Kazuki Saito's

“チャンプ・カー北の国へ” 日本初・公道グランプリ開催への道! 第2歩>>小樽グランプリ開催計画の誕生

レースの舞台は普通の“みち”なのだ
10年モノの小樽GP構想が一気に現実化
 前回、ネットで検索していくうちに小泉内閣の“お墨付き”に出会ったと書いたが、いきなりそこへ入る前に、なぜ北海道の小樽で公道レースの企画が生まれたのか、そのあたりをまず紹介するべきだろう。
 これまで、このような企画は横浜、熱海、別府、そしてお台場と、僕が知る限りでもこれだけの噂があった。ほんとうは、もっと色々なところで企画されていたと思うが、そのどれもが日の目を見ることなく、いつの間にか消滅。戦後60年を経て世界でも有数の自動車大国となり、モータースポーツの長い歴史を持ちながら、この国で公道を舞台にしたレースが行われたことはなかった。
 そんな中で小樽グランプリは、その成り立ちからして、とても興味深いものがあった。もともと10年ぐらい前から小樽市民の間で、「公道を使ったレースができないか?」という話は出ていたそうだが、“北海道みちとくらしと未来のネットワーク”(www.michi-mirai.com )という委員会の誕生により、ここでいっきに話は加速する。
 国土交通省が支援するというこの組織は、2002年4月に設立。2003年度活動報告書から、その主旨を引用しよう。
“北海道の未来を見据えたとき、私たち道民の「みち」はどうあるべきか? というテーマをもとに、本来の「みち」の果たす役割をしっかりととらえ、道民一人ひとりに広くその価値を認識してもらう”(原文ママ)
 はっ、と気が付いた。長年公道レースを取材してきたものの、そこが道だということを、最近はあまり意識していなかった。出来上がったコースばかり見てきたせいか、いつの間にか感覚がずれていたのだろう。いま目の前にある道と、本来の目的はなんら変わらない。存在そのものが当たり前すぎて、道のあるべき姿や、本来の果たす役割という観点でじっくりと見たことはなかったのだ。ましてや未来など、思いもよらなかった。
 この組織の委員のひとりで“YUSAKOIソーランまつり”の創始者である長谷川 岳さんが、あるF1フォトグラファーと出会ったことから、話は突然現実味を帯びてくる。

筆者近況
突然ですが、お知らせです。北海道小樽グランプリ推進協議会が2007年開催を目標に、チャンプ・カー・ワールド・シリーズの誘致を決定したことを受けて、シリーズを所有するオーナーのひとりであるケビン・カルコーベンさんが来日することになりました。10月8日(土)午後5時から、運河プラザ3番庫(小樽市色内2-1-20:電話0134-33-2510)でカルコーベンさんをゲストに公開シンポジウムが行われます。お近くの方はぜひどうぞ!
(オートスポーツ誌 2005年10月13日号に掲載)