INDY CAR

トニー・カナーンが初の常設ロードコースイベントのウィナーに バディ・ライスが2位でゴールし、Honda Indy V-8が1-2フィニッシュ

<Honda>
8月21日(日):決勝
サーキット:インフィニオン・レースウェイ 天候:快晴 気温:26℃
サンフランシスコ郊外のソノマにあるアップ・アンド・ダウンに富んだロードコース、インフィニオン・レースウェイで行われた。IRL IndyCarシリーズ第14戦のアージェント・モーゲイジ・インディ・グランプリは、創設10周年を迎えたIRL IndyCarシリーズが初めて行なう常設ロードコースでのレースであった。
プラクティスが始まった金曜日から、サーキットはカリフォルニアならではの素晴らしい青空に覆われ、ワイン畑が並ぶ斜面を望むコースには強い日差しが照りつけていた。しかし、サンフランシスコ湾から時おり吹きつける風が暑さを和らげる、レース観戦日和となっており、丘陵地帯の地形を見事に利用したグランドスタンドには多くの観客が詰めかけていた。
IRL IndyCarシリーズ史上初の常設サーキットでのレースという歴史的イベントで優勝を飾ったのは、Honda Indy V-8を使うトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)だった。昨年度シリーズチャンピオンのカナーンは、予選3位で2列目グリッドのイン側からスタート。80周のレースが折り返し点を過ぎた後の46周目にトップに立つと、ピットに入るタイミングの差でダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)、ブライアン・ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)の2人に2周だけその座を譲ったが、53周目にトップに返り咲くと、2位との間に充分なマージンを持ってリードを続け、今シーズン2勝目、キャリア6勝目を挙げた。
2位でゴールしたのはバディ・ライス(レイホール・レターマン・レーシング/Honda・パノス)。昨年度のIndy500チャンピオンにとって、今シーズンのベストリザルトである。既に今年度のマニュファクチャラーズ・タイトル獲得を決定しているHonda-Indy V-8は、今シーズン7度目となる1-2フィニッシュを達成した。
ポイントリーダーの座を保ち続けているウェルドンは、燃料ポンプのギヤトラブルによるリタイアを喫した。しかし、依然としてポイントスタンディングのトップを維持している。彼を追う2番手には、今回優勝したカナーンが浮上し、ポイントランキングでもHonda Indy V-8勢が1-2体制を取り戻している。
松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/Honda・パノス)は、ミスをおかすドライバーが出る中で安定した走りを続けた。ピットインのタイミングも非常に良く、終盤の20周は僅差で続く後続からのプレッシャーを跳ね除けて、今シーズンのベストとなる6位でゴールした。ロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド・レーシング/Honda・ダラーラ)は11位だった。
今シーズン2度のポールポジション獲得を果たしている女性ルーキードライバーのダニカ・パトリック(レイホール・レターマン・レーシング/Honda・パノス)は、序盤の20周目に他車と接触してリタイアを喫した。しかし、ルーキー・ポイント・トップの座は引き続き保っている。2005年シーズンも残すところ3戦となった。
コメント
■トニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング) 優勝
「僕らは非常にスマートなレースを戦えたと思う。多くのドライバーたちが少しでも前へ出ようと激しく争っていたが、僕らは燃料をセーブすることにも充分な注意を払い続け、それが勝利につながった。マシンはレースを通して非常に安定したハンドリングを保ち続けてくれた。そうしたマシンに仕上げてくれたチームに感謝したい。今シーズン中にさらに勝利を重ねることができそうだ」
■バディ・ライス(レイホール・レターマン・レーシング) 2位
「週末を通して高い競争力を示し続け、レースでも2位を獲得できた。厳しいシーズンが続いていたが、自分たちの今週のパフォーマンスには非常に満足している。ピットストップは僕らのチームの得意とするところだが、今週もレイホール・レターマン・レーシングのクルーたちは素晴らしいピットワークを見せてくれた。エンジニアの作り上げたマシンはハンドリングがとてもよく、Honda Indy V-8もパワフルであり続けてくれた」
■松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング) 6位
「体力的に非常に厳しいレースでした。終盤に路面が良くなってきて、さらにハンドルが重くなったこともあって、自分のレースキャリアの中で最もタフな戦いになっていました。チームの作戦が良かったのでポジションを上げることができ、マシンも序盤はアンダーステアがありましたが、レース後半はそれも解消されていました。最後はずっと後ろからプレッシャーをかけ続けられていましたが、絶対にミスをしないでポジションを守り抜こうと頑張り、今シーズンのベストとなる6位でゴールできました」
■ロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド・レーシング) 11位
「マシンのセッティングは予選から大きくは変えませんでしたが、完走したことで良いデータを多く取ることができました。次のロードレースであるワトキンス・グレンに向けて良いレースになっていたと思います。フルタンクはグリップ不足。燃料が軽くなってからは安定したハンドリングになっていました。チームのクルーたちもピットストップの改善に取り組んでくれて、今日のレースではその成果も出ていました。次戦のシカゴランドは2003年にトップ争いをしたコースです。その前にテストもできますし、いいレースを戦えることを期待しています」
■ロバート・クラーク:HPD社長
「予選はフロントローを獲得できないなど、満足のいかない結果だった。どのチームも何らかの理由があり、ドライバーともども持てる力をフルに発揮していなかった。しかし、上位にHondaドライバーが並んでいたし、彼らはプラクティスと予選で得られたデータをもとにレースに向けてのマシンを向上させ、非常に力強いレースを戦っていた。トニー・カナーンは落ち着いたレースを戦い抜いて優勝を飾ってくれた。燃費に注意を払って走り続けたことも彼の勝利につながった。予選3位のグリッドにいた彼に私は、『スマートに、そしてクリーンに戦うことで勝利のチャンスはかならず訪れる』と話していた。彼はその通りのレースを戦った。バディ・ライスの2位フィニッシュも素晴らしい頑張りによるものだった。レースを通してハイペースを保っていただけでなく、彼は全力を出し切ってゴールした。今シーズンは苦しいレース、あるいは不運に見舞われるレースが続いていたライスだが、これで元通りの力を発揮することができるようになるだろう。松浦孝亮も奮闘を見せ、シーズン・ベストとなる6位でゴールした。終盤は後ろから激しいプレッシャーを浴びせられ続けたが、一切ミスをおかさずに走り続けたのは見事だった。ロジャー安川も11位でゴールした。体力的に非常に厳しいレースを安川も頑張り抜いた。ポイントスタンディングはウェルドンがリタイアとなりながらもトップを守り、2位にはカナーンが浮上し、3位との差を17点とした。残る3戦も緊張感を保ち、エンジンのあらゆる面の開発を続けて勝利を重ねたい」