INDY CAR

上位進出を果せなかったものの、気合いの走りで最速ラップをマーク

<SUPER AGURI PANTHER RACING>
<2007 IPSインディ・プロ・シリーズ第14戦カーネロス100>
【日 程】8月24日〜8月26日
【開催地】カリフォルニア州ソノマ
【コース】インフィニオン・レースウェイ
【距 離】2.26マイル(3.636km)×30周=67.8マイル(109.08km)
■■■8月24日予選■■■
【天 候】晴れ
【気 温】26℃
【時 間】15時15分〜(日本時間25日7時15分〜)
■■■8月25日決勝■■■
【天 候】曇りのち晴れ
【気 温】28℃
【時 間】11時45分〜(日本時間26日3時45分〜)
<自己ワーストの10番手スタートも決勝前には問題解決>
 前戦ケンタッキーでオーバル初優勝を成し遂げた武藤英紀とスーパーアグリ・パンサー・レーシングは、セットアップのデータも豊富な得意のロードコース戦で連勝を狙うべくサーキット入りした。しかし、初日最初のプラクティス序盤から55号車はリヤのグリップが足りず、トラクションがまったく掛からないトラブルに陥っていた。最初のプラクティスこそ何とか5番手につけたものの、その日夕方から始まった45分間の予選では、ニュータイヤを装着しても、ほとんどすべてのコーナーでホイールスピンが発生しグリップが得られず、結局10番手グリッドとデビュー以来自己ワーストの結果となってしまった。
 スタッフ総出で原因究明に努めた結果、コーナーウエイトを計るフラットパッドという計器をクルマを載せる際に、右フロントに100ポンド(およそ45kg)ほど荷重が掛けられていたことが判明。結果的にクルマのセットアップを最初から見直すことを強いられた。しかしチーム全体で問題解決に当たったことで、決勝当日のウォームアップで2番手に約0.2秒差をつけトップタイムをマークしたのだ。遅ればせながら、ようやく午後からの決勝に向け戦闘準備が整った。
<快進撃を続けるが、無念のエンジンストップ>
 今週のレースは今季4回目のダブルヘッダー戦。第1レースとなる第14戦は土曜日午前11時45分にスタートが切られた。10番手からスタートした武藤はオープニングラップで早くもポジションをひとつ上げると、翌周には同じくメインストレートで前車を抜き8番手に浮上した。その後も追撃の手を緩めず、12周目の最終ターン進入でイン側からのパッシングに成功し、ついに7番手までポジションアップを果たした。
 本来パッシングポイントが少ないインフィニオンのコースにおいて、武藤の序盤の快進撃はトップ争い以上に観客の注目を集めた。この時点の武藤のペースはトップグループを上回るもので、3〜4秒ほどあった6番手ジェイミー・カマラとの差はわずか2周でみるみる縮まり、早くも背後につくことに成功した。武藤は勢いそのままに、17周目のバックストレッチ直後のシケインで早くも仕掛けたが、ここでは一歩およばない。しかし、カマラがシケインの立ち上がりでやや加速が鈍った隙をつき、武藤はテールにピタリとつけると、最終ターンの進入でイン側からパッシングを試みる。しかし、ここでカマラもインを空けず2台は接触してしまった。2台ともマシン自体に大きなダメージはなかったものの、55号車はここで痛恨のエンジンストップ。オフィシャルの手を借りてエンジンを再スタートさせるのに1周以上を費やしてしまい、無念の周回遅れとなってしまった。
<再スタート後も気合いの走りでファステストをマーク>
 武藤はほぼ最後尾まで順位を落としてしまったが、幸いにもクルマは接触によるダメージが少なかったため、武藤は猛アタックを開始する。周回遅れとなってしまったため上位進出こそ難しい状況だったが、それでも武藤は果敢に55号車をプッシュした。そして迎えた最終ラップ、武藤はこのレースの最速ラップとなる1分23秒8829をたたき出した。順位こそ19位に終わったものの、翌日のレースにつなげる最速ラップとなった。
 26日の午前10時20分から行われる第15戦は、トップ8はリバースグリッドでスタート。9位より下位となった武藤は第1レースの順位がスターティンググリッドとなり、19番手グリッドからスタートする。
■■■コメント■■■
<武藤英紀>
「接触は攻めた結果。明日のレースは冷静に、そして全力で臨みたい」
「予選はトラクションがまったくかからず、グリップが得られない状態だったのですが、よく調べたらコーナーウエイトを計る際に100ポンドも右フロントに荷重が間違って載っていたのが原因でした。これではどんなにセットアップを詰めてもクルマが良くならないハズです。すごく初歩的なミスですが、原因を突き止められたのは良かったです。実質、ちゃんと走れたのは今朝のウォームアップが初めてという状況でしたから、どちらにしても厳しいレースになっていたと思います。
