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インディ・カー・シリーズ 第12戦 ミド-オハイオ[決勝日]フォト&レポート

<US-RACING>

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スコット・ディクソンが27歳の誕生日に、第10戦ワトキンス・グレンから3連勝という離れ業をやってのけた。スタートで同士討ちしたアンドレッティ・グリーン・レーシングのダニカ・パトリック、トニー・カナーンが後退し、マルコ・アンドレッティがリタイアしたことで、6番手から一気に2番手へジャンプ・アップしたディクソン。コーションが解除された後はポール・ポジションのカストロネベスをぴたりとマークし、前々戦のワトキンス・グレンを思い起こさせる緊迫した接近戦を演じる。抜きづらいコース特性のため、ディクソンは無理にオーバーテイクを仕掛けることはせず、ピット戦略を使ってスマートに逆転。50周目に再びカストロネベスの先行を許すも、3回目のピット・ストップはカストロネベスよりも1周あとに行うことで見事に出し抜き、再度リーダーに返り咲く。最後は2番手に上がったダリオ・フランキッティを振り切り、IRL史上3人目の3連勝を達成した。「今年はチームのピット作業がほんとうにすばらしいんだ。彼らのおかげでかなりレースが楽になっているよ。最初のスティントは燃料をセーブすることでエリオより1周多く走ることができた。2回目と3回目のスティントは信じられないくらい全開で走ったね。すべてのラップが予選アタックみたいだったよ。今日はタフなレースだったけど、チャンピオンシップにとってはすばらしい一日になったね」と喜ぶディクソン。ポイント・ランキングでフランキッティとの差を24点に縮め、タイトル争いは終盤戦に向けてますます白熱してきた。

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ポイント・リーダーのダリオ・フランキッティは2位を確保した。スタートで5番手から4番手に浮上したフランキッティ。抜群のスタートを決めて3番手に躍進したダレン・マニングの背後に迫るが、今日のフランキッティには前のマシンを抜くだけの力強さがなかった。AGRの巧みなピット戦略で何とか2番手まで順位を上げたものの、トップのディクソンを追い詰めるにはいたらず、2位でレースを終えた。「2位でフィニッシュできたけど、不幸にもスコットがまた僕たちの前にいるんだ。彼はほんとうにすばらしいレースをしたね。もちろんエリオもすばらしかった。レース中ずっと、このマシンで出来る限り攻め続けたんだ。すごく厳しい戦いだったよ」とレースを振り返るフランキッティ。勢いづくディクソンがじりじりとポイント差をつめてきており、フランキッティは苦しい立場に追い込まれつつある。

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IRLタイ記録となる今シーズン6回目のポールからスタートしたエリオ・カストロネベスは、3位に終わり、またしても予選の速さが決勝に伴わなかった。フロント・ローのダニカ・パトリックをはじめ、強力なライバルとなるはずのAGR勢が自滅し、スタートから楽な立場になるはずだった。だが、2番手に上がったディクソンから激しい追い上げを受ける。なんとかディクソンを押さえ込んでピット・ストップを迎えるも、今日はこのピット作業でチップ・ガナッシが一枚上手だった。苦労してディクソンからポジションを守ったにもかかわらず、たった1回のピット・ストップで逆転を許してしまう。最後のピット・ストップではフランキッティにまで前を行かれ、結局、3位まで順位を落としてフィニッシュした。「今日は一番強いマシンではなかったという事だね。ピット・ストップでディクソンに抜かれるなんて、とにかく残念だよ。3位は望んでいた結果ではないけれど、ここ数戦続いていた悪い結果から立ち直れたんだ。そういう意味では3位は良い結果といえるね」とほっとした様子を見せたカストロネベス。この結果が今シーズン4回目のトップ5フィニッシュということを考えると、これまでカストロネベスがいかに苦戦を強いられていたかがわかる。

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快晴となったミド-オハイオ・スポーツカー・コース。昨日あった斑な雲も少なく、この三日間でいちばんの陽気となった。気温は午後1時30分の時点で23度まで上がり、走るとさすがに汗がにじむ蒸し暑さを感じた。このレースはアメリカ三大ネットワークであるABCで中継されるはずだった。ところが、イギリスのカーヌスティで行われていたゴルフの全英オープンが、セルジオ・ガルシアとパドレイ・ハリントンとのプレーオフに突入したことから、ゴルフ中継が延長となり、急遽ESPNへ切り替わることになった。

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IRL初開催のミド-オハイオは、レース直前になってもコース内に入れない観客がゲートに溢れ、スタートが30分遅らされるほどの大盛況だった。昨日行われたアメリカン・ル・マンの倍の観客がいたように見え、IRLが行われるほかのロードコースのインフィネオンやワトキンスグレン、市街地レースのセント・ピーターズバーグより観客が多い印象を受けた。2003年のチャンプ・カー以来となる久しぶりのオープン・ホイールのレースを、地元ファンは待ちわびていたようだ。

