INDY CAR

サム・ホーニッシュJr.が今シーズン4勝目でポイントリーダーに復活

<Honda>

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2006年8月13日(日)・決勝
会場:ケンタッキー・スピードウェイ 天候:快晴 気温:32.8℃

 2006年のIRL IndyCarシリーズも最終戦まで残すところ3戦となった。1戦で獲得できる最大ポイントは53点。そして、チャンピオン争いを展開中のドライバー4人は、31点差の中にひしめいている。シリーズ第12戦メイヤー・インディ300は、タイトルの行方に大きな影響力を持つ重要なレースとして開催された。
 ケンタッキー・スピードウェイは、オハイオ州とケンタッキー州の州境に近い山間に作られた全長1.5マイルの高速オーバルである。路面のバンピーさがドライビングを難しくしているコースだ。決勝日のケンタッキー・スピードウェイは快晴に恵まれ、300マイルのレースは暑さの中で争われた。

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 32℃を超す暑さとなった決勝、今シーズン5回目のポールポジションからスタートしたのは、ポイントリーダーのエリオ・カストロネベス(マールボロ・チーム・ペンスキー/ダラーラ)だった。彼は5戦連続で2番グリッドからのスタートとなったポイント2位のサム・ホーニッシュJr.(マールボロ・チーム・ペンスキー/ダラーラ)を従え、レース序盤のトップを走った。
 彼らの最大のライバルであるターゲット・チップ・ガナッシ・レーシングの2人、ダン・ウェルドンとスコット・ディクソンも決勝レースでは予選のとき以上のパフォーマンスを発揮。200周のレースが終盤の50周を迎えたとき、トップを走っていたのはウェルドンだった。
 しかし、ゴールまで残り20周を切ってから、出場全車は燃料補給のためのピットストップが必要となり、このときのピットストップでウェルドンは大きなミスを犯した。自らのピットに正確に停止できなかったため、ピットの燃料ホースが給油口まで届かず、大きくタイムロス。ウェルドンは勝機を失った。
 ウェルドンのミスによりトップに躍り出たのはディクソンだったが、残り4周でホーニッシュJr.がディクソンをアウトサイドから豪快にオーバーテイクし、優勝へと逃げ切った。今シーズン4勝目は、彼にとってのキャリア18勝目で、自らの持つIRL IndyCarシリーズでの最多勝記録を更新した。カストロネベスもディクソンを追い詰めたが、0.0645秒届かず3位フィニッシュ。ウェルドンは4位でのゴールとなった。
 今回のレースには2003年にポールポジションを獲得し、コースレコード保持者となっているサラ・フィッシャーがドレイヤー&レインボールド・レーシングからエントリーし、ダニカ・パトリック(レイホール・レターマン・レーシング/ダラーラ)に対抗する女性ドライバーの出場として話題を呼んだ。予選ではパトリックが11位、フィッシャーが12位となり、奇しくも彼女たちはグリッド6列目から並んでスタート。レースではパトリックが8位までポジションを上げてゴールし、フィッシャーはスタートと同じ12位でのフィニッシュとなった。
 ケンタッキー・スピードウェイで2004年にキャリアベストとなる4位フィニッシュを果たしている松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/ダラーラ)は、過去2年を上回る7番グリッドを獲得。ファイナルプラクティスでも3番手タイムをマークするなど好調を維持していた。しかし、レース前半の大部分でトップ10を走行し続けていた彼は、折り返し点を過ぎた119周目のターン3でコース外側のウォールへリアからクラッシュし、レースを終えた。前方集団の作り出す乱気流により、マシンのコントロールを失ったためのアクシデントであった。
 第12戦を終えてのポイント争いでは、ホーニッシュJr.が418点でトップへと復活。ポイントリーダーだったカストロネベスは411点の2位につけ、3位がウェルドン(394点)、4位がディクソン(385点)となっている。
<コメント>

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■サム・ホーニッシュJr.(優勝)
「チームが最高のマシンを用意してくれた。ピットストップも素晴らしかった。この勝利によって、ミシガンでのマシントラブルによるダメージをいくらかばん回できたと思う。ポイントリーダーに戻ることができ、とてもうれしい。タイトル争いは最終戦までもつれ込むだろう。その最終戦は僕の得意としているシカゴだ」

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■スコット・ディクソン(2位)
「レース序盤、自分のマシンはとても速かったので、無理にトップを走ろうとはせずに燃費をセーブしながら勝負の時を待っていた。我々はスタート直後の速さを最後まで保つことができていた。しかし、ゴール前の戦いではライバルがスピードアップしていたようだ。最後のフルコースコーションがなければ、逃げ切ることもできただろう」

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■エリオ・カストロネベス(3位)
「最速マシンを手に入れ、勝利に向かって突き進むことができていると感じていた。しかし、結果は3位となった。それでも僕らはタイトル争いの真っ只中に留まることができている。そのことこそが重要だ。残り2レースは非常におもしろい戦いになるだろう」

