INDY CAR

インディ・ジャパンに向けてトップ・ドライバーがプレス・レセプション

<US-RACING>

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1998年にツインリンクもてぎでアメリカン・オープン・ホイールの最高峰レースが行われてから10年目を迎える2007年。その記念すべき10回目のレースとなるブリヂストン・インディ・ジャパン300が4月21日土曜日に行われるのに先立ち、3月18日に都内のウィンストン・ホテルでホンダ・レーシング主催のメディアを集めたプレスレセプションが行われた。
まず始めに本田技研工業株式会社、広報・モータースポーツ担当執行役員の大島裕志氏が壇上に上がり、歓迎の挨拶とIRLインディカー・シリーズを紹介。続いてホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)のロバート・クラーク氏からは、HPDがIRLにおいて果たしてきた役割や、今年から燃料がエタノールに代わったことで、エンジンにどのような仕様変更があったのかといった説明があり、その後、壇上に今週末のインディ・ジャパンに出場する5人のドライバーが上がった。
この日は昨年のシリーズ・チャンピオンであるサム・ホーニッシュJr.選手、昨年のもてぎウイナーのエリオ・カストロネベス選手。05年のシリーズ・チャンピオンで04年と05年のもてぎウイナーであるダン・ウエルドン選手、2003年のシリーズ・チャンピオンのスコット・ディクソン選手、そして日本人ドライバーでは現在唯一インディカー・シリーズに参戦している松浦孝亮選手が出席。今シーズンの目標やもてぎに向けての意気込みを語った後、メディアからの質疑応答を受けた。最後に、モビリティ・ランド常務取締役ツインリンクもてぎ総支配人の山田格氏からの挨拶で約1時間のレセプションが終了した。

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ドライバー・インタビュー
Q:サム・ホーニッシュJr.選手に伺います。昨年は念願のインディ500制覇と3度目のシリーズ・チャンピオンを獲得し、輝かしい戦績を残されましたが、今年はどのような目標があるでしょうか?
サム・ホーニッシュJr.:
「今年も同じようにインディ500の優勝と、シリーズ・チャンピオンを狙っていきたいです。そして日本でのレースも、オーバルではまだ優勝できていないコースなので、優勝したいです」
Q:サム選手はまだインディ・ジャパンでの優勝を経験されていないですが、もてぎで初めてインディカーを走らせたドライバーとして、もてぎへの思い入れを一言御願いします。
サム・ホーニッシュJr.
「もてぎのコースはオーバルのなかでも難しいコースと言うことで、また今年も走れることを楽しみにしています。もてぎはスピードを保ちながら、ダウンフォースをどれだけ付けるかを考えながら走らなくてはいけないチャレンジングなコースです。ここ数年もてぎで走れたことは良い経験となりましたが、やはりここで結果を出したいですね」
Q:昨年インディ・ジャパンを制したエリオ・カストロネベスにお聞きしますが、もてぎの攻略法を教えてください。
エリオ・カストロネベス
「去年はすばらしいセット・アップで、すべてが上手くいって完璧な週末だったので、今年もまったく同じことをやりたいと思います。サムも言ったようにもてぎはとてもチャレンジングなコースだけど、昨年と同じようなセット・アップで望み、同じ優勝という結果になることを期待しています」
Q:今年もエリオ選手が金網を登るパフォーマンスが見れることを期待していますが、あのパフォーマンスを始めたきっかけを教えてください?
