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Pick the Winner ! インディカー第5戦カンザスのベスト・ショットです!!!

インディカー第5戦カンザスのベスト・ショットです。こちらの写真をPick the Winner!で当てたみなさんにプレゼントします!
  
【日本人ドライバーのアクシデントの前に不吉な前兆が・・・】
 
今シーズン初のオーバル・コースのレースとなったカンザス。ルーキーにとってはシーズン前のオープンテストも無く、木曜日に設けられたルーキー・テストだけでオーバルという未知のレースにいきなり飛び込むことになりました。
 
参戦3年目となる武藤英紀ですが、ニューマン/ハース・レーシングに加入して初めてのオーバルで予選4位と大健闘。そして初オーバルでのシングルカー・クオリファイとなった佐藤琢磨は、27台中11位とルーキーの中でみごとトップのグリッドになりました!
 
期待に胸膨らませた決勝で、みなさん結果はご存知のとおり、日本人同士のクラッシュという形で終わってしまいました。今回は、なんかそうなるような前触れ的なことがレース中にあったので、その時の状況を書いてみたいと思いますよ。
 
スタート後コースの外側で撮影していた僕は、レースも中盤を過ぎたので、コース内側での撮影場所に移動していました。
 
ターン1の内側で撮影後、ピットへ移動しているときのことです。長さ38.7センチ、3.87キロもある500ミリのレンズ(結構重いです)に一脚を取り付け、普段はその一脚を肩に乗せて、よいしょって感じで移動しているのですが、たまたまこのときはレンズに直接付けているストラップを使い、500ミリのレンズと一脚を肩からぶら下げて移動していました。
 
すると突然起こるオーバル・レースのクラッシュのようにね、ぶら下げていたレンズからストラップが外れてしまい、レンズが地面に叩きつけられたのです。肩で感じていた重力がすっとなくなるっていうのはね、結構、びっくりしますよ。今まで一度もない経験でしたから。
 
CANONの希望小売価格で98万円もするレンズが「ガツッ」ってコンクリートの地面にヒットする瞬間は、なんとも言いようが無いですね。金額的に見ると、中古の軽自動車が3階くらいのビルの屋上から落ちるようなもんでしょうか。幸い地面に当たった部分は大口径のレンズが入っている方ではなく、カメラのボディ部分に取り付ける方だったので、レンズは割れずにすみました。
 
アメリカ人並みに背が高かったら、5階建てくらいのビルから落ちるほどのダメージとなるんでしょうが、幸い僕は3階建てくらいだったのと、落ち所がよかったのかダメージも最小限に済んだようです。
 
オートフォーカスが正常に機能するか心配だったのですが、なんとか動きます。とりあえず良かったなと思ってね、レースも終盤に近づいていたのでチェッカー・フラッグの瞬間をおさえるために、ピット・レーンのスタート&フィニッシュラインが撮影できる位置にスタンバイです。
 
こんな僕の悲劇とは関係なく、その時はむしろうれしいことに英紀と琢磨は5位、6位といった上位で、今シーズン初のオーバル・レースを戦っています。とりあえず、二人が走り終わるまでレンズも正常に動いてくれよって願いながら、隣にいたカンザス在住のカメラマンに「見てよ、今日は日本人ドライバーが良い位置にいるね!」って言ったんです。
 
そしたら彼は「そういうことを言うと、何か起こるかもしれないよ」って、その時はね、なんでそんなこと言うんだって思っていたのですが、次の瞬間、186周目のリスタートで起こった悲劇には驚くしかありませんでした。
 
「だからいったでしょ?」ってな感じで、そのカメラマンに言われてね。いやほんと、もう言い返すような言葉もなくなりました。あって欲しくないことが起こってしまい、ただただ愕然とするしかないんですね。
 
それでふっと我に返ったら、レンズのストラップが外れたのもこの前兆というか、それは下駄の鼻緒が切れたような縁起の悪い知らせだったのかなって、思わざるを得ない心境になってしまった次第です。
 
現実を受け入れるのにけっこう時間がかかりましたが、改めて考えると日本人の二人はとても良いレースをしていたと思います。レース終盤にその位置にいるということが、とても大事なことですからね。そういった意味では、オーバルで勝つことの必要条件がやっと揃ってきたのかなって思う、今シーズン最初のオーバル・レースとなりました。
 
これから続くオーバルに期待し、日本人初優勝の瞬間をおさえるために、僕もがんばりたいと思います。もちろん、レンズのストラップをしっかりしめてね!
 

