INDY CAR

スコット・ディクソンが4勝目を挙げてポイントランキングでもトップに浮上

<Honda>

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2007年8月26日(日)・決勝
会場:インフィニオン・レースウェイ
天候:快晴
気温:24〜28℃

2007年のIRL IndyCarシリーズもいよいよ3戦を残すのみ。そして、今週末のインフィニオン・レースウェイから最終戦までは休みなしの3連戦がスケジュールされている。タイトル争いは今年もし烈を極めており、チャンピオンの座をかけた戦いはまたしても最終戦シカゴランドまでもつれ込むことになるはずだ。小さなポイント差でランキングトップを競っている3人のドライバーたちにすれば、この3連戦の初戦を制して勢いをつかみたいところだが、その流れを手にしたのは、ランキング2位で今週末を迎えたスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)だった。予選では5番手と出遅れ、レース序盤も5番手を走っていたディクソンだったが、1回目のピットストップで3番手へとジャンプアップし、最後のピットストップを終えてコースに戻ると2番手へと浮上。そして、ゴールまで7周でダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)をもパスし、優勝へと逃げ切った。

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ポイントリーダーのフランキッティは、ポールポジションからトップを悠々と守り続けていた。しかし、レースが終盤土壇場を迎えたところで、チームメートとアクシデントを起こすという悪夢が待っていた。レースが進むにつれてペースアップしてきた昨年度ウイナーのマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)は、最後のピットストップを終えるとフランキッティの前にピットアウト。すでにピットストップ後に数周を走っているフランキッティの方がスピードは勝っていたが、優勝の可能性をつかんだアンドレッティはターン2でイン側のラインを譲らず、2台は接触。アンドレッティはスピンしてコースオフし、フランキッティはフロントウイングにダメージを受けた。
このアクシデントでフロントのグリップを失ったフランキッティは、残り8周で切られたリスタート後にターン4でディクソンにトップを譲ることとなり、グリップしないマシンでエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)にも先を越され、3位までポジションを下げてゴールするしかなかった。ポイント3位で、今日のレースでの優勝が逆転タイトルに希望をつなぐ条件となっていたトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)は、フランキッティの後ろの4位でゴールした。
ディクソンはシーズン4勝目を飾り、ポイントスタンディングでもフランキッティを逆転。残り2戦でトップに躍り出た。しかし、ディクソンのポイントリードはわずか4点しかなく、まったく油断はならない。カナーンはディクソンとの差が62点に広がり、タイトル争いはディクソンとフランキッティの2人にほぼ絞られた。
松浦孝亮(スーパーアグリ・パンサー・レーシング)は、12番グリッドからスタート。最初のピットストップのタイミングを早める作戦でポジションアップを目指したものの、考えていた通りの展開にはできず。決勝を前に施した小さなマシンセッティングの変更がドライビングを難しくしている中、マシンの持つ力をフルに引き出す走りを続け、今シーズン4回目のトップ10フィニッシュとなる10位でゴールした。
IndyProシリーズは第14戦を土曜日に、第15戦を日曜日に開催。予選10番手から第14戦に出場した武藤英紀(スーパーアグリ・パンサー・レーシング)は、6位争いを行う中でアクシデントに遭い、19位でゴール。第15戦は19番手スタートとなった武藤だが、9つポジションを上げてトップ10フィニッシュ。これにより最終戦を残して武藤のシリーズランキング2位獲得が決定した。IndyProシリーズの最終戦はシカゴランドで行われる予定だが、武藤はその週末のIndyProシリーズ戦には出場せず、IndyCarシリーズへとステップアップし、スーパーアグリ・パンサー・レーシングからデビューレースを戦うこととなった。

