Hiroyuki Saito

ビッグリブ

気がつけば、インディカーも残り3戦(チャンピオンシップ)プラス1戦(オーストラリア)となりました。日本もお盆が終わりましたが、まだまだ暑さでは夏ど真ん中といった感じでしょうか。
ロサンゼルスは、日中は暑いのですが湿度が高くなく、僕の住んでいるトーランス界隈は家にいても窓を開けていれば乾いた涼しい風が入ってくるので、エアコンは要りません。しかも夜になると気温が下がり、半袖短パンで外にいるとちょっと肌寒い感じです。もしカリフォルニアのベイサイド側でナイトレースがあったら、絶対上着が必要ですね。
大概このような話を真夏の日本から来た人に話すと、いいなぁといった感じで言われますが、僕としては夏なのに夜肌寒いのが気に入りません。アメリカに来るまで日本の蒸し暑い夏を過ごしてきたから、夜でも暑いのが個人的には好きなんですね。日本の夏、ちょっと恋しいなぁと思う今日この頃です。
さて、フランス旅情ではフランス料理とはなんぞや? ということをちょこちょこお伝えしました。結局、なんだか判らないままアメリカに帰ってきましたが、まぁ、それはそれでフランス料理専門店に行けば、解決すると思います。I hope.
そこでアメリカ料理といえば、なんなんだと改めて考えますが、ハンバーガーはもちろん、やはりステーキ系なのかなと思います。要は肉メインの料理ですな。米国じゃなくて、肉国の方が名前あってるんじゃね? って感じですよ。
そんなアメリカという大国を象徴する肉料理を、アイオワで久しぶりに体験して来ました。もちろん、アメリカの地方に行けば、ステーキを中心としたレストランに行くので常に食べているのですが、このレストランはちょっとスケールが違いました。
レースが終わってご飯を食べに行こうということになり、見つけたレストランはBBQをメインとしたお店でした。地方ではお店を選べるほどの選択肢はなく、見つけたらそこ! みたいな勢いで入りましたよ。そうでないとアメリカの代表料理、ファストフードしかありませんからね。
そのレストランは外観が新しく、店内も小奇麗な、日本で言うファミリー・レストラン的なお店でした。早速メニューを見ると、肉を中心とした料理が書かれています。初めて入ったレストランでは、無難にステーキを頼むのが鉄則。だってステーキなら焼くだけですからそれほどハズレはありませんし、やはりアメリカのビーフはそれなりにおいしいですからね。
何にしようか迷っていると、メニューの「お勧めの料理」で目が留まりました。なにやらこのリブは、死ぬまでに一度食べておけと書いてあるのです。そこまで謳われていたら、頼まずにはいられません。なかなかそういった「お勧め料理」ってないので、ちょっと期待して待っていると、とうとうそのリブが僕の目の前に置かれました。

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でかい。
リブはその大きなお皿を、それでもちいせぇなと、あざ笑うかのように両サイドから食み出ています。これが死ぬまでに一度は食べておかなければいけないリブ? でもこんなの死ぬまでに全部食えるか! などど思いつつ食べ始めようとするのですが、どこからナイフを入れていいのか判らず、へんな迷いナイフです。
まいったなぁと思いながらも何とか分解作業を始め、やっとのことで骨の周りについているお肉の部分を、口まで運ぶことに成功しました。するとお店側も薦めているだけあって、結構おいしいんですね。まぁ、魚で言うところの中落ち部分ですから、うまさが凝縮されています。
でも、肉がしっかりしているのか、骨と骨の間の肉をとるのに手間取り、とても食べずらいんですね。そしてこの大きさ。全部食べられませんでした。ごめんなさいと思いつつ、死ぬまでに食べたから、もう食べなくていいなっていう安心感もあって少し不思議な気分でした。
この日は武藤選手が2位でフィニッシュし、インディカー・シリーズで日本人ドライバーが初めて表彰台に立った日でした。僕らもその姿をやっと見ることができたので、ささやかに祝杯をしました。でも、この料理が目の前に現れたとたん、こんなのぺろっと食べている国の人たちのレースで、優勝するのって本当に大変なことなんだろうなと、改めて思いましたよ。
こんな大きなリブを、ぺろって食べられるようにならないよう、気をつけたいなぁと思うアイオワの夜でした。