大雨による決勝順延で、月曜日に15周目、残り時間1時間19分で再開したレース。ドライコンディションの中全車スリックタイヤでスタートしたものの、急な大雨でグリーン中の17周目にピットへ。レインタイヤ交換&燃料補給し、ここから時間内に走りきれるかどうかが勝負の鍵になりました。
トップのウィル・パワーはコーション後の25周目の再スタート時、佐藤琢磨にトップの座を奪われましたが、イエロー中の36周目にピットへ。最後まで走れる燃料を補給して追い上げを開始し、49周目にはトップへ返り咲いて今季2勝目、通算11勝目を達成しました。
2年連続でサンパウロを制したパワーは「冷静さを保てるかどうかが問題で、他の誰かのミスに遭わないよう、安全な間隔をとるようにしていたよ」とコメント。4連続ポール、最多リードでランキングトップに復活し、次の100周年のインディ500に臨みます。
2位は昨年レギュラーシートを失ってスポット参戦を繰り返し、今年ガナッシの新チームでフル参戦が実現したグラハム・レイホール。6番手だった26周目にスピンを喫し、17番手から追い上げての快挙です。09年のインディジャパン以来となる表彰台獲得となりました。
前戦の2位に続き2戦連続表彰台となる3位に入ったのがライアン・ブリスコー。18周目、佐藤琢磨にパスを許して3番手に後退しましたが、チームメートのパワーと同じタイミングでピットへ入ったのが奏功しました。ランキング8位から5位へ躍進です。
注目すべきは昨年の王者ダリオ・フランキッティで、33周目の4番手走行中にターン1でオーバーランを喫してタイヤバリアへ。幸いマシンにダメージはなく、15番手から追い上げて4位フィニッシュを達成しました。ランキング2位をキープしているのはさすが。
前日に初めて雨の中をインディカーで走行し、3番手まで追い上げた佐藤琢磨。今回も再び雨が降り出した中、まるで水を得た魚のような走りでブリスコーを18周目にパスし、25周目の再スタート時はアウト側からウィル・パワーまでパスしてトップに躍進しました。
快調にレースをリードしていた佐藤琢磨は、イエロー中の36周目に後続のペンスキー勢がピットへ入った中、チームの指示でコースに残留。ところがチームが待ち望んだイエローはその後出ることなく、49周目に燃料補給を余儀なくされて7番手に後退したのです。
復帰した佐藤琢磨はすぐに前戦勝者のマイク・コンウェイをパスして6番手に上がるも、ターン1でのオーバーランで8番手にダウンしてゴール。開幕戦5位に次ぐ8位で今季2度目のトップ10フィニッシュとなり、ランキングでもトップ10復活の10位となりました。
55周のレース中、佐藤琢磨がトップを走行したのはLap26-48で、計23周にわたってレースをリード。チームオーナーの一人、ジミー・バッサーは「今日のタクはチャンピオンのような走りだった。彼は新しいレイン・マスターの称号を獲得したよ。しかし不運にもチームは間違った判断を下した。我々が必要としていたイエローが、その時はかなりの確立でもう一度あると感じていたんだ。結果的にそれは間違っていたが、タクは今日、初優勝が間近であることを示したよ」と素直に間違いを認め、佐藤琢磨の走りを絶賛。
バッサーの言うとおり、それまでの展開からイエローが出る可能性もあり、判断の違いが明暗を分けました。しかし佐藤琢磨がレインでトップクラスの技術を証明し、チームが勝てる確信を得たのも事実。この一件が初優勝への重要なステップとなるのは間違いないでしょう。
レース後に現地で収録した佐藤琢磨選手へのインタビューと、ロジャー安川選手の解説によるYouTubeレポートは、明日アップする予定です。どうぞお楽しみに!
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