大雨で予選が中止となり、ポイント順でのスタートとなった日曜日の第18戦ヒューストン。9番グリッドからスタートしたウィル･パワーは、序盤から驚異的な追い上げで11周目には2番手に浮上します。トップのディクソンと激しいバトルを展開する中、5度目のコーション後の再スタートとなる40周目に、コントロールを乱したディクソンをパスすることに成功。そのままゴールしてソノマに続く今季2勝目、通算20勝目を達成しました。
「リスタートの時はとてもスリッピーで、スコット（ディクソン）がコントロールを乱してターン3で勢いを失ったから、ターン4でインに飛び込んだんだ」とパスした時の状況を語ったパワー。「今回（チームメートの）エリオ（カストロネベス）は厳しい戦いを強いられていたから、絶対にスコットの前でフィニッシュしたいと思っていた。次の最終戦でエリオは勝たなければいけないし、スコットとの間でフィニッシュできればと思っているよ」
2位は土曜日のウィナー、スコット･ディクソンで、ポールからスタートしたポイントリーダーのカストロネベスはまさかのギアボックス･トラブルでストップ。これでディクソンが逆転に成功し、金曜日までは49点差で2位だったものが、逆に25点のリードで最終戦のフォンタナに臨むことになりました。これでディクソンは5位以上でフィニッシュした場合、2003年と2008年に続く3度目のタイトルが確実となります。
3位は昨日のスタンディング･スタートでエンストを喫し、後ろから追突されてリタイアに終わっていたジェイムズ･ヒンチクリフ。今シーズン3勝目を挙げたアイオワ以来のポディウム･フィニッシュとなりました。
抜きにくいこのコースで、ポール･ポジションという絶好の位置からスタートしたエリオ･カストロネベス。スタンディング･スタートもうまく決めて快調にトップをキープしていたのですが、この週末問題となっていたターン1の外側を走ってしまい、バンプに乗り上げた時にギアボックスを破損。マシンを修復して再びコースに復帰したものの23位に終わり、ディクソンに逆転を許すことになってしまいました。最終戦のフォンタナ、最後のチャンスに望みを繋ぎます。
15番手スタートとなった佐藤琢磨はスターティング･グリッドを誤り、ほぼ最後尾からのスタートとなりましたが、最後のピット後となる62周目には7番手まで大躍進しました。久しぶりのシングルフィニッシュ目前となった最終ラップ、タイヤカスに乗って壁に接触した琢磨はサスペンションにダメージを負ったと見られており、ターン5でマシンの姿勢を崩したところにダリオ･フランキッティが追突。浮き上がったフランキッティのマシンはフェンスに激突し、脊椎を骨折したものの手術の必要はないとのことで、右足の骨折に関してはすでに手術を終えています。観客二人が病院へ搬送されましたが大事には至らず、ほんとうに良かったです。
「個人的には雨で予選を走ることを、ものすごく楽しみにしていました。行けるんじゃないかって感触はありましたね。走れなかったのはすごく残念です」と予選から振り返ってくれた琢磨。「レースでは最後尾からの追い上げとなったのですが、昨日よりも力強い走りができて、7番手まで上がることができました。最後に前を行くサイモン（パジノウ）を追っている時にタイヤカスを拾ってしまい、それでアウト側にはらんでウォールをこすってしまったんです。その影響でペースを上げられなくなって順位を落とし、リアが落ち着かない状況で、ターン5では内側にいたのですが、後ろから来たダリオはまったく見えませんでした。幸い大きなけがにはつながらず、安心しました」
こちらは今日の朝、予選の時の写真ですが、雨が降り出して琢磨の2戦連続ポールの期待がいっきに膨らみ、雨の中をやる気満々でピットに行きました。ところがちょっと降り過ぎてしまったようで、予選は中止。せっかく雨具も全部出したことだし、降るならもっと降れーってことでウェットのレースになってほしかったのですが、「さっきの雨はなんだったんだ？」っていうぐらい、ほぼ完全なドライになってしまいました。ガク…。
はい、ということで初日のコース改修に始まり、波乱続きとなったダブルヘッダーがやっと終わりました。ほんとうに色々なことがあり過ぎて、目が回るほど忙しかったです。ここはチャンプカー時代に開催したことがあるコースだったので、ダブルヘッダーにしたんだと思いますが、もう少し事前のチェックは必要かと思いました。今回のアクシデントでFIAはフェンスの見直しが必要となるでしょうが、来年の開幕戦まで少し余裕があるので良かったですね。さあ、次回はいよいよ最終戦です！
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