 ただ、レースは17周目に接触し、そこでエンジンが止まってしまいました。残念な結果となってしまいましたが、攻めた結果ですし、しょうがないと思います。あのまま順位をキープしていけば、明日の第2レースでは上位グリッドからスタートできることはわかっていましたが、僕らはそういう戦いをしてはいないので、納得しています。接触した最終コーナーではカマラのインサイドに入れたと思ったのですが、そこでカマラもインを空けてくれず、ぶつかってしまいました。お互いギリギリの状態でレースをしていたので仕方ないと思います。レース後、カマラとは話をしてお互いに謝りました。
 明日の第2レースは下位グリッドからのスタートとなりますが、最低でも10台は抜きたいです。ただ、あせらずに冷静に、そして全力で攻めるようにがんばります」
<ブレア・チューバッカー:クルーチーフ>
「トップ争いができる速いマシン、速いドライバーがいると再認識」
「我々はセットアップでミスを犯してしまい、それが原因で予選グリッドが下位になってしまった。ただでさえ抜きづらいこのコースではかなり厳しい結果となったが、決勝前には問題も解決できたし、レースでのマシンは十分にスピードもあった。
 ヒデキはレース中、リスク承知でポジションアップに努め、3台もパスすることができた。カマラに対してもラップタイムでは十分に速かったが、カマラはアグレッシブなドライバーとしても知られており、パッシングは簡単にいくとは思っていなかった。もう何周か様子を見てからパッシングをトライしても良かったかもしれないが、ヒデキが生粋のレーサーであるいうことも我々は十分わかっている。結果的に接触してエンジンがストップしてしまったのは残念だったが、それも攻めた結果だ。周回遅れになってからもヒデキは果敢にプッシュして、最終ラップに最速ラップをたたき出してくれた。
 レース全体で見れば、我々エンジニアもミスをし、ヒデキもミスをしてしまったが、うちのチームにはトップ争いができる速いマシンと、速いドライバーがいることが改めてよくわかった。明日のレースは下位グリッドからのスタートになるので、第1レース同様に厳しい状況になるだろうが、なんとしても上位フィニッシュして、最終戦前にランキング2位を決定させたい」
■■■予選結果■■■
2.26マイル(3.636km)               出走22台
順位 No. ドライバー    タイム   平均速度mph(km/h)
1位 51  R.アンティヌッチ 1’22.2742  100.639(161.928)
2位  7  A.ロイド     1’22.4512  100.423(161.581)
3位 24  S.シンプソン   1’22.7260  100.089(161.043)
4位 53  M.ポテケン    1’23.1222  99.612(160.276)
5位 12  P.ギブラー    1’23.1337  99.599(160.255)
10位 55  武藤英紀     1’23.5466  99.106(159.462)
■■■決勝結果■■■
2.26マイル(3.636km)×30周=67.8マイル      出走22台
順位 No. ドライバー     周回数       タイム差
1位  7  A.ロイド       30      0:45’28.8873
2位 51  R.アンティヌッチ   30         +0.8927
3位 53  M.ポテケン      30         +5.6988
4位 24  S.シンプソン     30         +6.5361
5位 11  J.カマラ       30        +13.7964
19位 55  武藤英紀       29         1周遅れ
※全車、シャシーはダラーラ、タイヤはファイアストン
■■■ポイントスタンディング■■■
順位 No.  ドライバー    ポイント      ビハインド
1位  7  A.ロイド      600        リーダー
2位 55  武藤英紀      461          -139
3位 27  W.カニンガム    391          -209
4位 11  J.カマラ      350          -250
5位  1  B.ウィルソン    345          -255