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●撮影したフォトグラファーより 
今回は色々ありすぎたので前置きが長くなってしまいましたが、今季初優勝を遂げたディクソンの写真について書かないと!
 
チップ・ガナッシ・レーシングのカンザスでの強さには、ほんと目を見張るものがあります。同じコースで4年連続優勝することって、それほどないですよ。彼らはこのコースの特徴をしっかりとつかんでいるんでしょう。でもこのままインディ500もうまくいくかというと、そうでもないのがインディの面白いところなんですが・・・
 
カンザスはアウトサイドのフォト・ホール(撮影用に開けられた穴)がターン1とターン4の2箇所に一つずつしかなく、順番待ちになると撮影できるタイミングが難しくなります。そうはいってもレース中にトップ争いをしているマシンは待ってくれないので、なんとかその様子を撮影できないか、色々と他の場所からも試してみなければなりません。
 
今回の写真はレースのスタート後、ターン1外側の上に設置されているカメラマン用のスタンドから撮影しました。観客の目の前を一瞬で過ぎ去っていくマシンを表現したいと思い、フェンス越しにスロー・シャッターで撮影。するとどうでしょう、フェンスがきれいに消えてしまいましたね! オーバルはスピードが半端じゃないですから、なかなかうまくいかないんですけど、そのぶん今回のような写真が撮れたときは最高です!
 
IRL最多勝利記録を更新したディクソンは、今回が22回目の優勝となりました。チャンピオンシップといった意味では、まだまだシーンズンは序盤。それにしてもオーバル・コースでディクソンだけの快進撃が続いたらどうしよう・・・
 
●撮影データ
機種: Canon EOS-1D Mark ?
レンズ: Canon EF 70-200mm f/2.8 IS USM+EXTENDER EF 1.4x
撮影モード: シャッター速度優先AE
シャッタースピード: 1/15
絞り値: F22.0
測光方式: 評価測光
ISO感度: 50
焦点距離: 280.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
 

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●撮影したフォトグラファーより
オーバル・コースのレースが初めての琢磨は、予選11位からレース終盤には6位までポジションをあげる活躍を見せました。おそらく、初めてのオーバルのレースでこの位置までくるパフォーマンスを見せた日本人ドライバーは、いなかったと思いますよ。
 
結果はクラッシュと残念でしたが、インディ・ドライバーの誰もが一度は通る道というか、いずれ彼もオーバルの洗礼を受けることになったと思いますし、この程度で済んだと思えばね、ある意味オーバルの難しさを最初に知ることができて良かったのかもしれません。
 
この写真は初日にターン4のフォトホールから撮影しました。今回は金曜日の午前中に雨が降り、午前中のセッションは中止に。なんとか午後に走行することができて、チームもドライバーも僕もよかったなぁと思っていたセッションでした。
 
オーバルのレースは2〜3年前から、経費削減のために2日間のイベントとなっています。それが今回のように初日から雨となると、時間がずれ込んでバタバタしっぱなし。そんな中だからこそ、良い写真を撮れるように集中しなければならないのですが、なんとか琢磨の初オーバルをスローシャッターで捉えることができました。
 
ここは350キロ以上出ているので、シャッター・スピードも遅すぎず速すぎずといった感じで選んでいます。それも天候と状況によるのですが、60分の1でもこれだけ流れるのがオーバルなんですね。
 
オーバル2戦目がインディ500といった大舞台になる琢磨ですが、F1で初の表彰台に上がった思い出の地で、どんな活躍を見せてくれるのか楽しみです!
 
●撮影データ
機種: Canon EOS-1D Mark ?
レンズ: Canon EF 500mm f/4 IS USM
撮影モード: シャッター速度優先AE
シャッタースピード: 1/60
絞り値: F11.0
測光方式: 評価測光
ISO感度: 100
焦点距離: 500.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
 
Photo and Text by Hiroyuki Saito