INDY CAR

エリオ・カストロネベスがシーズン4勝目を挙げてポイント・トップへ再浮上

<Honda>

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2006年7月30日(日)・決勝
会場:ミシガン・インターナショナル・スピードウェイ
 IRL IndyCarシリーズ第11戦ミシガンの決勝は、スタート予定時刻だった午後3時半の直前に大きな雨雲が訪れて降雨となったために、スタートが午後6時14分までずれ込むこととなった。幸いにも雨が去った後の空は晴れ上がり、気温も過ごし易いものへと下がった。レースは夕方のスタートとなったが、フル・ディスタンスの400マイルで争われ、ミシガン・インターナショナル・スピードウェイを舞台に凄まじいドッグファイトが展開された。
 ポールポジションからスタートしたエリオ・カストロネベス(マールボロ・チーム・ペンスキー/ダラーラ)をスタート直後にアウト側から豪快にパスしたのは、彼のチームメイトであるサム・ホーニッシュJr.(マールボロ・チーム・ペンスキー/ダラーラ)だった。予選でフロントローを独占した彼らは、2台が競い合うのではなく、協力し合って序盤を引っ張っていった。
 チーム・ペンスキーは3位以下を突き放し、2人だけの戦いに持ち込もうとしていたが、レース中盤には予選6位だったヴィットール・メイラ(パンサー・レーシング/ダラーラ)が一気にスピードアップを果たして、トップ争いに加わった。その後、ホーニッシュJr.は冷却系のトラブルでリタイアを喫し、ポイント2位でミシガンのレースを迎えたスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング/ダラーラ)もフルコースコーション中の燃料切れという不運でポジションを大きく落とした。

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 トップに立ったメイラは1周につき0.2秒から0.3秒もライバル勢より速いペースを保ち、大きなリードを築いた。しかし、メイラのキャリア初勝利はならなかった。3回目のピットストップを驚くべきスピードで終えたカストロネベスがトップを奪ったのだ。トップに立つやカストロネベスは凄まじいペースで周回遅れの間を縫うように走り抜け、今シーズン4勝目を飾った。メイラはキャリア7回目、今シーズンだけでも3回目の2位フィニッシュとなった。
 第2戦のHondaグランプリ・オブ・セント・ピータースバーグで優勝してポイントリーダーとなり、その座を第7戦リッチモンド終了時点まで保っていたカストロネベスは、2006年シーズンが残り3戦となったところで再びトップに躍り出た。ポイントリーダーだったホーニッシュJr.のランキングは、今回のリタイアが大きく響き、カストロネベスに8点差の2位へ後退した。そして、今回3位フィニッシュを果たしたダン・ウェルドン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング/ダラーラ)が、カストロネベスと17点差、ホーニッシュJr.と9点差の3番手につけている。ミシガンを迎えた時点でポイント2位だったスコット・ディクソンは、ウェルドンに14点差の4番手となっている。
 アクシデントがひとつもなく、フルコースコーションが2度しか出されなかったレースは2時間強という早いペースでゴールを迎えた。これはミシガン・インターナショナル・スピードウェイでのIRL IndyCarシリーズのレースとして最速であった。また、IRL IndyCarシリーズ史上でも3番目に数えられるハイ・ペースのレースでもあった。
 スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングから出場する松浦孝亮は、14番グリッドからスタート。燃費をセーブしながら早いペースを保ち、1回目のピットストップを全員が終えたところでトップに立った。彼がピットへと向かう絶妙のタイミングでフルコースコーションが出されたことも味方につけてのことだった。しかし、マシンのハンドリングが万全ではなかったために、そのままトップ争いに踏み止まることはできず、10位前後を上下する苦しい戦いが続いていた。それでもレース終盤、7位から14位までのマシンが集団を形成する戦いとなったところで松浦は競り合いを戦い抜き、9位でゴールして見せた。
<コメント>

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■エリオ・カストロネベス(優勝)
「すばらしいマシンを用意してくれたチーム・ペンスキーのクルーたちに感謝したい。レース終盤は思い切り攻撃的に走った。ミルウォーキーで不運なアクシデントに遭ったことで、僕らはシーズン最終戦まで攻め続けていくことに決めた。今日のレースもシーズン最後のレースであるかのように走った。優勝し、ポイントリーダーに戻ることもできた。これは僕らのチームにとって非常に大きなモチベーションになる。次のケンタッキーでも僕らは必ずやすばらしいレースを戦えるはずだ」

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■ヴィットール・メイラ(2位)
「パンサー・レーシングは非常に力のあるチームだ。今年の僕らは、ショートオーバル、ストリートコース、ロードコース、大きなオーバル、どんなコースに行っても速さを発揮している。そういうチームこそがチャンピオンになる資格があると思う。僕らは今回も110パーセントの力を振り絞って戦った。2位に下がってからはフルコースコーションが出るのを待っていた。リスタートで非常に速いマシンとなっていたから。しかし、その願いは叶わなかった」

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■ダン・ウェルドン(3位)
「すごく速かったサム・ホーニッシュJr.がリタイアを喫した。誰かが不運に見舞われるのを見るのは残念なことだが、我々はそれによって何点か多くのポイントを稼ぐことができた。今日のマシンの仕上がり具合としては、望めるベストの結果を手に入れることができたと思う。優勝争いを行えるだけの力が僕らにはなかった。チップ・ガナッシ・レーシングはこれまでも全力で戦ってきたが、これからもさらなるハードワークをこなし、残る3レースを戦い抜く」

