Interview

HPD堀内大資氏インタビュー〜2008インディカー・シリーズ・シーズン・レビュー〜Vol.2

<US-RACING>
先週の土曜日にお送りしたホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント(HPD)のチーフ・エンジニア、堀内 大資氏インタビューの第2弾。今回は2008年シーズンに投入されたさまざまな新機軸について伺った。そして、気になる2011年のエンジン・パッケージや将来のインディカーについても語っていただいた。

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今シーズンから導入された新機軸としてパドルシフトがありますが、エンジンに対しては何か影響はありましたか?

堀内大資氏(以下:HD):「特に影響はないです。インディカーのパドルシフトは空気の圧力を利用したシステムで、市販されているものを使っています。導入にあたってスロットル・コントロールのためのデバイスをいくつかつけていますが、エンジン本体に及ぼす影響はありませんし、デメリットもありません。ドライバーの負担が軽減されますし、シフトミスが少なくなるという点でオーバーレブ対策にもなります」

騒音軽減のためにボディ形状が変わったということですが、エンジンの面でも新型のマフラーが導入されているようですね。

HD:「はい。シーズン前に数種類のマフラーをテストし、今年採用されたものは120デシベルから117デシベルぐらいまで抑えられています」

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騒音軽減は市街地レース対策という噂もありますが、実際のところはどうなのでしょう。騒音に対する要望はIRLからあったのでしょうか?

HD:「実際のところはよくわかりませんが、IRL側から下げたいという要望がありました。世の中のトレンドなのではないでしょうか。CART時代のチャンプ・カーはターボ・エンジンで音が静かだったので、それに近づけていくという方向だと思います。ちなみALMSは規制があるので、サイレンサーをつけて音を絞っています」

導入されたマフラーは、何か特別なものを使っているのでしょうか?

HD:「システムは乗用車と同じ原理です。音というのは空気の波ですから、サイレンサーの中で定在波をつくり、強い定在波が外へ出ていかないようにしています。特別なことはありませんが、排気の抵抗をいかに少なくするかということに気を使っています」

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技術面でインディカー・ファンの関心が高まっているのは、エンジン規定が一新される2011年のことだと思います。これまで何度かインディアナポリスで会合が持たれたようですが、どこまで話が進んでいるのでしょうか?

HD:「現在IRLが中心となって、コンペティターが参加しやすいようなルールを今年中に作るということで検討に入っている段階です。我々としては2011年以降に、インディカー・レースにおけるコンペティションが始まることが非常に楽しみですし、今度は勝てるインディカーのエンジンを作るということが目標になってきますね」

エンジンと合わせてマシンのデザインも変わるということで、今年のインディ500ではデザインカレッジでデザインされたマシンの模型が展示されていましたが、プロジェクトはどのあたりまで進んでいるのでしょう。また、すでにシャシー・コンストラクターがかかわっているプロジェクトなのでしょうか?

HD:「IRLはインディ500の100周年となる2011年を目指し、エンジンだけでなくシャシーも将来に向けた斬新なものに変えたいという意向がありました。現在は将来のシャシーがどうあるべきかを研究中であり、デザインカレッジでいろいろな提案を集めています。そういった提案を含めて検討している段階なので、まだどこのシャシー・コンストラクターで製造するかは決まっていません。ただし、現在はダラーラのワンメイクということで、ダラーラがかかわっていることは確かでしょうね」

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昨年から100%エタノールを使用し、環境へ取り組む姿勢を見せているインディカー・シリーズですが、今後、新しい環境技術が導入されることはありますか?

HD:「今のところないと思います。インディカーの場合はコンセプトが、一番速いドライバーを決めるという点に置かれているので、ワンメイク・レースにおいて燃料の面でしか環境技術を見出せないのではないかと思います」
(つづく)

◆この続きは来週木曜日にアップする予定です。