INDY CAR

母国ファンの前でライアン・ブリスコーが優勝。武藤英紀は8位フィニッシュ

<Honda>

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2008年10月26日(日)
決勝
会場:サーファーズ・パラダイス市街地コース
天候:快晴
気温:24〜26℃
全長:2.795マイル

2008年シーズンの開催前にチャンプカー・シリーズを併合したIRL IndyCarシリーズは、チャンプカーのオーストラリアでのイベントを受け入れることとなり、初めての南半球遠征を果たした。ただし、今大会はノン・チャンピオンシップのエキシビションとなる。レースはクイーンズランド州のリゾート地、ゴールドコーストのサーファーズ・パラダイスで行われた。

ホテルとコンドミニアムのビルが林立する海岸前のダウンタウンに設定されるストリートサーキットは、全長が2.795マイル(約4.5キロ)と長く、フロントとバックの2本のストレートにはチャレンジングなシケインが設けられている。

土曜日に行われた予選は、直前に降った雨によって非常に難しい戦いとなった。ウエットから徐々にドライへとコンディションが変化する中でのタイムアタックとなったためだ。そんな中、オーストラリア出身のウィル・パワー(KVレーシング・テクノロジー)がポールポジションを獲得。2番手には隣国ニュージーランド出身のスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、3番手にはオーストラリア出身のライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)が入り、地元のドライバーたちが見事なパフォーマンスを発揮した。武藤英紀(アンドレッティ・グリーン・レーシング)はドライコンディション用のセッティングはよかったが、ウエットでは十分なトラクションが得られずに16番手となった。

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決勝日は朝からすばらしい快晴に恵まれた。地元ドライバーたちの予選での活躍も手伝ってか、ストリートサーキットには多くの観客が押し寄せ、24台のマシンは大観衆の前でスタートを切った。高速ストリートサーキットでのレースでは、序盤にパワーがトップを快走したが、17周目に単独アクシデントを起こしてリタイア。そこからは、予選3番手から2位へと順位を上げたブリスコーと、逆に3位へと順位を下げたディクソンによる優勝争いが展開された。

ブリスコーは、一時、2秒以上のリードを築き上げたが、レース終盤になってディクソンが猛チャージを見せて急接近。ゴール前の2ラップはテール・トゥ・ノーズのバトルとなった。最終的に、ブリスコーがプレッシャーをはね除けて、0.5019秒の僅差で優勝した。決勝レースでも地元ドライバーたちが大活躍して1、2位を独占し、集まった大観衆を喜ばせた。3位でゴールしたのは、5番手スタートのライアン・ハンターレイ(レイホール・レターマン・レーシング)だった。

16番手スタートの武藤は、スタート直後の混乱に巻き込まれて19位まで順位を大きく落としたが、1台ずつ着実にパスしてポジションをばん回していった。1回目のピットストップを行ったタイミングがよかった上、武藤のラップタイムが終盤には上位陣と大差のないレベルにまで向上。燃費も狙い通りの数字を実現したことで、武藤はスタート時より8つ上の8位でゴールした。

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■ライアン・ブリスコー(優勝)

「母国のレースで優勝できること以上にうれしいことはない。とてもすばらしい一日となった。そして、2008年シーズンを最高の形でしめくくることにもなった。多くのファンが見に来てくれたから、大きなプレッシャーを感じていたのは確かだった。しかし、私にはチーム・ペンスキーが用意してくれたマシンがある。そう信じてコクピットに乗り込んだ。新しいエンジニアがすばらしいマシンを作り上げてくれたからこそ、勝利できた。母国のファンのためにも、勝てて最高にうれしい」

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■スコット・ディクソン(2位)

「スタートが悪かったためにシケインをショートカットし、ブリスコーに2位の座を明け渡さなければならなかった。このコースでのオーバーテイクは本当に難しい。相手の方が速いセクションと、こちらの方が速いセクションがあったが、自分がアドバンテージを持っているセクションでそれを生かしきれず、ブリスコーの前に出られなかった。しかし、レース終盤にトラフィックが生まれたために差が縮まり、エキサイティングなバトルができた」

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■ライアン・ハンターレイ(3位)

「スタート直後にダリオ・フランキッティをパスできたのは大きく、いいリズムで走り続けることができた。アレックス・タグリアーニの後ろにスタックしたときもあったが、いつものようにレイホール・レターマン・レーシングのクルーたちがピットストップで私を彼の前へと出してくれた。それからはミスを犯さぬようにゴールを目指した。このコースが大好きで、今回もいいレースができた」

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■武藤英紀(8位)

「昨日までとは違うセッティングを投入し、それがいい結果をもたらしたと思います。レースでのマシンは、グリップが全体的に高くなっていましたし、フロントが昨日までよりも思い通りの向きに向いてくれるようになっていました。金曜日には4秒ほどもあったトップとの差が、レースの後半には1秒にまで縮まっていました。もちろん、まだ1秒あるわけですから、十分ではないのですが、今回のレースを戦ったことで僕らはストリートコース用のセッティングで大きな進歩を遂げられました。来シーズンに向けて、これは大きな成果だったと思います」

■ロジャー・グリフィス(HPD テクニカル・グループ・リーダー)

「今年は、ノン・チャンピオンシップのレースとしての開催となりましたが、サーファーズ・パラダイスのイベントはすばらしいものになっていたと思います。エンジントラブルは今回も一切ありませんでした。しかし、このコースのバンピーさがどれだけエンジンに影響を及ぼしているか、HPDに戻ってから調べたいと思います。
 今週はプラクティスの日から本当に多くのファンがサーキットに来てくれました。オーストラリアの人々はパーティが大好きで、この4日間、レースを中心としたビッグイベントを思う存分楽しんでいました。
 オーストラリアにはHondaのファンが多く、大歓迎してもらえました。来年からサーファーズ・パラダイスでのレースがシリーズの一戦として開催されるようになるといいと思います」