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ロード・コースでは初めてのフロント・ローを獲得したダニカ・パトリック。今日の観客のお目当ては、このパトリックの活躍だったかもしれない。しかし、注目されたスタートはあっさりとカストロネベスを逃がしたばかりか、チームメイトのカナーンと接触してコース・オフしてしまう。パトリックと接触したカナーンはコースのちょうど真ん中でハーフ・スピンを喫し、避けきれなかったアンドレッティがカナーンのマシンに乗り上げ、インディ500に続いてまたしても横転の大クラッシュを演じた。幸いアンドレッティに怪我はなく、自力でマシンを降りたが、この時点でリタイア。パトリックは9位まで順位を落とし、カナーンは最後尾に転落した。しかし、パトリックはレースを諦めることなく、すばらしいファイトで前車をオーバーテイク。抜きづらいコースにもかかわらず、自力で順位を挽回していった。この熱い走りにチームも素早いピット作業で応え、なんとロード・コースではベストとなる5位まで追い上げてフィニッシュした。力走を見せたパトリックだったが、トップと遜色のないペースで走れていただけに、スタートのアクシデントが悔やまれる結果となった。一方のカナーンも、コーション中に燃料補給することで変則的なピット作戦を組み立て、パトリックより前の4位でフィニッシュして見せた。

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ジェフ・シモンズに替わって急遽インディカーの参戦が決まったライアン・ハンター-レイは、いきなり7位に入って見せた。このミド-オハイオはチャンプ・カー時代に表彰台フィニッシュを飾っているコースとはいえ、まったく経験のないマシンに、初めて一緒に仕事をするクルーたちという厳しい条件がそろっていた。さらに今朝のウォーム・アップ・セッションではクラッシュを喫し、マシンを壊すミスを犯してしまう。しかし、チームはレースまでにマシンの修復を間に合わせ、ハンター-レイもその期待に応えるように、序盤からチップ・ガナッシのウエルドンを従えての力走。これが初めてのレースとは思えないほどのパフォーマンスを見せた。「最高の気分だよ。テストもしないで出た初めてのレースなのに、7位でフィニッシュできるなんて、僕にとっては勝つことと同じくらいの気分だよ」と大喜びのハンター-レイ。彼のポテンシャルの高さを示すには、十分すぎるほどのレースとなった。

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粘り強い走りで12位に入った松浦孝亮。今週末はスピードが伸び悩み、初日から厳しい戦いが続いていた。決勝でもペースは上がらず、ポジションを守るのが精一杯。それでも最後まで走りぬき、スタート・ポジションから1つ順位をあげてフィニッシュした。「今日はクリーンなレースになりましたね。燃料の計算を少し間違って、最後に燃料を足すことになりましたが、他にミスはなく、チームは進歩しています。次のロードコースとなるインフィネオンは、こことはタイプが違いますけど、僕たちは良いマシンに仕上げられるとおもいます」と話す松浦。昨年トップ10フィニッシュを果たした次戦のミシガンで、好走を期待したい。

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昨日、IRLの今シーズン最終戦であるシカゴ・ランドに出場することが発表された武藤英紀。迎えた今日のプロ・シリーズ決勝は、ダウン・フォースを減らして9番手から上位を狙う。スタートで狙いどおり1台をかわした武藤は、9周目にロビー・ペコラリをパス。7番手まで順位を上げる。攻めすぎてコース・オフするヒヤリとした場面もあったが、23周目にポイント・リーダーのアレックス・ロイドがトラブルで戦列を去ると、25周目にはボビー・ウイルソンをオーバーテイクして5番手まで躍進した。最後は4番手のアンドリュー・プレンダヴィルをコンマ9秒まで追い詰めたものの、ここでレースは終了。抜きづらいとされるミド-オハイオのコースで、9番手スタートから5位でフィニッシュするすばらしいレースを見せた。

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「スタートで前のマシンをかわすことと、コーションが出ることを予想してリスタート後のストレートで抜くという作戦だったので、僕は他のドライバーよりレス・ダウンフォースで行きました。ダウンフォースが少ないぶん他のドライバーの後ろにはつけなかったから、レース中に抜くことは考えていなかったというか、ありえなかったですね。それでも、前のマシンが遅いマシンに引っかかってくれたので、タイミングよく抜けました。ダウンフォースをつけていたら、リスタートでも抜けないと思っていたので、9番手スタートからの5位は良かったと思います。ポイント・リーダーのロイドがリタイアしたのも良かったですね。予選は9位で悔しかったですが、今日は出来るだけのことはやりました」とレースを振り返る武藤。果敢な走りで結果を残し、チャンピオンシップでトップのロイドとの差は、111ポイントに縮まった。