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現役インディ500王者の参戦が決定!今年も話題豊富なプチ・ル・マン

画像 アメリカン・ル・マン・シリーズ第10戦プチ・ル・マンに、現在IRLのチャンピオンシップをリードするスコット・ディクソンが、ド・フェラン・レーシングから出場することが発表されました。現役インディ500王者がALMSでどのような走りを見せるのか、非常に楽しみです。

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 ALMSの終盤戦名物イベント、プチ・ル・マン。起伏の激しい1周2.54マイルのロード・アトランタで行われる10時間・1000マイルレースは、開幕戦のセブリング12時間レースに次ぐシリーズ最長レースで、マシンの信頼性が問われる耐久イベントです。11回目を迎える今年は、今の段階からエントリーリストに話題性ある名前が多く連なり、その中でも一番の注目が、このディクソンの参戦でしょう。今年結成された新興チーム、ド・フェラン・レーシングからの出場で、チームオーナー兼ドライバーのジル・ド・フェランとともに“新旧インディ500ウイナーコンビ”が結成されることになるわけです。これに、新進気鋭のフランス人ドライバー、サイモン・ペジノーを併せた強力なドライバーラインアップは、いきなり優勝争いに加わってくること間違いないでしょう。

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 AGRやペンスキーがALMSに出場していることから、マルコ・アンドレッティ、エリオ・カストロネベス、ライアン・ブリスコーといった現役インディカー・ドライバーもたびたび参戦している同シリーズですが、ディクソンが所属するチップ・ガナッシ・レーシングはALMSのライバル・シリーズ、グランダムにフル参戦していることから、2003年に同チームに加入して以来、一度もALMSに出場する機会に恵まれなかったのです。インディ・ライツに参戦していた1999年に、一度だけプチ・ル・マンの参戦経験があるものの、当時と今とではALMSのマシンも大きく変化していますし、何よりディクソンのドライバーとしての経歴と経験が当時とはまるで異なります。アキュラのマシンは今年大幅に進歩していることから、総合優勝も十分狙える体制といえるでしょう。現役インディ500王者が一体どのような走りを見せてくれるのか、非常に楽しみです。

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 ディクソンと耐久レースはあまりなじみがないように見えますが、実はグランダムのデイトナ24時間レースにはチップ・ガナッシから毎年参戦していて、2006年にはダン・ウェルドンとNASCARドライバーのケイシー・メアーズのトリオで総合優勝も飾っているほど。前時代的なグランダムのマシンとは一線を画す、最新テクノロジーが搭載されているALMSのマシンとでは、同じスポーツカーというカテゴリーの中にあってもその趣は大きく異なります。しかしディクソン・クラスのドライバーでしたら、初乗りであろうとそんなことはまるでディスアドバンテージにならないでしょう。特に、ド・フェランが毎回ステアリングを握っている予選セッションにディクソンが出場してくれると、かなり盛り上がりそうですね。AGRの26号車は、恐らくレギュラーのフランク・モンタニーとジェームス・ロシターに加え、マルコをラインアップに加えてくるでしょうし、ペンスキー・ポルシェもカストロネベスとブリスコーの出場が十分考えられます。プチ・ル・マンの決勝は10月4日のため、IRLのシリーズはすでに終了しており、恐らくディクソンが現役王者として同レースに参戦することになるのでしょうが、他のインディカードライバーとの“番外戦”は、大いに楽しめそうです。

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 ディクソンの参戦発表のわずか1週間前には、プジョー・スポールが2台の908HDIでプチ・ル・マンに参戦することを発表したばかり。ル・マン24時間でアウディに屈したプジョーの雪辱戦も大いに注目ですし、このアウディvsプジョーにLMP2のポルシェとアキュラがいかに絡んでくるのかも興味深いです。ディクソンをはじめとしたインディカー・ドライバーの参戦共々、例年になく盛り上がりそうな今年のプチ・ル・マンはぜひ注目してほしいですね。