<US-RACING>
250周レースの241周をリードする完璧な走りで、ダリオ・フランキッティが今シーズン3勝目を飾った。雨によって予選がキャンセルされたため、ポイント・ランキング順によって労せずポール・ポジションを得たフランキッティは、スタートから2番手のトニー・カナーンを引き離していく。コーション中のピット・ストップ時にいったん順位が入れ替わるも、リスタートですぐさまトップを奪い返すと、今日のフランキッティはまったくライバルを寄せ付けず、そのまま2連勝のチェッカード・フラッグを受けた。アンドレッティ・グリーン・レーシングは、ミルウォーキー、アイオワ、リッチモンドとここまで行われたショート・オーバルを完勝し、IRLのエントラントで最多となる28勝目をマークした。「リッチモンドを走るのはすごく楽しいよ。マシンの動きに集中しないといけないから、僕のスタイルにぴったりだね。チームのみんなが素晴らしいマシンに仕上げてくれるので、僕の仕事が楽になるんだ。AGRのエンジニアリング・スタッフには感謝しているよ。昨日の夜にいくつかの大きなギャンブルをしたんだけど、僕のエンジニアのアレン・マクドナルドが知的な推測をして、今日はそれがほんとうにうまくいったよ」と大喜びのフランキッティ。チャンピオンシップのリードを65点まで拡大し、初めてのシリーズ制覇へ着々と進んでいる。
前戦のアイオワでポール・ポジションを獲得しながら、トラブルによって10位に沈んだスコット・ディクソン。今日はここ2戦続いていた不運に見舞われることなく、安定したレース運びを見せる。チームも2回のピット・ストップを完璧にこなし、今シーズン4回目の2位フィニッシュでレースを終えた。「絶対に良いマシンだったと思うけど、レースの最後までずっとポジションが上げられなかったよ。レースの終盤にダリオは燃料をセーブしなければいけなかったから、サム・ホーニッシュJr.を利用して空気抵抗が少ないところで走っていたんだ。そのときに、抜くべきだったね。ここ数年は、このようなショート・オーバルで苦労していたけど、今はかなり良い感じだ。力強い走りができてうれしいね。次のワトキンス・グレンを楽しみにしているよ」とレースを振り返るディクソン。彼の走りは堅実なことで定評があり、2004年から2005年に記録されたトニー・カナーン並ぶ、25戦連続フィニッシュを達成した。これでチャンピオンシップ・ランキング2位へ躍進したが、そろそろ優勝が欲しいところ。次戦、2年連続で優勝している得意のワトキンス・グレンで今シーズン初勝利を狙う。
2戦連続してもらい事故によってレースが台無しになっていたダン・ウエルドンは、3戦ぶりに3位に入った。チームメイトのディクソンに勝るとも劣らない安定感があった今日のウエルドンは、スタートからレース終盤まで4番手のポジションをキープ。173周目には前を走るカナーンをパスするほか、レース中の最速ラップを記録するなど、彼本来のアグレッシブな走りも見られ、3位でフィニッシュした。「今日のレースはすごく大変で、今までのリッチモンドのレースに比べると、だいぶ印象が違うね。レースをリードしているときは楽だけど、リーダーに追いついて抜こうとするのはほんとうに難しいことだよ。ここで勝てる人は限られているし、僕たちのマシンはかなり良い感じだったので、チャンスがあったと思う。ダリオは優勝に値するレースをしたけど、チャンピオンシップ・ポイントを考えると、彼には優勝してほしくないよね。チームにとっては、特にここ数レースに比べて良いレースだったよ」とほっとした様子のウエルドン。ここ2戦の悪い流れを断ち切り、ここから上昇気流に乗りたいところだ。
ドレイヤー&レインボールド・レーシングのバディ・ライスは2戦連続でトップ5に入った。前戦はアクシデント続出の波乱のレースをかいくぐっての4位だったが、リッチモンドでは16台が完走するなか、上位3チームに割って入る活躍。バックストレートで前車のドラフティングを使い、ターン3でオーバーテイクする巧みな走りでポジションを上げ、5位を掴み取った。「うれしいよ。このチームに競争力があることを見せることができた。幾つかミスもあったけど、マシンの感触は良かったんだ。僕たちはミルウォーキーやミド-オハイオのテストでも速かったからね」とトップ5フィニッシュを喜ぶライス。2004年のインディ500覇者がチームを牽引し、上位を争うまでになった。今後のライスの走りに注目だ。
昨日は豪雨に見舞われたリッチモンド・インターナショナル・レースウエイ。日中から雲が上空を覆っては通り過ぎていくことを繰り返していたが、今日は雨の気配がなかった。夜になっても気温が下がらず、スタート時刻の午後7時30分でも28度の暑さ。動けばすぐに汗がにじみ出る夜となった。毎年ウィークエンドを通して雨に翻弄されるリッチモンドも、今年のレースで雨が降ることはなく、無事に終えることができた。
今日、最初のコーションの原因を作ったサム・ホーニッシュJr.。スタートで5番手からのジャンプ・アップを狙ったところ、いきなりスピンを喫してしまう。これでリズムを崩したのか、ホーニッシュJr.は序盤の27周目に周回遅れとなり、15位でレースを終えた。「ストレスが溜まる夜だったよ。マシンがかなり良かったから、スタートで前の2台をパスしようとインサイドに出たら、いきなりスピンさ。こんな結果になってしまったことを、毎戦すばらしい仕事をしてくれているチームのみんなに、謝らなければならないね」と、ホーニッシュJr.は悔しがる。一方、チームメイトのエリオ・カストロネベスもペナルティで11位まで順位を落とし、チーム・ペンスキーにとってはツキの無いリッチモンドの夜だった。
前戦は7位の好走を見せながら、カナーンの単独スピンに巻き込まれてレースを失ったジェフ・シモンズ。今日のレースでは13番手スタートから、早々にラップ遅れとなってしまい、156周目の単独ラッシュで良いところなくレースを終えた。「チームのみんなががんばってくれたのにほんとうに残念だよ。マシンの仕上がりがよいときに限って、必ず何かの問題が発生するね。クラッシュはマシンを徐々に改善して、次のピット・インの準備ができたときに、マシンが急に外側に滑ってしまったんだ」と肩を落とすシモンズ。チームメイトのスコット・シャープが7位に入り、チームが登り調子なだけに悔しい結果となった。
18番手スタートの松浦孝亮は今週末起きているハンドリング・トラブルに終始苦しめられ、ピットで改善策を講じるも成果が上がらず、厳しい戦いとなった。それでも粘り強い走りを続け16番手まで順位を上げた松浦だったが、レース終盤の236周目にはホーニッシュJr.と接触してダメージを受け、レースを終えた。「プラクティスから厳しいハンドリング・トラブルがあって、タフなレースになることはわかっていました。決勝ではまあまあ良かったんですが、オーバーテイクするのは難しかったです。レースがフィニッシュできなかったのは残念ですが、マシンが大きなダメージを受けなかったのが、ひとつポジティブなことですね」と語る松浦。次戦は得意のロードコースとなるワトキンス・グレンで、松浦の好走を期待したい。