INDY CAR

第95回インディ500のベスト・ショットです!

インディカー写真100周年記念となった第95回インディアナポリス500は、劇的なフィニッシュで幕を閉じましたね。レース途中まではターゲットの2台がリードし、いまひとつ盛り上がりにかけていた雰囲気でしたが、終盤にかけてのピットインのタイミングと、燃費が勝敗の鍵を握ることになって最後は意外な結果になりました。
 
僕としては、スコット・ディクソンかダリオ・フランキッティのどちらかが最終的にトップになって優勝するんでないかい? と思って撮影していたものですから、その2台に関してはもちろん、いろいろなパターンの写真を押さえてありました。しかしレース終盤になってイエローが出ず、ピットに入るタイミングがみんなまちまちだったのでね、こりゃひょっとすると他のマシンの優勝もありそうだなってことで、ピット・エンドで最後の横走りを撮影。そこでほとんどのマシンを押さえておいたんです。
 
結局これが正解。失礼ではありますが、まさかね、ダン・ウェルドンが優勝するとは思ってもいなかったです。はい。ましてやJRヒルデブランドに関しては、完全に盲点でしたよ。3位のグラハム・レイホールだって、そういった意味ではトップ3に入るとは思っていませんでしたから、まあ、日ごろの行いがよかった(?)ようで、なんとかなりました。それにしてもほんと、オーバルっていうのは油断できないレースだなって、改めて思わされる結果でした。
 
インディアナポリス・モーター・スピードウェイは、シリーズでも最大の2.5マイル・オーバル・コースです。伝統を重んじるコースなので、撮影に関してはとても厳しい(うるさい)コースです。撮影できる場所や人が決まっているところも多々あり、特別なパスがないとアクセスできない撮影スポットがあります。
 
何年も取材をしている諸先輩方が言うには、それでも近年は撮りやすくなったとのこと。たとえばコースのアウトサイドのフォトホールから撮影できるようになったのは、2003年からIRLをフルシーズン取材するようになってからだったと思います。それまではCARTシリーズをメインに取材していたので、IRLに関しては1999年からインディ500だけしか取材にいけませんでした。まあ、それなりのパスしかもらえないということですね。そういえばビクトリーレーンのパスも、2003年からやっともらえたような気がします。
 
しかし今年困ったのは、何年か前からターン1のグランドスタンドの屋根からスタートを撮影できていたのに、今年行ったら「スポッターとTVクルーのパスを持っている人だけ」と言われてしまいました。「毎年、そこから撮影してたんだよ」といってもダメで、途方にくれることになったのです。
 
100周年の記念レースでスタートの写真がないっていうのはありえないし、そうこうしているうちにスタート時間はどんどん迫ってきます。こうなったらスタートの瞬間だけ観客席に紛れ込むかと思ったのですが、それも場内整理をしているスタッフに注意されるべなと悩んだ挙句、何年か前に撮影したゲージがまだ空いているかどうかチェック。運よくそこには誰も居なかったんですね。
 
これ幸いと狭い梯子を降りていきました。地上の観客席と2階の観客席のちょうど中間に鳥かごのように設置してあるゲージは、高層ビルの窓掃除をするときに作業員が乗っているゴンドラのような、3〜4人ぐらいしか入れないほどの大きさ。実際にとても狭いのですが、スタートはなんとか撮影することができたのです。
 
ぼちぼちと俯瞰の撮影も終え、そろそろ地上でマシンの走りを撮影せねばと降りてコースのアウトサイドに向かっていると、なにやら全快でアクセルを踏んでいるときの甲高い排気音が急にトーンダウン。「こりゃ、コーションか?」と思って少し胸騒ぎを感じながらコースサイドに到着し、すぐにコースに目をやると、なんと佐藤琢磨がクラッシュしてるじゃないですか。
 
ちょうど走りの写真を撮ろうと思っていた矢先の出来事でして「こりゃあ、困ったなぁ」と思いながらも、どうしようもないのでね、気持ちを切り替えて撮影を再開しましたよ。でも琢磨がリタイアしたので、この日考えていた撮影ルートを急遽、楽な方に変更。なぜかというと、100周年記念レースっていう大事な日に向けて普通は健康管理をしていくものですが、前日にメディアセンターの冷房の寒さにやられ、風邪をこじらせて寒気と頭痛に襲われていたのです。
 
その日は寝たおして決勝日の朝を迎えたのですが、体調はすこぶるよくありません。スタート前から体がふらふらして、撮影中もなんとか気力で持っていましたが、レース終盤には頭痛も再び始まり、実はもうレースを把握するのが厳しいくらいの状況で、表彰台の指定の場所に辿り着きました。
 
最後のさいごにヒルデブランドの優勝か? なんて思っていたらターン4でドーンでしょ。それでもヒルデブランドがチェッカーを受けていたから優勝か? と思ったらウェルドンがなんか喜んでいるぞ??? きっと最後になんかあったんだなって、ぼーとしながら何とか理解できました。
 
結局ウェルドンがビクトリーサークルにマシンごとやってきてね。とりあえず、最初のミルクを飲んだウェルドンは、それをチームオーナーのブライアン・ハータにも飲ませました。少し落ち着いたあと、今度は2回目のミルク飲みシーンとなり、2度目はさすがにおなか一杯なのか、ちょっと口つけてすぐに頭からかぶっちゃいましたよ。それがまた嬉しそうだったのでね、今回はあえて飲むシーンではなく、ミルクぶっかけシーンを選んでみました! 
 
100周年にふさわしい劇的なレース。最後まで撮影できて、ほんとうに良かったです。
 
Photo & Text by Hiroyuki Saito
 
●撮影データ
機種: Canon EOS-1D Mark ?
レンズ: Canon EF 70-200mm f/2.8 IS USM
撮影モード: シャッター速度優先AE
シャッタースピード: 1/250
絞り値: F7.1
測光方式: 評価測光
ISO感度: 100
焦点距離: 105.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
※第5戦Pick the Winnerのプレゼントはこちらの写真となります。