■コメント

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■スコット・ディクソン(優勝)
「僕が望んでいた通りの結果になった。正直いって今週末の戦いは本当に厳しいものだった。ダラーラにスイッチして1年目ということもあり、ロードコースでの予選ではまだマシンの力を引き出し切ることができておらず、5番手からスタートしなければならなかった。アンドレッティ・グリーン・レーシングはダリオ(フランキッティ)に大きなリードを与えようと1台のマシンで僕らをブロックしていた。しかし、皮肉なことにもう1台がフランキッティと接触し、彼の一日を台無しにした。僕らのマシンはリスタートでのレスポンスがよく、フランキッティをパスすることができた。彼はフロントウイングにダメージを受けていたことで、ペースカー・ランの間にフロントタイヤを十分に温めることができていなかったのかもしれない」

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■エリオ・カストロネベス(2位)
「レースを通してスコット(ディクソン)との戦いは激しいものだった。失うもののない僕としては、優勝できるチャンスと見ていたので、思いきりアタックした。もちろん、タイトル争いをしている彼を相手に無理をするつもりはなかったけれどね。最後のリスタートのあと、ダリオをパスして再びディクソンの後ろにつけることができた。そこからは自分の持っているすべてを出し切って優勝のチャンスを狙った。しかし、今日の彼がミスを冒すことはなかった」

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■ダリオ・フランキッティ(3位)
「今日のレースではマルコ(アンドレッティ)がピットから出てきたタイミングが本当に悪かった。あの少し前にトニー(カナーン)もほぼ同じタイミングでピットアウトしてきたが、彼は僕にスペースを与えてくれた。あのときに何が起こったのか、ビデオテープをよく見ながらマルコと話し合いたい。僕らはチームメートなのだから、お互いに助け合わなければならないはずだ」

■トニー・カナーン(4位)
「最後の数周は、ダリオのポジションを守るために全力を挙げていた。彼のチームに対する貢献は本当に大きなもので、僕はチームのことを考えながら走っていた。モータースポーツとは時として非常にわがままなものだが、今日僕は自分がチームのために成し遂げた働きを誇りに思う。僕自身にとっては、タイトルを獲得できないのであれば、シリーズランキングは2位でも、3位、4位でも変わりはない。僕はアンドレッティ・グリーン・レーシングにチャンピオンシップを獲得して欲しい。きっとダリオはチャンピオンになるだろう。僕はそう信じている」

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■松浦孝亮(10位)
「この何戦か自分の燃費が悪かったので、レース序盤のピットストップはみんなよりも早いタイミングで入りました。その作戦によってポジションアップを狙ったのですが、逆にチームメートに順位を譲った上に、差をつけられる結果となってしまいました。今週末の自分たちのマシンの仕上がりとしては、トップ10入りとなる10位フィニッシュというのは、まずまずのものだったと思います。もっとマシンを高いレベルに仕上げていく必要があります。次のデトロイトは自分が得意とするストリートコースですから、今回よりも上位での戦いに食い込んでいけるはずです」

■ロジャー・グリフィス(HPDテクニカル・グループ・リーダー)
「カリフォルニアらしいすばらしい天気に恵まれ、レースも非常にエキサイティングなものとなった。スコット・ディクソンがピットストップでダリオ・フランキッティの前に出て、その直後にフランキッティがコース上でのオーバーテークによってトップを奪い返した。あの瞬間が今日のレース、あるいはチャンピオンシップの行方を決定するものになると考えたが、そのあとにフランキッティはマルコ・アンドレッティと接触。もしかしたら、今日のこのアクシデントがタイトルを左右するものとなるかもしれない。
Honda Indy V-8は今週末も一切トラブルはなく、エキサイティングなロードレースに一役買うことができた。我々が開発し、自信を持って投入したオーバーレブ防止システムも万全の働きをしてくれた。
最高のレース日和とあってインフィニオン・レースウェイにはとても多くのファンが集まってくれた。ガレージエリアは朝から多くのファンで賑わい、レース中のグランドスタンドはたくさんの人々によって華やかに埋められていた。来週のデトロイトでも激しいレースが見られることだろう。そして最終戦のシカゴランドでチャンピオンが決定する」