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インディ・カー・シリーズ 第10戦 ワトキンス・グレン[初日]フォト&レポート

<US-RACING>

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今シーズン初の常設ロード・コースとなるワトキンス・グレンで、初日のプラクティスのトップ・タイムをマークしたのは、第2戦セント・ピーターズバーグの覇者であるエリオ・カストロネベスだった。この日、36周を走りこんだカストロネベスは、2回目のプラクティスで1分30秒1192をマーク。得意とするロード・コースで実力を遺憾なく発揮し、トップのまま初日を終えた。「良い一日だったよ。幾つかの場所で舗装が改良されていたから、タイムは確かに速くなっているね。ペンスキーは一生懸命に作業をしていて、それを証明することができた。午後からのスピードには興奮したけど、明日の予選が重要なんだ」と上機嫌のカストロネベス。このところついていないレースが続いているだけに、良い流れで初日を終えることができて一安心した様子だ。

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2005年の初開催からこのワトキンス・グレンを2連覇しているスコット・ディクソン。チームは昨年からダラーラ・シャシーを採用していたが、ロード・コースに限ってはパノスを使用していた。そのため、ダラーラに完全移行したロード・コースでの走りに注目が集まっていたなか、ディクソンはしっかり2位に入ってきた。全体で3番目に多い43周を周回する精力的な走り込みを見せたディクソンは、1分30秒1587までタイムを縮める。トップのカストロネベスには0.0395秒というほんとうにわずかな差で届かなかったが、ワトキンス・グレン3連覇に向けてよい形で初日を終えた。「ダラーラ・シャシーで走るのは初めてだから、今朝は少し苦労したね。僕たちは学習してファイン・チューニングする必要があったんだ。幾つか変更したことで、マシンは良くなっているように思う。もう少しだけ改良して、明日はもっとスピードを上げたいね」と今日を振り返るディクソン。今シーズン初勝利のために、明日はなんとしてもポール・ポジションが欲しいところ。

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3位につけたのは、なんとドレイヤー&レインボールド・レーシングのバディ・ライス。アイオワからの2戦、連続してトップ5フィニッシュを飾っていたライスが、3強の牙城を崩す見事な走りを披露した。この日、トータルで37周を走ったライスは、午前中のプラクティスで1分30秒2580を記録。現在ポイント・リーダーのダリオ・フランキッティを押さえ、トップで1回目のプラクティスを終えた。午後からはタイムを伸ばすことができず、ペンスキーのカストロネベス、ガナッシのディクソンが台頭したため、順位を落とすことを強いられたが、総合タイムではトップ3の一角に入り込んで初日を終えた。「ショート・オーバルの2戦の勢いがまだ続いているようだね。僕たちはミド-オハイオのオープン・テストでも速かったんだ。明日は、トップ6に入って、ファイアストン・ファスト・シックスに残ることができると思うよ」と喜ぶライス。これまでオーバルでの強さが目だっていたライスだけに、意外なダーク・フォースがレースをかき回してくれそうだ。

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天気がころころと変わることで有名なワトキンス・グレン。朝のうちは少しばかり肌寒さを感じだが、太陽が出ていたため次第に気温は上昇していく。午後には蒸し暑さを少し感じるも、過ごしやすい一日となった。2005年のIRL初開催以来、毎年天候に翻弄され続け、今年も初日から雨の心配があったが、朝から青空が見えて午前のセッションは無事に行われた。ところが、お昼を過ぎると雨雲がワトキンス・グレン周辺に近づき始める。午後のセッションがコース修復のために遅れ、走行開始が3時50分になると、その直前に雨粒が落ちだして路面を濡らしてしまった。幸い通り雨だったことと、その後の日差しが強かったため、一気に路面が乾いてウエット・タイヤでの走行とはならなかった。晴れていても油断ができないワトキンス・グレンは今年も天候が大きなキーポイントになりそうだ。

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ここワトキンス・グレンに来ても人気が衰えないダニカ・パトリック。テキサスでは自己ベストの3位を獲得し、先週のリッチモンドでも6位に入って新チームで次第に力を発揮してきたため、その人気に再び火がついたようだ。6月25日にハリス・インタラクティブが行った“アメリカ人が選ぶ好きな女性アスリート”では、テニスのセリーナ、ビーナスのウイリアムズ姉妹に割ってはいる2位を獲得し、彼女の人気は全米規模になっている。今日は苦手なロード・コースで12位に沈むものの、特別な記者会見の場が設けられ、しかもトップ3の記者会見よりも報道陣が多かったからダニカ・フィーバーは留まることを知らないといった感じ。明日、2007年7月7日で7が3つ揃う縁起が良い日に、カーナンバー7のダニカが良い結果を出すことをファンは願っている。

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8戦ぶりのロード・コースで初日は8位に入り、元気な走りを見せてくれた松浦孝亮。今日は午前のプラクティスから好調で、9番手となる1分31秒1697のタイムをマークしてプラクティスを折りかえす。午後になってからも調子を維持した松浦は、1分30秒8648までタイムを縮め、チームメイトのヴィットール・メイラを上回る8位で初日を終えた。さすがにロード・コースでは強さをみせてくれた松浦。今シーズン不運続きだっただけに、ファンをほっとさせてくれた。「今日は良い一日でしたね。上位勢と同じようなスピードで走れたことが嬉しかったです。マシンはそれほど良い感じじゃないので、バランスをもっと改善したいです。今朝のセッションのセットアップは良い感触でしたが、午後のセッションが始まる前に行った変更はあまり良くなかったですね。ターン11でタイム・ロスした以外は、幾つかのコーナーで少しタイムを取り戻すこともできました。明日はファイアストン・ファスト・シックスに残れる自信があります」と意気込みを語る松浦。明日の予選に期待が持てる初日となった。

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インディカーと併催されるインディ・プロシリーズは第一予選が行われ、パンサー・レーシングの武藤英紀は4位に入った。F1の前座で行われ、ポール・トゥ・ウインを飾ったインディアナポリス以来のロード・コースとなり、ポール・ポジションも期待された武藤。セッション終了間際まで、カニングハムとロイドに続く3番手をキープしていたが、最後にダニエル・ハリントンに逆転されて4位となり、初日はライバルたちの先行を許す形になった。「コースが攻略できていないので、4位は良いほうだと思いますね。毎セッション速くなっていますが、まだ詰め切れていないです。鈴鹿と一緒でひとつミスするとそれが取り返せないコースです。ブレーキングではあまりタイムを上げられません。マシンについて細かく言えるほど走れていないから、マシンのセッティングを変えて速くなるより、コースを攻略して速くなっていく段階なので、まずは自分の限界にいかないといけないですね」と、まだまだタイム・アップできる余地を示唆してくれた武藤。明日の最終予選で逆転ポール・ポジションを狙う。初日の暫定ポール・ポジションは終始予選をリードし続けたカニングハムが、ただ一人1分36秒台にいれる、1分36秒7418の驚異的なタイムで獲得した。