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■松浦孝亮(19位)
「前方を走る集団が自分のマシンに当たる風をカットしたためか、ターン3でクラッシュという結果になってしまいました。2回目のピットストップ以降、タイヤのグリップが下がってもいました。ここ4戦続けて、いいレースを戦うことができていません。次はロードコースのインフィニオン・レースウェイなので、悪い流れを断ち切るレースにしたいと思います」
■ロバート・クラーク:HPD社長
「ヴィットール・メイラとトニー・カナーンにも計算上はタイトル獲得のチャンスがありますが、今回のレースでは、シリーズポイントでリードをしているチーム・ペンスキーとチップ・ガナッシ・レーシングの4人のドライバーたちが、彼らだけによる優勝争いを行っていました。終盤には燃費を作戦に絡めて上位進出を狙うチームも現れ、非常に興味深い展開となりましたが、最終的にはサム・ホーニッシュJr.、スコット・ディクソン、エリオ・カストロネベス、ダン・ウェルドンの4人が競い合い、接戦の末にホーニッシュJr.が勝利を収めました。とても見応えのあるエキサイティングなレースになっていたと思います。
 Honda Indy V-8は、今回も基本的にトラブルはありませんでしたが、レース中に1台の排気音が変わっていました。まだ原因は解明していませんが、油温や油圧に異常は見られなかったので、排気管の破損などによるものの可能性もあります。
 残り2戦。2006年のファイナル2レースを戦うために十分な数のHonda Indy V-8は用意できています。今回のケンタッキー以上にエキサイティングなレースを期待します」

<決勝リザルト&ポイントランキング>
順位 No. ドライバー チーム C/E/T タイム
1 6 S.ホーニッシュJr. Marlboro Team Penske D/H/F –
2 9 S.ディクソン Target Chip Ganassi Racing D/H/F +0.5866
3 3 H.カストロネベス Marlboro Team Penske D/H/F +0.6511
4 10 D.ウェルドン Target Chip Ganassi Racing D/H/F +1.8913
5 11 T.カナーン Andretti Green Racing D/H/F +2.3049
6 4 V.メイラ Panther Racing D/H/F +2.5191
7 2 T.シェクター Vision Racing D/H/F +2.8124
8 16 D.パトリック Rahal Letterman Racing D/H/F +3.2408
9 27 D.フランキッティ Andretti Green Racing D/H/F +4.7070
10 7 B.ハータ Andretti Green Racing D/H/F +4.7966
11 20 E.カーペンター Vision Racing D/H/F +1Lap
12 5 S.フィッシャー Dreyer & Reinbold Racing D/H/F +2.2710
13 14 J.バックナム A.J. Foyt Enterprises D/H/F +3.9204
14 17 J.シモンズ Rahal Letterman Racing D/H/F +10.3236
15 15 B.ライス Rahal Letterman Racing D/H/F +2Laps
16 8 S.シャープ Delphi Fernandez Racing D/H/F +16.4045
17 26 Ma.アンドレッティ Andretti Green Racing D/H/F +3Laps
18 25 M.ロス Roth Racing D/H/F +4Laps
19 55 松浦孝亮 Super Aguri Fernandez Racing D/H/F +82Laps

順位 ドライバー チーム 総合 ポイント
1 S.ホーニッシュJr. Marlboro Team Penske 418
2 H.カストロネベス Marlboro Team Penske 411
3 D.ウェルドン Target Chip Ganassi Racing 394
4 S.ディクソン Target Chip Ganassi Racing 385
5 V.メイラ Panther Racing 348
6 T.カナーン Andretti Green Racing 339
7 D.フランキッティ Andretti Green Racing 271
8 T.シェクター Vision Racing 265
9 Ma.アンドレッティ Andretti Green Racing 263
10 D.パトリック Rahal Letterman Racing 260
11 B.ハータ Andretti Green Racing 254
12 S.シャープ Delphi Fernandez Racing 249
13 松浦孝亮 Super Aguri Fernandez Racing 237
14 E.カーペンター Vision Racing 204
15 B.ライス Rahal Letterman Racing 202
16 J.シモンズ Rahal Letterman Racing 167
17 F.ジァホーネ A.J. Foyt Enterprises 142
18 B.ラジアー Dreyer & Reinbold Racing 122
19 E.チーバーJr. Cheever Racing 114
20 J.バックナム Hemelgarn Racing 72
21 R.ブリスコー Dreyer & Reinbold Racing 69
22 P.J.チェッソン Hemelgarn Racing 54
23 Mi.アンドレッティ Andretti Green Racing 35
24 M.ロス Roth Racing 24
25 S.フィッシャー Dreyer & Reinbold Racing 18
26 M.パピス Cheever Racing 16
27 ロジャー安川 Playa del Racing 14
28 J.ラジアー Playa del Racing 13
29 A.アンサーJr. Dreyer & Reinbold Racing 12
29 R.モレノ Vision Rasing 12
29 T.エンゲ Cheever Racing 12
29 T.ベル Vision Racing 12
29 P.J.ジョーンズ Team Leader Racing 12
29 A.ダーレ Sam Schmidt Motorsports 12
35 A.ルーエンダイクJr. Luyendyk Racing 10
35 S.グレゴワール Team Leader Racing 10
35 L.フォイト A.J. Foyt Racing 10
35 T.メデイロス PDM Racing 10
39 P.ダナ Rahal Letterman Racing 6