＜US-RACING＞
インディ500から続く3連戦の2戦目となるのは、今シーズン初のロード･コースとなるワトキンス･グレン。昨年は9月に開催されたが今年は3ヶ月ほど早まり6月に行われることになった。初日は終日曇り空となったワトキンス･グレンは、気温18度と寒くも暑くもないコンディションでプラクティスがスタートした。午前のセッションで2位となったカストロネベスが、午後のプラクティスで自身が記録した昨年のポール･タイムに0.0095秒まで迫る1分30.6783秒を記録し、総合トップとなった。2位には昨年のインフィニオン･ウイナー、カナーンが入り、3位にはインディ500で2位となり、注目を集めたルーキーのマルコ･アンドレッティが入った。ロード･コースに関しては、ペンスキーのカストロネベスの速さが光っているものの、ターゲットの2台は4位、5に留まり、代わりにアンドレッティ･グリーンが健闘している。今週末はこの3チームによる優勝争いとなりそうだ。
インディ500終了後、わずか4日後にスタートしたワトキンス･グレンでのレース。高速オーバルからいきなりロード･コースに切り替わると同時にニューヨーク州まで移動と、チーム、ドライバー共に慌しさは拭えない。インディ500では不本意な結果に終わった松浦だが、ワトキンス･グレンでの初日は総合で12位のタイムを記録した。「午前はシフトレバーの戻りが悪くて、ちょっとうまく走れなかったんですけど、午後はシフトレバーの問題も直って、セッティングもいい方向に向きタイムも縮まりました。午後はニュータイヤを使用せずにこのタイムを記録したので、他のドライバーが新品のタイヤでタイムを出していたことも考えれば、方向性としてはかなりいい感じになっていますね」と、初日を振り返る松浦。明日の午前のセッションでは予選のシミュレーションを行う予定で「うまくいけばトップ6に入れる」と、自信もある様子だった。明日の予選に期待したい。
ドレイヤー･レインボールド･レーシングは、今シーズン、ロード･コースでのテストが少なかったことを配慮し、レギュラー･ドライバーのバディ･ラジアに代わり、ライアン･ブリスコをこのワトキンス･グレンで起用することにした。ブリスコは、2005年のシカゴランドでのレースでクラッシュし、負傷してしまうとその後シートに戻ることはなかった。しかし、ロード･コースでの成績は、レースでこそトラブルに悩まされたもののインフィニオンでポール･ポジションを獲得、セント･ピータース･バーグではリードラップを記録している。ロード･コースでの実力をかわれ、今回のレースに挑むことになったブリスコは、初日の走行で総合10位のタイムを記録した。ロード･コースの経験が2年目というチームで、10位という結果にはチームも喜んでいる様子。明日の予選も含め、レースでどれほどのパフォーマンスを発揮できるか楽しみだ。また、今回グランダム･シリーズと併催されているのだが、ブリスコはなんとそちらにもエントリーしている。ちなみにエディ･チーバーJr.もダブルヘッダーで、二人にとっては忙しい週末になりそうだ。
昨年のワトキンス･グレン･ウイナー、ディクソンのマシン･カラーリングが変わった。通常“TARGET”と書いてあるマシンサイドのロゴが“Energizer”という乾電池の商品名になり、カラーリングは、“Energizer”のリチウム乾電池をイメージしている。アメリカでカメラのフラッシュ用によく買うのがこの乾電池なので、結構馴染み深い。今回のカラーリングは、パノス･シャシーの時だけで、オーバルでは通常通りのカラーリングになると、チーム･クルーが話してくれた。次回インフィニオンでもこのカラーリングということになるのだろう。
午後のセッションは30分ずつ二つのグループに分かれて走行が行われた。第1グループの走行が終了したのだが、コースはずっとイエロー･コーションのままで、なかなか第2グループの走行が始まらない。どうしたのかと不思議に思っていると、フラッグ･マーシャルの人が「小鹿がいるぞ」と指を差した。見ると、どこから紛れ込んだのか分らないが、小鹿がコースのインフィールドを走り回っていた。観客と同じ敷地内にいたが、フェンスは大人のお腹ぐらいの高さしかなかったので、小鹿でも飛び越えてコースに侵入するかもしれない恐れがある。そのため安全なところに移動するまで走行は中断となり、約20分遅れてプラクティスが再開。アメリカのハイウエイ（特に東部）には、鹿がよく出没するため鹿のマークの標識があるのだが、今まで遭遇したことはなかった。まさかサーキットで野生の鹿を見るとは夢にも思ってもいなかったよ。ワトキンス･グレンのコースサイドにも鹿のマークの標識が必要かも？！