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■松浦孝亮(9位)
「単独走行でのスピードが十分になかったので、集団での争いで前に出ても、また抜き返されてしまうという厳しい戦いになっていました。コーナーのイン側ではスピードが下がってしまっていたので、アウト側もトライしましたが、そちらもスピードが伸びませんでした。最後は集団での戦いになると読んでいて、その通りの展開となりました。そこで何台かをパスして9位でゴールできました。これは自分にとってミシガンでのベストリザルトです。でも、ミシガンではもっと上位での戦い、そしてフィニッシュができると考えていましたから、9位という結果はとても悔しいです。次戦のケンタッキーでは、我々のマシンは速いはずですから、上位でのフィニッシュを目指します」
■ロバート・クラー:HPD社長
「すばらしいレースだった。ミシガン・スピードウェイはエンジン全開で走ることのできるコースのため、エンジンには非常に過酷だが、Honda Indy V-8はどのマシンに搭載されているものもイコールの力を発揮していたと思う。だからこそIRL IndyCarシリーズ史上3番目に早いペースでのレースが、これだけ拮抗したエキサイティングなレースになったのだ。スーパー・スピードウェイにおけるレースとして、近年のトップに数えられるべき戦いだった。
 今日のレース結果により、再びチャンピオン争いのポイント差が縮まった。Hondaがエンジンを全チームに供給することとなった最初のシーズンが、これだけ激しいチャンピオン争いとなり、そのほかのポジションもし烈に争われているのは大変よろこばしい。性能差のないエンジンを全チームに平等に供給できていることの証明となるからだ。Honda Indy V-8、そして我々の供給体制に対し、全チームが高い評価を与えてくれている。残すところ3戦、タイトル争いはますますヒートアップするだろう。これからもHondaは、全員がイコールコンディションの戦いを行えるよう、信頼性が高く、パワーなどの性能差がないエンジンの供給を続けて行く」

<決勝リザルト&ポイントランキング>
順位 No. ドライバー チーム C/E/T タイム
1 3 H.カストロネベス Marlboro Team Penske D/H/F –
2 4 V.メイラ Panther Racing D/H/F +1.6229
3 10 D.ウェルドン Target Chip Ganassi Racing D/H/F +6.2259
4 11 T.カナーン Andretti Green Racing D/H/F +6.9874
5 2 T.シェクター Vision Racing D/H/F +27.9005
6 8 S.シャープ Delphi Fernandez Racing D/H/F +28.5560
7 20 E.カーペンター Vision Racing D/H/F +1Lap
8 26 Ma.アンドレッティ Andretti Green Racing D/H/F +0.0762
9 55 松浦孝亮 Super Aguri Fernandez Racing D/H/F +0.2442
10 17 J.シモンズ Rahal Letterman Racing D/H/F +0.3993
11 7 B.ハータ Andretti Green Racing D/H/F +0.7815
12 27 D.フランキッティ Andretti Green Racing D/H/F +0.8559
13 15 B.ライス Rahal Letterman Racing D/H/F +0.9158
14 14 J.バックナム A.J. Foyt Enterprises D/H/F +2Laps
15 5 B.ラジアー Dreyer & Reinbold Racing D/H/F +2.1840
16 9 S.ディクソン Target Chip Ganassi Racing D/H/F +3.7351
17 16 D.パトリック Rahal Letterman Racing D/H/F +3Laps
18 25 M.ロス Roth Racing D/H/F +8Laps
19 6 S.ホーニッシュJr. Marlboro Team Penske D/H/F +139Laps

順位 ドライバー チーム 総合 ポイント
1 H.カストロネベス Marlboro Team Penske 376
2 S.ホーニッシュJr. Marlboro Team Penske 368
3 D.ウェルドン Target Chip Ganassi Racing 359
4 S.ディクソン Target Chip Ganassi Racing 345
5 V.メイラ Panther Racing 320
6 T.カナーン Andretti Green Racing 309
7 Ma.アンドレッティ Andretti Green Racing 250
8 D.フランキッティ Andretti Green Racing 249
9 T.シェクター Vision Racing 239
10 D.パトリック Rahal Letterman Racing 236
11 S.シャープ Delphi Fernandez Racing 235
12 B.ハータ Andretti Green Racing 234
13 松浦孝亮 Super Aguri Fernandez Racing 225
14 B.ライス Rahal Letterman Racing 187
15 E.カーペンター Vision Racing 185
16 J.シモンズ Rahal Letterman Racing 151
17 F.ジァホーネ A.J. Foyt Enterprises 142
18 B.ラジアー Dreyer & Reinbold Racing 122
19 E.チーバーJr. Cheever Racing 114
20 R.ブリスコー Dreyer & Reinbold Racing 69
21 J.バックナム Hemelgarn Racing 55
22 P.J.チェッソン Hemelgarn Racing 54
23 Mi.アンドレッティ Andretti Green Racing 35
24 M.パピス Cheever Racing 16
25 ロジャー安川 Playa del Racing 14
26 J.ラジアー Playa del Racing 13
27 A.アンサーJr. Dreyer & Reinbold Racing 12
27 R.モレノ Vision Rasing 12
27 T.エンゲ Cheever Racing 12
27 T.ベル Vision Racing 12
27 P.J.ジョーンズ Team Leader Racing 12
27 A.ダーレ Sam Schmidt Motorsports 12
27 M.ロス Roth Racing 12
34 A.ルーエンダイクJr. Luyendyk Racing 10
34 S.グレゴワール Team Leader Racing 10
34 L.フォイト A.J. Foyt Racing 10
34 T.メデイロス PDM Racing 10
38 P.ダナ Rahal Letterman Racing 6