Roger Yasukawa's

実はまったく違うダリオとスコットの走り

画像ミド‐オハイオのレース後、テストと1週間の休みを挟んで先週末に開催されたインディ・カー・シリーズ第14戦。インフィニオン・レースウェイでのレースは、今シーズン最後のロードコースでの一戦となりました。
結果はすでにご存知だと思いますが、ヒデキが5位でフィニッシュ。レース後半は優勝を狙えるポジションを走っていたので、最後は悔しい結果となってしまいましたが、ミド‐オハイオに続いて今回も良いレースをしていましたね。
ソノマに入る前にヒデキはロサンゼルスに立ち寄り、一緒にトレーニングをしたのですが、その時のヒデキから絶対的な自信があるようなオーラを感じ取れました。それだけに、レース後半にブレーキの利きが悪くなり、表彰台に乗れなかったことはとても残念です。

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しかしそんな状況でも冷静に走り、しっかりとトップ5でゴール。これは彼がドライバーとしてかなりレベルアップし、トップドライバーに相応しい的確な走りを見せてくれたと思います。残り3戦のオーバルのレースは、AGRが得意としている1.5マイルが続くので、ヒデキは必ずみなさんの期待に応えるような結果を残してくれるでしょう。
今回のレース内容もガナッシVSペンスキーとなってしまいましたが、そんな中ラスト3周はマイク・コンウェイもがんばっていましたね! テストから好調だったので、ようやく納得のいく結果が出たのだと思います。ミド‐オハイオで驚異的なスピードを見せて圧勝したスコット・ディクソンは、今回運のないレース内容で、レースウィークエンドをとおしてダリオに完敗となりました。

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今までロードコースに関しては、必ずと言って良いほどスコットがチームを引っ張っていたのですが、今回の結果は逆にチームレベルをさらに向上させることになったような気がします。その理由はスコットが特殊なセットアップを好むためで、これまでチームメイトとなったドライバーはスコットの走りに合わせなければならなくなり、自分本来の良さを出し切れなくなってしまうことがありました。
今シーズン加入したベテランのダリオはまったくそれに動じず、ストリートやロードコースでスコットを上回る良い結果を残しています。では、ダリオとスコットのセットアップの違いを決定づける彼らのドライビングスタイルの違いについて、簡単に説明させていただきます。
最初におことわりしておきたいのすが、今回あくまでもロードコースでの話です。一番大きな違いは、スコットが左足でブレーキを踏むのに対して、ダリオは右足でブレーキを踏むという点です。

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最近のドライバーのほとんどはレフト・フット・ブレーカーと言い、左足を使ってブレーキを踏むドライバーが主流です。その理由としては、ゴーカートの頃から走っているので、左足を使い慣れているというのがあります。左で踏むことによって、右足をアクセルからブレーキペダルへ動かさなくて良くなり、踏み替える時間を短縮できるのがメリットです。
しかし、左足でブレーキを踏むことをマスターするのは、とても大変なことなのです。クルマの車重が重くなればなるほど、繊細な踏み方をしなくてはいけないので、両利きのように足を操る事ができないといけません。
足は頭から一番遠く、脳からの信号が届くのに一番時間がかかると言われています。だからこそしっかり訓練しなければならないのですが、右足が利き足で左足が不器用な人は、右足ブレーキングに専念したほうが良い場合もあります。決してダリオが不器用だと言ってるわけではないですよ!
単純にブレーキをガツンと踏み込む作業だけであれば、どちらの足でも役を果たせます。ブレーキングのコツは、ガツンと踏んでから離すまでが重要なので、繊細なフィールが必要。ブレーキの離し方で、コーナリングの80%は決まってしまいます。

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ブレーキをうまく離すことによって、フロントに荷重を残したままコーナーに進入できるので、コーナリング時にマシンの向きを変えるのが楽になります。このテクニックをトレール・ブレーキングと言うのですが、コーナーの旋回速度を決めるのも、ブレーキの離し方次第なんです。
このようにスコットとダリオは異なった走りをするため、お互いのスタイルにあった究極のセットを見つけ出さなくてはなりません。ドライバーとして一番負けたくないのはチームメイトで、その環境がガナッシのレベルをさらに押し上げている要因となっているような気がします。勿論異なったドライビングスタイルのセットアップに対応できるような、エンジニアリング力やデータ解析の力は、ガナッシやペンスキーのようなトップチームだからこそできることですが・・・。

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チャンピオンシップ争いは、ブリスコー、フランキッティ、そしてスコットの3人に絞られましたが、残りの3戦がオーバルでの戦いとなると、やはりペンスキーVSガナッシのバトルは最後まで続くでしょう。
次戦は1.5マイルのシカゴランド。僕のデビューイヤーのレース終盤にピット戦略で2位までジャンプアップして、もしかしたら勝てるんじゃないか(自分は勝てると確信していました!)、というようなレースをした思い出深いコースです。ハイバンクで3ワイドも可能なので、ケンタッキーのようなデッドヒートを繰り広げられるレースが期待できるでしょう。
今年のインディ・カー・シリーズも気がついたら残り3戦。誰がチャンピオンとなるのか予想するのが楽しみな反面、もうシーズンが終わってしまうんだ、と考えると寂しくなってしまいますね。でもその前に僕らとしては大切なインディジャパンがあるので、気合いを入れないと!