ表彰台の真ん中に日の丸を揚げて欲しいですね! しかしながらそのNHLRから、未だ1台も正式発表がありません。もしかしたら3台体制に拡大するとも言われており、ヒデキの発表が待ち遠しいです。
他にドライバーが確定しているチームは、パンサー・レーシング(PR)のダン・ウェルドンと、先程エンジニアの話ででたFAZZTレーシング。まず、古巣のPRに戻ったダンとしては、昨年のインディ500の2位以外、本人も納得のいかない1年に終わってしまったと思います。PRにいるエンジニアのデイビッド・クリッブスは特にオーバル・セットに関して優れているので、ダンのオーバル・レースでのアグレッシブな走りが期待できるでしょう。
一方、新しく設立されたFAZZTレーシングは、ケリー・レーシングの共同オーナーの一人と、実業家のアンドレア・アッツィ、そしてハリウッド・スターのジェイソン・プレスリーがパートナーを組んで誕生したチームです。マシンは昨年まで参戦していたロス・レーシングから購入。エンジニアは前述のアラン・マクドナルド、チーム・マネージャーには長年ウォーカー・レーシングを支えたロブ・エドワーズが就きました。
その他にフォーサイスにいたダンパー・エンジニアも獲得しているので、新生チームながら初年度からトップ10入りが期待できる顔ぶれとなっています。アレックス・タグリアーニも昨年のトロントで大活躍しましたし、今となっては大ベテランなので、シーズンを通して安定した走りを見せてくれるでしょう。すでにホームステッドでマシンのシェークダウンも済んでおり、戦う準備は整っているようですね。
驚くことに、他に正式発表をしているドライバーとチームはHVMのロバート・ドーンボスと、スポット参戦するサラ・フィッシャーとジェイ・ハワードのみとなっています。ドーンボスは昨年予想外の不調でしたが、古巣のHVMで最初からシーズンを戦うので、こちらも注目です。HVMには優秀なエンジニアのマイケル・キャノンがいて、しっかりとした予算を獲得できれば十分に上位争いができると思いますよ。
サラに関しては、ダンナさんとその義理のお父さんと設立したファミリー・タイプなチームと思いきや、ダラージェネラルという大手小売店のスポンサーを獲得。チーフメカにはAGRから優秀なスタッフを引き抜き、エンジニアはフォーサイスの開発担当エンジニアだったトム・ブラウンがいます。まだまだトップ・チームと経験や規模の差はありますが、着々とチーム力をつけていると言えますね。
上記以外にも、実際のところもう内定が決まっていると思われるフォイト・エンター・プライズのヴィトー・メイラに、ルクソードラゴンのラファエル・マトスやKVレーシングのマリオ・モラエスなどもいますが、まだ正式には発表されていません。
こうやってリスト・アップしていくと、去年同様2010年もどんなシーズンになるのか予想がつきませんね!?! でもやっぱり今年はウィル・パワーの年になるのでは、と僕自身は予想しています。いよいよ来月末にバーバー・モータースポーツパークで合同テストが行われますが、残りのシートに誰が収まるかというのも楽しみです!
みなさん、2010年も一緒にインディカー・シリーズを盛り上げましょう!!