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第11戦エドモントン【決勝】フォト・レポート

<US-RACING>

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第11戦のエドモントン・シティ・センター・エアポートを制覇したのは、なんとペンスキーのパート・タイム・ドライバー、ウィル・パワーでした。ポールからスタートしたパワーは、全95周中90周もリードして今季初優勝を飾ったのです。「ポール・ポジションと優勝! 完璧な週末だったね。ほんとうに最高だったよ。クルマが完璧だったし、ピットもミスがなかった。そしてほとんどのラップをリードしたね。僕にこの機会を与えてくれたロジャー(ペンスキー)とチーム・プレジデントのティム(シンドリック)に、すごく感謝している。レーシング・ドライバーとしてこれ以上良い環境はないと思う。チームメイトもクルーも素晴らしい人ばかりだよ。これからもずっとチーム・ペンスキーの一員でいたい」とペンスキーから与えられたチャンスをものにし、圧倒的な強さでレギュラー勢を倒したパワー。ここまでの全11戦中5戦に参戦して、1位、2位、3位、5位、6位と、すべてトップ6でフィニッシュしています。チャンプ・カーでの3勝に加え、メジャー・オープン・ホイール・レースの4勝目となりました。おめでとう、ウィル!

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エリオ・カストロネベスは去年と同じ2位表彰台を獲得しました。85周目にトラフィックに引っかかった2番手のスコット・ディクソンをパスし、6秒79差でリードを広げていたパワーを猛追。92周目になるとその差が4秒58に縮んだのですが、残り一周の94周目で、今日唯一のコーションが振られてチェッカー。「体力的にかなりきついレースだったよ。レース序盤にスコット・ディクソンと良いバトルになって、1回目のピット後に少しギャップを広げることができたんだ。その後トラフィックに引っかかって、早めにピット・インすることにしたら、タイム・ロスしちゃって4位まで下がってしまった。でもライアン・ブリスコーがターン9でラインを大きく外して、僕はまたスコットに迫ることができた。そこでトラフィックに引っかかっていたスコットをなんとかパスして2位に入ったんだ」と3戦ぶりにポディウムに立ったカストロネベス。シーズン5回目のトップ5フィニッシュとなりました。昨日トレイシーと和解しておいたからか、カナダのファンから大きな声援を贈られていましたよ。

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ガナッシのスコット・ディクソンは3位に入って、みごとペンスキーの完全制覇を止めることができました。第2スティント終了まで4番手を走行していたディクソンは、最終ピットを遅らせ、素早いピット・ストップでブリスコーとカストロネベスの前、2番手にアップしたのです。その後3人でのバトルが続き、最終的にカストロネベスとブリスコーの間でフィニッシュ。「キャリアの中で最も大変なレースのひとつだったよ。このサーキットはすごくタフで、僕らのようにクルマがベストの状態じゃないと、さらにタフに感じる。スティントの途中までファイアストン・タイヤが持ってくれたけど、スティント終盤になると、タイヤがすごくすべり安くなって、ずっと我慢していた。でも結果的にチーム・ガナッシにとって素晴らしい1日となったよ。貴重なチャンピオンシップ・ポイントを稼げたので、ダリオ(フランキッティ)と順位が入れ替わってトップになったんだ」と満足な様子のディクソン。今日のレースで5位だったチームメイトのフランキッティは3ポイント差で、チャンピオンシップ・ランキング2位です。

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4位に入ったのは、フロント・ローからスタートしたライアン・ブリスコーでした。終盤まで2番手を走行していたブリスコーでしたが、残り22周の72周目にターン9でラインから外れ、ディクソンとカストロネベスの先行を許してしまいました。その後ペースが落ちたのですが、なんとか4位を守ってフィニッシュ。「すごくタフなレースで、イエロー・フラッグがほとんどなかった。幸いレース前にたくさん水分を取ったんだ。キャリアの中でほんとうにきついレースの一つだったけど、チーム・ペンスキーのクルーが最高な仕事をしてくれたね」と疲れきった様子のブリスコー。今シーズン8回目のトップ5フィニッシュとなりましたよ。

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12番グリッドからスタートした武藤英紀は、ブラック・タイヤでスタートしました。29周目に1回目のレギュラー・ピットがスタートした中で、12番手をホールドしたまま30周目にピットイン。レッド・タイヤに履き替えて2スティント目に挑んだのですが、プッシュしすぎで一時コース・アウトしてしまいました。これで16番手まで下がりましたが、最終スティントで2ポジションアップして14位。トロントに続き、今回もタフなレースとなったようです。

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「トライしないと何もないという考えで、今朝のプラクティスからセッティングを大きく変えたんです。黒タイヤでスタートしたのですが、すごくグリップしなくて、30周いけないと思っていたほどひどい状況でした。赤タイヤに履き替えたら速さはあったけど、そこで飛び出してしまい、12番手から16番手まで下がったんですね。イエローが出ない94周はほんとうにつらくて、今頭が痛いです。縁石に乗ると体へのショックがすごくて、腰に響きました。タイヤに関しては、レッドのほうがグリップしましたし、持ちも良かったような気がします。黒は最初からグリップしないんですよ。いつタイヤが終わっているのかも解んない状態でした」

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ペンスキーとガナッシ勢以外のドライバーでトップとなったポール・トレイシー。9番グリッドからスタートしたバッド・ボーイは、1周目にチームメイトと接触しながら6番手にジャンプ・アップし、最後までその順位でチェッカーを受けました。「今日のレースに関しては複雑な気持ちだよ。俺たちにとっては良いレースだったけど、1周目にチームメイトのマリオ(モラエス)と接触して彼をスピンさせたことについてはかなり残念だと思う。リタイアさせたのはさっき知った。悪いことをしたな。第1スティントにタイヤの問題があったけど、空気圧を調整したら第2と第3スティントは問題なく、ほぼずっと独走状態だったんだ」と少し反省気味のトレイシー。先週のようにエキサイティングなパスは見られなかったのですが、今回は大勢の母国ファンの前で上位フィニッシュしてみせました。トレイシーもスポット参戦で終わってしまうのはもったいないですね。

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今日は昨晩雨が降ったせいか、朝は少し涼しい気候となりました。その後、気温は昨日ほど上昇せず、26度までしか上がらなかったのですが、蒸し暑かったために体感温度は少し高く感じましたよ。でも猛暑というほどではなく、観戦にはちょうど良かったのではないでしょうか。今年も決勝日には多くのファンが集まり、グランドスタンドはほぼ満席状態。エドモントンでのレースが毎年恒例の夏の祭典として定着している感じを受けましたね。来週からインディカー・シリーズは再び国境を越えてUSAに戻り、ケンタッキー・スピードウエイで3戦ぶりのオーバル・レースが開催されます。オーバルが得意な武藤選手の活躍を期待しましょう。