INDY CAR

ダリオ・フランキッティが2位でゴール。Honda Indy V-8勢は6人がトップ10フィニッシュ

<Honda>
7月24日(日)・決勝 
サーキット:ザ・ミルウォーキー・マイル 天候:快晴 気温:36℃
100年を越す歴史を持つ、テクニカルな1マイル・オーバル、ザ・ミルウォーキー・マイルで行われたIndyCarシリーズ第10戦ABCサプライ・AJ・フォイト225は、太陽が照りつける暑さの中で行われた。スタート時の気温は36℃に達し、路面温度は44.5℃という高温になっていた。コーナーのバンクが9.25度と緩やかなためにマシンセッティング、そしてオーバーテイクの難しいコースでのレースは、ダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)が予選8位から6つのポジションアップを果たし、トップと0.3836秒差の2位でゴールした。優勝はサム・ホーニッシュJr.(マールボロ・チーム・ペンスキー)だった。
フランキッティはレース中盤の130周目に行なった2度目のピットストップから、225周のゴールまでを無給油で走る作戦に出た。170周目にほとんどのマシンがピットロードへと向かう中でコース上に留まり続け、Honda Indy V-8の燃費の良さを武器に勝利を狙ったのだ。しかし、終盤の180周目過ぎにアクシデントによって出されたフルコースコーションで後続との差が縮まり、目指す勝利を掴むことはできなかった。それでもフランキッティは、先週の優勝に続く2位フィニッシュにより、ポイントスタンディングをさらにひとつ上げ、チームメイトのダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)に68ポイント差に迫る2位タイとなった。
昨年度シリーズチャンピオンのトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)は、フランキッティと同じ作戦を採用して4位でゴール。ポイントリーダーのウェルドンは、予選4位からレース中盤にはトップを走ったが、170周目にピットへと向かい、最終的に5位でフィニッシュした。
ブライアン・ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)は12位スタートから6位、ヴィットール・メイラ(レイホール・レターマン・レーシング/Honda・パノス)は11位スタートから9位、そしてスコット・シャープ(デルファイ・フェルナンデス・レーシング/Honda・パノス)は13位スタートからは10位に入り、Honda Indy V-8勢はトップ10に6人が食い込んだ。
昨年、最後列スタートからトップ10入りを果たしている松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/Honda・パノス)は、今年も予選では20位となる苦戦を強いられていたが、レースでは安定したペースを保ち続けて着実にポジションを上げ、今回のレースでもっとも多い9つのポジションアップを果たして11位でゴールした。
予選で10位に食い込む好パフォーマンスを見せたロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド・レーシング/Honda・ダラーラ)は、暑さの中でハンドリングが悪化したために15位でゴール。女性ルーキードライバーのダニカ・パトリック(レイホール・レターマン・レーシング/Honda・パノス)は、126周目にアクシデントによりリタイアを喫した。
■ダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング) 2位
「サム・ホーニッシュJr.とチーム・ペンスキーは、僕らよりも速いマシンに仕上げていた。今日は完敗だ。彼らにおめでとうと言いたい。チームの作戦は見事で、終盤にトップに立つことができたが、燃費セーブを続けなくてはならず、逃げ切ることはできなかった。我々としては作戦も含めて、全力を出し切った。サム(・ホーニッシュJr.)が、ターン2でミスをしてトップに再び立った時には優勝も可能かと考えたが、彼は復活してきた。2位という良い結果を残し、ポイントをさらに重ねることができたので満足している」
■トニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング) 4位
「もっと良い結果をもちろん期待していたが、今日のレースでは4位でのゴールは悪くないものだった。その時その時で、おかれた状況ごとにベストの結果を手に入れることが大事だ。今日は本当に暑くて、レースは体力的に非常に厳しいものとなっていた。今までレースをしてきた中で、もっとも過酷だったとさえ言えるかもしれない。その上、路面がとても滑りやすくなっていたことも、レースを難しくしていた。そんな状況の中、またこうしてトップ5フィニッシュを果たせたことを嬉しく思う」
■ダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング) 5位
「今回もチームは素晴らしい力を安定して発揮してくれ、トップ5フィニッシュを果たすことができた。僕のマシンは優勝を狙えるレベルに仕上がっていた。それだけに、終盤に少しペースを下げてしまったのは残念だった。ミルウォーキーでは同じぐらいの速さを持っているマシンをパスするのが非常に難しく、終盤にどのポジションを走っているかが大きな意味を持っていた。今日のレースで僕は多くのラップでトップを走ることができていたし、サム(・ホーニッシュJr.)との勝負ができるものと終盤を楽しみにしていたのだが…。作戦面は自分たちのものがベストだったか、これからもう一度レースを分析し直す必要があるだろう」
■松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング) 11位
「厳しいレースになることはわかっていましたが、その中でミスすることも、マシンを壊すこともなく最後まで走り切ることができました。非常に暑い中でのレースで、体力的にもきついものがありましたが、11位で完走できたのは決して悪い結果ではないと思います。マシンのハンドリングは最高というレベルではありませんでしたが、まずまずのものに仕上がっていました。パノス・シャシーはダラーラ・シャシーに対してショートオーバルで、特に不利が大きくなっていますが、次のミシガンは高速コースなので、自分たちとしては良いレースを戦えるものと信じています」
■ロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド・レーシング) 15位
「予選からマシンのセッティングはほとんど変えていなかったのですが、昨日から今日にかけて路面のコンディションが大きく変わったためか、レースでのマシンはオーバーステアがひどくて序盤に大きくポジションを下げざるを得ませんでした。終盤までには何とかマシンを良い方向へと持っていくことができましたが、序盤に失ったポジションを挽回するのは難しかったですね。予選で10位に食い込めたことでチームのモチベーションも上がっています。次のミシガンではいい走りを見せることができると思います」
■ロバート・クラーク: HPD社長
「ダリオ・フランキッティは、フルコースコーション中の170周目にピットインを行わない作戦でトニー・カナーンともどもトップに立った。そこからのレースが最後まで燃費セーブモードで戦われていたら、我々が優勝することも可能だったと思われる。松浦孝亮は最後列からのスタートながら、苦しいハンドリングのマシンで粘り強いレースを見せ、11位フィニッシュを果たした。ロジャー安川も予選でのパフォーマンスが素晴らしく、チームの力が上昇してきていることを示した。ダニカ・パトリックはクラッシュを喫したが、それもまたひとつの経験だ。着実に成長を続け、マシンセッティング能力も高めている彼女は、シーズン終盤にさらに力を発揮してくることだろう」