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チャンプ・カー・ワールド・シリーズ 第7戦 トロント[初日]フォト&レポート

<US-RACING>

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今年で22年目を迎える伝統のエギジビション・プレイス・ストリート・コースの初日。第3戦ヒューストン以来となるストリート・コースでの予選は、トップから1秒以内に12台のマシンがひしめき合う熾烈な戦いとなった。その中で、最後までトップを守り抜いたのはディフェンディング・チャンピオンのセバスチャン・ブルデイ。プラクティスから好調だったブルデイは、予選に入ってもからもハイ・ペースでタイムを上げ、セッション中盤に59秒375を記録してトップに躍り出る。他のライバルがソフト・コンパウンドのレッド・タイヤで追走するなか、ブルデイは終始ブラック・タイヤを使い続けた。さらにタイムを削り取ったブルデイは、最後のアタックで昨年まで使用されていたローラ・シャシーがマークしたポール・タイムに、コンマ6秒差まで迫る58秒783を記録。この日最初に59秒台を切ったセルビアをわずかにかわし、初日のポール・ポジションを確定させた。「僕だけかもしれないけど、今日はすごく滑りやすかったよ。さっきもジャスティンとその話をしていたんだ。テール・スライドのオン・パレードのようだった。すごく楽しかったけど、確かにウォールに囲まれている中で滑り始めたらかなり恐いよね。ウォールに触れるのと突っ込むこととの間には、ほんの少しの差しかないんだ。今日はなんとか突っ込まずに済んだよ。明日に向けて幾つか進歩する必要があるね」と今日を振り返るブルデイ。レッドタイヤもしっかり温存し、明日のポール・ポジションに向けて死角はなさそうだ。

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0.018秒差で初日のポール・ポジションを逃したオリオール・セルビア。トレイシーの代役として出場した第2戦のロング・ビーチで、いきなり2位表彰台を獲得して以来苦戦続きだった8年目のベテランが、走りなれたストリート・コースで巻き返しをみせた。今日の予選は終始ハイペースを保ったセルビア。レッド・タイヤに履き替えてからは、さらに走りが冴え、予選終了までブルデイと緊迫したタイムバトルを繰り広げる。最後はブルデイにタッチの差でポールに届かなかったが、明日の予選に弾みがつく2位で初日を終えた。「セバスチャンに0.02秒差で負けるなんて、いつもイライラするよ。でも、正直に言うと、トップ3に入れたことはとても嬉しいんだ。久々だからね。ここ数戦はスピードがなかった。フォーサイスのような名門チームにいながら、速く走れないというのはとてもストレスが溜まる」と一安心のセルビア。これまで若手に押され気味だったベテランの復活に、ファンも胸をなでおろしたはずだ。

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3位にはジャスティン・ウイルソンが入り、トロントの初日はベテラン勢がトップ3を独占した。セルビアと同様に、今日の予選でブルデイを激しく追走したウイルソン。前戦のモン-トランブランでは雨に足元をすくわれ、みすみす優勝を逃しただけに、このトロントにかける意気込みは強かったはず。だがその気合が空回りしたのか、最終アタックのターン8でスピンしてしまう。結局、初日はトップのブルデイに0.316秒届かず、3位に終わった。「今日の予選セッションと今朝のプラクティスで色々進歩できたのは嬉しいね。CDWのマシンはかなり良い感触だったし、ポールを獲るチャンスもあったと思うよ。でもセルビアと同じように、渋滞につかまってしまって良い走りをまとめることができなかったんだ」と悔しがるウイルソン。今日使用しなかったレッド・タイヤで、明日は逆転のポール・ポジションを狙う。

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トップ3の後にはミナルディ・チームUSA所属の実力派若手ドライバーが続き、前戦でキャリア初優勝を遂げたばかりのロバート・ドーンボスと、“スピーディ・ダン”こと2年目のダン・クラークがしっかりトップ5に入ってきた。タイムもトップからコンマ5秒付近につけ、トップ3に陣取るベテラン勢を牽制できる位置にいる。「また、ストリート・サーキットに戻ってきて面白いけど、ちょうど良いセット・アップを見つけるのに手間取ったね。僕たちは特にトラクションの点で、もっとハードに作業しなくてはいけないよ。明日もチャンスがあるから、第2予選でポジションを上げることを狙っているんだ」と語るのは、4位に入ったドーンボス。チームとしても絶好調のミナルディ・チームUSAの二人が、明日の予選でどこまでベテラン勢を追い詰めてくれるのか期待が高まる。

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トップ10に食い込み、久々に元気な走りを披露した女性ドライバーのキャサリン・レッグ。今シーズンは開幕2レースでトップ10入りを果たしたものの、デイル・コイン・レーシング自体の戦闘力不足にも悩まされ、ここまでは予選、決勝ともに精彩を欠いていた。ところが今日は、見違えるような速さがあり、トップと0.737秒差の9位。チャンピオンシップ2位を3度も経験しているチームメイトのブルーノ・ジュンケイラを上回る、見事な予選パフォーマンスを見せてくれた。「今日のタイムにはとても満足しているわ。予選9位なんて今週はすばらしいスタートが切れている。今日、チームはほんとうにすばらしいマシンを用意してくれた。明日は天候に頼らなくたって、もっと速く走れると思うわ」と大喜びのレッグ。明日の予選ではさらに上位を狙う。