<US-RACING>
112周目までレースをリードし続けたホーニッシュJr.は、ギアボックス・トラブルに見舞われて後退。いったんトップの座をウエルドンやフランキッティに譲ったものの、211周目に再びトップへ返り咲く。その後フランキッティとトップ争いをし、ラスト8周となった217周目からはレースをリード。一瞬ラインを外れてフランキッティに先行を許すが、再びパスしてみせた。2回のピットストップ作戦だったフランキッティは燃費走行で追い上げられず、ホーニッシュJr.が今シーズン2勝目。自身4度目のポール・トゥ・ウインで、IRL最多となる通算14度目の優勝を記録した。今シーズンの3月に行われたフェニックス以来の勝利となったが、これまでに行われてきた1マイル以下のショート・オーバルのレースでは、チーム・ペンスキーの2台がすべて優勝しているだけに、第13戦に行われる1マイルのパイクス・ピークでも連勝する可能性は高い。これでポイントランキングでは309点となり、2位でフィニッシュしたフランキッティと同ポイントでランキング2位に浮上。トップのウエルドンとの差は68ポイントとなり、ホンダ勢が独占していたランキングトップ3に食い込んだ。シリーズも後半戦に突入し、チャンピオン争いも過熱してきた。
昨日の夕方に降り出した雨は夜に止み、朝から快晴となったミルウォーキー。予報されていたとおり気温は朝から高く、レースがスタートする午後1時45分には34度まで上昇した。レース中も気温は上がって36度まで上昇。湿度も高く、蒸し暑かった今回はドライバーにとっても、今シーズンで一番体力的に厳しいレースとなった。今年の6月上旬に行われたチャンプ・カー以来のオープン・ホイール・レースとなった今回たが、土曜日の昼開催だったチャンプ・カーの時よりも観客は少し多いと感じた。しかし実際には昨年のIRL初開催より、約1万人も集客数が減ってしまったという。伝統のオーバルではダニカ効果もまったく効かなかったようだ。今年のチャンプ・カーとインディ・カーのレースに入った観客を合計してやっと、観客席が満席になるような感じだろう。チャンプ・カーにしろ、インディ・カーにしろ、オープン・ホイールのオーバルに関しての人気が減少しているのは事実(ミルウォーキーだけではないが)。100年以上レースが開催されてきたザ・ミルウォーキー・マイルで、今後も開催を続けるためにも、オープン・ホイールそのものの人気が上昇することを願いたい。
予選20位からスタートした松浦は、スタートから3周目までにいっきに5つ順位を上げることに成功。その後は安定した走りで周回を重ねるが、パノスのショート・オーバルでの劣勢は明らかで、ラップ・リーダーと同一周回に留まることはできなかった。結局周回遅れとなるも、最後まで粘り強い走りで11位フィニッシュ。昨年の10位には届かなかったが、チーム・メイトのシャープに次ぐ順位でレースを終えた。「今日のレースは暑かったです。フィジカル的に疲れたというより、お風呂に入ってのぼせちゃうような感覚を受けました。IRLにきて初めてのことですね。今回は見てのとおり、パノスにディスアドバンテージがあって、ダラーラからかなり遅れていました。予選の一発のタイムよりもレースでのタイムが遅くて、AグループとBグループといった、違うグループで走行しているような感じでしたね。周回遅れになることは予想されていたんですけど、なりそうでならないようにいろいろ努力しながらやっていました。スタートでポジションを上げられたのはすごく良かったです。スタートでトニー(カナーン)のように、右から左からという感じで抜いていったのは初めてだったんですけど、それが成功して自分でも成長したなと思いました。今日のレースはすごい難しかったですけど、とにかく完走できてよかったです。ナッシュビルでアクシデントに終わってたので、今回無事に次のミシガンにクルマをもっていけるのは大事なことですね。次のミシガンは自分達にアドバンテージがあるとは思わないですけど、最低でも同じくらいに戦えると思いますので、今回遅かった分をミシガンでしっかり挽回したいと思います」とレース後に語った松浦。昨年のミシガンではフロント・ローとなる2位からスタートしただけに、今度こそ上位フィニッシュを期待したい。
予選10位からスタートし、上位フィニッシュの期待がかかった安川。暑さを想定したセットアップだったが、昨日、雨が降ったせいか路面のコンディションが大幅に変わってしまい、レースが始まるとマシンのハンドリングは急激に悪化した。そのため、コースに留まるだけで精一杯という状況で周回を重ね、15位で完走するのがやっという結果になってしまう。「昨日とは大幅な変更をしていないんですけど、朝になったらコンディションが全然変わっていて。思いっきりアンダーが出るかと思っていたら、実際に走るとすごいオーバーでした。どのラインを通っても、旋回速度を上げていくといきなりマシンの後ろが横を向こうとするんです。最後の方は空気圧を調整して徐々に良くなってはいったんですけど、タイヤが少しでもたれてくるとすぐに滑ってしまうので、本当に最初から最後まで厳しいレースでしたね。次のミシガンはこのクルマじゃなくて、インディのときのTカー、新車なんですけどまだ一日か二日しか走っていない車に乗ります。チームもスーパースピード・ウエイは今年悪くないので、狙いどころかなと思います」と安川。昨日の予選後、レースではアグレッシブに走りたいと話していたが、再び我慢の走りとなってしまった。ミシガンではこれまでの鬱憤を晴らすような走りを期待したい。