INDY CAR

松浦孝亮、粘りの走行で上位フィニッシュを目指す

<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2005 IRLインディカー・シリーズ第14戦「アージェント・モーゲイジ・インディ・グランプリ
日程:8月26〜28日
開催地:カリフォルニア州ソノマ
コース:インフィニオン・レースウェイ
距離:2.26マイル(3.636km)
■■■8月27日予選■■■
天候:快晴/気温:32℃
<常設ロードコースで15番手グリッドを獲得>—————————-
カリフォルニア州サンフランシスコ郊外のインフィニオン・レースウェイで開催されているIRLインディカー・シリーズ史上初の常設ロードコースでのレース、アージェント・モーゲイジ・インディ・グランプリの予選が今日、鮮やかな快晴の下で開催された。 パナソニックARTA/パノス・Hondaに乗る松浦孝亮は1分18秒8987をマークし、15番手のスターティンググリッドを獲得。昨日の2回のプラクティス総合では17番手、今日のプラクティス3回目では18番手だったが、予選ではそれらを上回るポジションを手に入れた。
<素晴らしい天候に恵まれた予選>————————————–
走行初日であった昨日に続き、ソノマは予選日も抜けるような青空に恵まれた。朝からの気温の上昇も早く、午後12時半に予選がスタートした時には32℃という暑さとなっていた。インフィニオン・レースウェイの上空には、これぞカリフォルニアの夏と表現すべき快晴が広がっていた。ジリジリと肌を焦がすような日差しが降り注ぐ中、700馬力オーバーのインディカーが1台ずつアタックする予選は開催された。
<金曜に得られたデータを基にセッティングを調整>———————-
昨日の2時間半に渡るプラクティスでマシンはメカニカルグリップの不足が課題とされていた。4月に行ったテスト、そしてレースウイークエンドの走行初日に得られたデータを集約し、スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングのエンジニアリングスタッフはセッティングを再考、予選日の朝に行われたプラクティス3回目にはショックアブソーバーのセッティングとマシンのロールセンターを変更して臨んだ。その結果、マシンはハンドリングが向上し、松浦は前日の自己ベスト=1分18秒8891を上回る1分18秒7072のベストラップをマークした。
<1周勝負の予選アタック>———————————————
ロードコースでの予選のアタック順は、走行初日のプラクティスタイムによって決定される。ラップタイムの遅かった順に1台ずつコースインし、1周のウォームアップの後に1周のみのアタックが許される。走り出してすぐに全開で走ることを求められるため、IRLから供給されたタイヤウォーマーを使用できる。
松浦は5番目のアタッカーとしてピットロードをスタート。マシンの感触を確かめながらタイヤの温度を上げ、ベストの状態に保てるようアグレッシブな走りでウォームアップランを行った。グリーンフラッグを受けた55号車は、12個のターンを持つツィスティなインフィニオン・レースウェイを疾走。チェッカーフラッグをくぐると、ラップタイムは1分18秒8987と表示された。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
「グリップ不足を解消するためのセッティングを検討してレースに臨みます」
「昨日の走行データをエンジニアたちと再検討して、今日はダンパーなど色々と変更してプラクティス3回目を走りました。そこでダメだった要素を排除して、予選用のセッティングは、少し昨日のものに戻した感じになりました。予選のマシンバランスは、それほど悪くないものにできていたと思います。しかし、全体的なグリップ不足が今もまだ残っています。予選アタックはミスなく、自分たちのマシンの持っている力の中で、うまくまとめることができました。もう少し詰められる部分はありましたが、冒せるリスクと冒せないリスクがあるので、固くいける部分から少し攻めた走りとして、リスクのギリギリのところで走れました。予選ではタイヤウォーマーを使えますが、レース中にピットインした時には使えないので、タイヤを交換した直後の走りは難しいものになると思います。タイヤ自体のライフはそんなに心配はしていません。ラップタイムは新品の時より1秒ぐらい落ちる程度で、1スティントを走ることができると考えています。ただ、このコースはオーバーテイクがかなり難しいので、ラップタイムの差が1秒以上あってもオーバーテイクは大変だと思います。とにかく前を走るマシンにくっついて、相手がミスした時に前に出る戦い方が必要になります。マシンのグリップを少しでも上げられるよう、もう一度レース用のセッティングを深く検討して、レースは全力で戦います」
<サイモン・ホジソン:チーム・マネジャー>
「マシンバランス自体は悪くないがスピードが出し切れていない」
「メカニカルグリップがまだ不足している。コースのどこか一部分でタイムロスしているのでも、ブレーキングなど特定のパートでロスをしているのでもなく、全体的にスピードが出し切れていない。しかしマシンバランス自体は良いものにできている。今朝のプラクティスではダウンフォースを最大レベルにまで引き上げることをトライした。そこからリヤウイングのアングルを寝かせるなどのセッティング変更をして予選は戦った。コウスケの予選アタックはマシンの状態を考えれば、非常に素晴らしいもので、プラクティスの順位を上回るグリッドを獲得することができた。ファイナルプラクティスでは、マシンをソフトめに振ることもトライしてみようと考えている。明日のレースはオーバーテイクが難しいうえに80周と距離も長いため、作戦も重要なファクターとなってくるはずだ。我々としては作戦をフルに活用し、それをアドバンテージに変えていきたい。マシンがコースオフする度にフルコースコーションが出されると思われるので、その時の燃料の搭載量など状況に応じてフレキシブルに作戦を考え、ピットがクローズされる前に給油を行うことにもチャレンジすることになるだろう」
<鈴木亜久里:チーム代表>
「レースではミスなく粘り強く走り切るしかない」
「シャシーはワンメイクみたいなものなのに、クラスが違うぐらいの差ができてしまっている。コースで見ていても、全然タイヤが路面をグリップしていない。サスペンションジオメトリーが大きく外れているということだと思う。ショックアブソーバーでも差をつけられていることが考えられる。ライドハイト、ロールセンター、キャンバーなど、サスペンションのセッティングはいろいろと変えられるけれど、今はセッティングが外れすぎている。何か根本的な部分で間違えているとしか思えない。そうでなきゃ、2秒もの差はでないと思う。これはエンジニアリングの面での問題だと思う。この状況ではレースも厳しいものにならざるを得ないね。タイム差が大きいので作戦も思うとおりにはいきにくい。オーバルはコンマ何秒という差で争う世界だけど、その差がロードコースではより大きくなって出てしまっている。オーバルでならセッティングを少し変えただけで一気にマシンが良くなるってことがあるけど、ロードコースではそれは難しい。結局、今の自分たちはオーバルも同じ状況なんだと思う。セッティングで差が出ている。粘りのレースで諦めずにミスなく走り切るしかない」