Kazuki Saito's

“チャンプ・カー北の国へ” 日本初・公道グランプリ開催への道! 第39歩>>北海道開拓を再現したい

開拓史のシンボル“★”登場!
不動の北極星に誓う小樽グランプリの実現
 この連載を始めて、ほんとうに良かったと思うことがある。それは北海道と小樽の歴史について勉強できたことで、“北海道 ★ 小樽グランプリ”のコンセプトを作る上でとても役にたった。
 地元のみなさんとお話する時など、「よく知ってるねぇ」と驚かれることもあり、内心すごくうれしかったりする。先方から色々な体験談を聞けたらしめたもので、会話が弾むとこっちだって話しをしやすい。中には重要なヒントとなるようなことが多く、「なるほど!」と何度思ったことか。博物館や図書館にもずいぶんと通ったが、それだけでは解からないということだ。真実は現場にしかない。
 最近になって北海道小樽グランプリに★マークを付けることになったのだが、これは開拓使のシンボルである北極星で、五陵星とも言われている。旧北海道庁の赤レンガや、札幌時計台の建物にある赤い星のマークがそうだ。この星が最初に登場したのは1872年で、開拓史付属船の長だった蛯子末次郎が船の旗章として考案したものを、やがて正式に開拓使の旗章として採用。当時、近代航海術が模索されていた中で、船乗りは航海の時に不動の北極星を目指していたという。
 日本で誰も実現できなかった市街地レースを目指す我々は、現代の開拓使のようなものだ。未開の土地に挑んで少しずつ切り開いていき、今までにない新しい道を作って多くの人に喜んでもらいたいというのが、我々の思いである。以前、ここでも北海道開拓のことを紹介したが、小樽の鉄道のように、アメリカの開拓技術がたくさん用いられてきた。このグランプリもそうで、チャンプ・カーの実績やノウハウが投入されなければ、短時間のうちにここまでは来れなかったと思う。
 まさにいま、北海道開拓を再現しているようなもので、小樽を起点に北海道が盛り上がり、日本各地で市街地レースが開催されるようになったら最高だ。絶対に、地域は活性化する。モータースポーツが大いに役立つ日が来ると信じ、我々は今日も北極星に誓う。

筆者近況
みなさんご存知のサッポロビールは★のマークですが、これは前にも紹介したとおり、その前身が開拓使麦酒醸造所だったことに由来します。当時は官営のビールだったわけで、学校や病院の旗章にも★マークは使われていたんだそうです。さて、本誌オートスポーツさんのご好意により、かつて僕が編集長をしていたhttps://us-racing.net にこの連載のバックナンバーを掲載してあります。お盆休みに、ぜひご覧ください。
(オートスポーツ誌 2006年8月10日号に掲載)