エリオ・カストロネベス
「2000年のデトロイトで初優勝をあげたとき・・・、今年も同じ場所でレースをすることになっているのですが、自分の気持ちを何とか表現したいと思ってやったんです。嬉しさのあまり、どうしたらよいのかわからなくなってしまったんですね。ほんとうはピットに行くべきだったのでしょうが、間違ってしまったんです。ですから観客がとても熱狂していたので、突然観客のみんなと一緒に優勝を祝いたいと思って金網に登りました。結果的に自分を表現する方法になりましたし、ファンのみんなも気に入ってくれたので良かったです。今は喜んで毎回やっています」
Q:昨年はサム・ホーニッシュJr.選手と同ポイントで並びながら、勝利数の関係でタイトルを逃したダン・ウエルドン選手。今年にかける意気込みは並大抵のものではないと思いますが、シリーズ・チャンピオンを獲得するために必要なこととはなんでしょう。
ダン・ウエルドン
「まず、今日はみなさんご参加ありがとうございます。ホンダの代表としてここに来られたことを誇りに思います。また、2004年にここでホンダの初優勝を飾れたことも誇りに思っています。確かに昨年は悔しい思いをしました。ワンメイクだと激しい戦いになると思いますので、ペースを落とさないようにがんばり、難しいレースでも調整しながら楽しみたいと思います」
Q:ウエルドン選手は2005年のシリーズ・チャンピオンで、チームメイトのスコット・ディクソン選手は2003年のシリーズ・チャンピオンですが、チャンピオン同士のチームと言うのは上手くいくのでしょうか
ダン・ウエルドン
「ええ、とても良い関係にありますよ。二人とも同じ時期にチャンピオンになりましたし、チーム全体でがんばっています。スコットが僕より良いマシンになることもあるし、そうでもないこともあります。スコットが良いときには僕も良くなるチャンスがあると思います。重要なのはともに協力しながら競い合っていくことで、出来るだけポイントを稼いでいくことです」
Q:ディクソン選手にも同じ質問をします。ダン選手との関係はほんとうに上手くいっていますか?
スコット・ディクソン
「まぁ、時として上手くいかないときもありますよ(笑)」
Q:スコット選手は現在ポイント・ランキング1位で、とても好調なスタートを切っています。昨年は全レースを完走した唯一のドライバーですが、今年の目標はどこにおいているでしょう?
スコット・ディクソン
「チャンピオンを獲るためには一貫性が必要だと思います。もちろん勝利を重ねることも大事ですが、出来るだけポイントを稼ぐことが必要だと思いますね。昨年はいいときもあれば、悪いときもあったのですが、それでもランキング4位になれたのはチームの目標が高く、ダラーラとホンダの組み合わせも良かったということです。チャンピオンを獲るカギは一貫性にあると思いますが、去年よりももっと勝ちたいですね」
Q:松浦選手は今シーズン、パンサー・レーシングに移籍しましたが、ここまでの2戦を振り返ってください。また、チームやマシンの印象をお聞かせください。
松浦孝亮
「今年パンサー・レーシングに移籍し、初めての仕事となった開幕戦と2戦目を戦ってきました。その2戦なんですが、2回とも同じ選手と接触と言うことで、結果は出ていないんですけども、チームとの関係はとても良くなってきています。コミュニケーションも上手くいっていますし、チーム、クルー、エンジニアとの相性もすごく良いです。結果は出ていないんですが、日本に帰ってきて、母国レースに向けてはまったく不安がなく、自信を持っています」
Q:今年は今まで以上に体が引き締まっている印象を受けますが、オフシーズンからトレーニングはどんな工夫をされているのでしょうか?
松浦孝亮
「チームが変わり、トレーナーも変わって新しいトレーニングの仕方を取り入れています。オフの間、インディアナポリスにいるときは走ることが多くて、週に5回くらい10キロ程度走ったりだとか、ウエイト・トレーニングもプラグラムをしっかり組んでもらって、食事にも気をつけています。これは毎年やっているんですけども、トレーナーが変わってトレーニングの仕方が変わると、体の見え方もかなり変わってきたみたいです。体脂肪も14%まで落ちて、見た目より太っているとは思っていないんですけど(笑)、もう少しがんばります」
Q:続いてドライバーの皆さんに同じ質問をしたいと思いますが、今まで来日した中で、もっとも印象深い経験はなんでしょうか? 松浦選手は久しぶりに日本に帰ってきて、一番最初にやりたかったことはなんでしょうか
サム・ホーニッシュJr.
