Roger Yasukawa's

ドライバーの活躍に不可欠なマネージャーの存在

画像先週末は5週間ぶりの休みとなりました。ほとんどのドライバーはバケーションで家族旅行をしたり、母国に戻るなど、それぞれリラックスした時間を過ごしていたようですね。
4連戦を良い流れで終えたドライバーは、安心してオフのウィークエンドを過ごせたでしょうが、思うようにポイントを稼げなかったドライバーは、休みの間も早く次のレースをしたいと思っていたのではないでしょうか。
今週末行われるエドモントンのレースから1戦1戦を大事に戦っていかないと、チャンピオンシップ争いからどんどん脱落していってしまいます。チームもマシンがメカニカル・トラブルを起こさないように、細かい部分まで入念にチェックをしながら、メンテナンスを施しているはずです。
さて、前回のオフのウィークエンドではインディ・ライツ・シリーズをご紹介しましたが、ステップ・アップする際にも重要な役割を果たすドライバーズ・マネージメントについて、今回は書いてみたいと思います。
ドライバーにとってマネージャーは、自分のキャリアにおいて大切なビジネスパートナーです。結婚相手を選ぶのと似ていて、自分と相性が合うことも重要ですが、才能を開花してくれるマネージャーと出会うことができれば、自分の力を最大限に引き出してくれるでしょう。
チームとの交渉も含めて、色んな面でお互いを信用しあい、少しでも良い環境で走れる体制を作るのがマネージメントの仕事となります。マネージャーの仕事は他にもスポンサーの獲得や接待、そして広報活動など、24時間営業で大変な仕事です。
ドライバーのキャリアを支えるために少しでも良い体制を整えるには、ドライバーの心理を理解し、チーム・オーナーとの交友関係を深め、チーム内部の状勢(エンジニアやスタッフの移籍など)にも注意しなければなりません。先々を見通して、どのチームがドライバーにとってベストなのかを、じっくり考えなくてはならないのです。
要するにマネージャーは、ドライバーよりもレースに対しての知識や情報が必要と言えます。レースは特殊な世界でもあるだけに、元ドライバーがマネージャーというケースが多くなるのは必然とも言えるでしょう。しかしスポンサーを獲得したり、契約書の細かい法的な部分に関しては専門の人を雇う必要があるので、マネージャーと2人3脚と言うよりは、会社として運営されていることがほとんどですね。
どんなマネージメント会社もそうですが、ドライバーの賞金や契約金からのパーセンテージ、スポンサー獲得からの手数料が利益となるために、シートを獲得するまでは先行投資となってしまいます。実績さえ作っていれば、チームとそのマネージャーとの信頼関係で、ドライバーを探している時には真っ先に連絡がいくようになるでしょう。それだけにルーキー・ドライバーにとって、良いマネージメント会社に所属していることは、とても重要だと言えます。

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良い例でいくと、今年のラファエル・マトスです。ラファエルをマネージメントするのはマイケル・アンドレッティやマルコと同じ、昔CARTの社長を務めたジョン・カポニグロです。ラファエルがインディ・ライツのチャンピオンを獲得した実績もありましたが、それ以上に長年この世界で実績を上げていたカポニグロの売り込みが、シート獲得に繋がったと言われています。

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今年ドレイヤー&レインボールド・レーシングと契約したマイク・コンウェイは、元F1ドライバーでCARTでも活躍したマーク・ブランデルがマネージメントを担当。マークの欧州やアメリカ時代でのレース経験が活かされた結果、チームとの契約に至ったのでしょう。
トップ・クラスのドライバーを見てみると、ダリオ・フランキッティやファン・パブロ・モントーヤはCSS Stellarというマネージメント会社に所属。2003年にAGRとテスト契約したダン・ウェルドンもそうで、その後AGRと本契約しましたね。

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去年ダンがガナッシからパンサーへ移籍をすると発表した時は、お互いの意向があったものの、CSS Stellarとしては当時NASCARでシートを失っていたダリオをインディカーに復帰させることができたので、まさに一石二鳥となりました。ちなみにこのCSS Stellarのオーナーのジュリアン・ジャコビーは、世界最大のスポーツマネージメント会社IMGで、あの故アイルトン・セナを支えていた敏腕マネージャーです。
インディカーで一番人気の高いドライバーのダニカ・パトリックは、長年2人3脚でマネージメントを任せていた父親から、今年になってIMGと契約。ダニカはインディカー・シリーズに残りたいと言っていますが、IMGとしてはビジネス的にNASCARへ転向した方が良いという考えがあるようです。現時点で多数のチームと交渉しているらしく、NASCARへ移籍する噂も飛び交っていますね。

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このようにマネージメント会社は、ドライバーにとってパフォーマンス的にもビジネス的にも常に最適なオプションを探し出し、安心して戦える環境を作ることに日々専念しています。海外出身のドライバーとなると、住む所を用意し、活動のためのビザの獲得や、それこそ銀行口座の開設などなど、やることがたくさん。
少しでもドライバーがレースに専念できる体制を作るために、様々なことに対応できないといけないので、まさに「何でも屋」でないといけません。とは言ってもドライバーを甘やかしすぎるのも良くないですから、微妙なバランスを保ちつつ、将来のプランを立てるというのは非常に難しいですね。
僕も将来的には自分の経験を活かし、ドライバーズ・マネージメントに関わる仕事をしていきたいなと思っています。特にアメリカン・モータースポーツを専門分野とし、若い日本人ドライバーにもっとインディカー・レースへの興味を持ってもらうことで、アメリカでのレース活動の扉を開くお手伝いができればいいなぁと思います。将来、アメリカでレースをしたいという興味を持っている方は、ぜひ僕に連絡して下さい!!(笑)

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日本には才能のあるドライバーがたくさんいるので、しっかりとマネージメントすればヒデキみたいに活躍できるドライバーはいっぱい居ると思います。レースのメジャーリーグとも言えるインディカー・シリーズで、常に2〜3人の日本人が走っていれば、もっと日本で盛り上がるのではないでしょうか?
さて、僕はいま日本でスポンサー&PR活動で大忙しです。日本にいるとトレーニングの時間を確保するのが大変で、なんだか身体がムズムズしてきます。しかし今はインディ・ジャパンに向けて、少しでも良い体制を作るために、滞在中は全力でがんばりたいと思います。細かい話を色々と決めて、8月中旬までにはカーナンバーを含めた細かい詳細を発表したいと思っていますので、ニュースを楽しみに待っていて下さいね!
(ロジャー安川選手へのお問い合わせは webmaster@us-racing.net にお願いします!)