「印象深い経験はまだあまりないのですが、いつも日本に来ることを楽しみにしています。このレースに勝つことが、一番思い出深い経験になると思うので、ぜひ実現させたいですね。日本のファンはすばらしいので、いつも来ることを楽しみにしています。ファンの方々はドライバーの色々なことを良く知っています。ドライバーは何が好きなのかや、僕たちの生い立ちも良く知っていますし、知識と言う意味ではアメリカのファン以上だと思います。例えば結婚について色々きかれたり、趣味についてもよく聞かれます。これはほんとうにすばらしいことだと思います」
エリオ・カストロネベス
「なんといっても去年優勝したことが、最も思い出ぶかい経験ですね。チームにとってもそうだと思います。僕たちの夢がようやく実現できて、ほんとうにすばらしい経験でした。日本に来ることはもてぎでレースが始まった1998年以降、毎年恒例となっていますが、僕が一番感じていることはファンの皆さんが心から歓迎してくれることです。また、僕たちのことやマシンについても良く知っているという点は、とてもすばらしいことだと思います。海外に来てその国の文化を勉強することはいつも楽しいです。とっさには出てこないのですが、日本語も少し覚えましたよ。これからもいろいろ思い出深いことがあるかも知れないですが、なんといっても去年の優勝経験だと思います。今年はそれ以上思いで深いものになることを期待しています」
ダン・ウエルドン
「僕にとっては2004年が特別なときだったと思います。僕のインディカー・シリーズの初勝利でしたし、ホンダのもてぎ初勝利でもありました。これはとても感慨深い経験でした。ホンダのエンジン・メーカーとして、開発のすばらしさがそこに現れたと思います。レースの前はいろいろなプレッシャーがありましたけど、その中で勝てたことをとても嬉しく思います。また、他の人もいっていますけど、日本のファンの熱意にいつも感心します。インディに対するファンの熱意には心が震わされるので、もてぎは特別な場所です」
スコット・ディクソン
「僕もあまり思い出深い経験はなく、むしろ厳しい思い出の方がいろいろとあります。良いマシンのときは良い結果が出ましたけどね。他の人と同じように、日本に来ることで、まったく違う新しい体験が出来るので、すばらしい経験だと思います。僕は小さいときに父親に連れられて日本に来ることがあったので、そういった意味でも日本に来ることが楽しみです。特にファンの方々はモータースポーツが大好きですし、もてぎのコースはスリリングなレースを観ることが出来ます。レースの後には六本木での思い出深い経験がありますよ(笑)」
松浦孝亮
「普段は日本に帰ってきたら友達に会ったりだとか、おいしいものを食べたりしているんですけど、今回開幕2戦を終えてまずしたかったことは、神頼みですね(笑)。帰ってきてすぐにお墓参りと神社でお払いをしてきました」
Q:インディ500では牛乳を飲む慣わしになっていますが、もしもてぎの勝者が飲むとしたら何が相応しいと思いますか?あるいはみなさん何がのみたいですか?
サム・ホーニッシュJr.
「日本酒ですね」
エリオ・カストロネベス
「サッポロ・ビールです」
スコット・ディクソン
「今までにいったもの全部」
松浦孝亮
「僕は飲めるならなんでも良いです」
Q:もてぎは唯一の海外戦であり、賞金も2番目に高いということですが、今回のレースで最もマークすべきドライバーを一人挙げていただけますでしょうか?
サム・ホーニッシュJr.
「僕は昨年気づいたのですが、賞金が多いということで、もっとがんばらなくてはいけないですね。どのレースも一生懸命にやっていますが、シーズンで一番マークしなければいけないのは、僕の周りにいるドライバーですよ。だからスコットやダンといったものすごく強いドライバーがいるということが、僕に大きな影響を与えていると思います。2003年以降、なかなか勝てないですから」
エリオ・カストロネベス
「ここにいるドライバーはみんなマークしなくてはいけないと思います。ほかのチームはかなり強力なので、僕たちのチームもかなりがんばらなくてはいけないですね。ひとりドライバーを上げるというのはなかなか難しいと思います。2