INDY CAR

松浦孝亮、トップ10フィニッシュを惜しくも逃す11位でゴール

<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2005 IRLインディカー・シリーズ第10戦「ABCサプライ・AJ.フォイト225」
日程:7月22〜24日
開催地:ウィスコンシン州ウエストアリス
コース:ザ・ミルウォーキー・マイル
距離:1マイル(1.609km)×225周
■■■7月24日決勝■■■
天候:快晴/気温:36℃/時間13:45〜(日本時間25日午前3:45〜)
<決勝用マシンセッティングにこだわった3日間>———————
スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングの松浦孝亮は、ミルウォーキーで行われた第10戦「ABCサプライ・AJ.フォイト225の決勝で、グリッド20位という後方からのスタートにもかかわらず、11位でフィニッシュした。
IRLインディカー・シリーズ初開催だった昨年のミルウォーキーではパナソニックARTA/パノス・Hondaに乗る松浦孝亮は最後列スタートからトップ10フィニッシュを果たした。決勝用のマシンセッティングが良かったことと、松浦がアグレッシブな走りを続けたことで、難しいコースにもかかわらず大きな成果を挙げたのだ。
今年も松浦の予選結果は20位と芳しいものではなかった。しかし、それは予選日まで決勝用セッティングに昨年以上にこだわった戦いぶりを選んだからだ。
天気予報は、今年の決勝が異常気象と言えるほどの高温下のレースとなることを告げていた。路面温度が高くなれば、タイヤラバーが浮き上がって滑りやすくなる。その上、ミルウォーキーはフラットなレイアウトでもともとタイヤには厳しい。こうした条件下、いかに安定したペースを保てるマシンを作るかが大きな鍵になるとスーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングは見ていた。
<好スタートでポジションアップを果たす>————————–
決勝日のミルウォーキーは昨日の午後の大雨がウソのように朝から晴れ渡っていた。気温も午前中からみるみる上がっていき、レースがスタートする時には36℃にも達していた。昨日の雨雲が残していったのか湿度も高く、また、西から強い風が吹き付ける1日でもあった。
最後列20番グリッドからのスタートで、松浦は見事なダッシュを見せた。1周目に一気に4つ順位を上げ、さらに2周目にも1台をパスして15位へと浮上。そこからは安定したペースで走り続けた。スタート直後に大きく順位を上げた松浦だったが、追いついてきたトップグループにラインを譲るたびにラップタイムを落とさざるを得ず、レース中盤以降はなかなかポジションを上げることができなくなった。それでも松浦は我慢のレースを続け、トップグループにオーバーテイクを許す際にもできる限りタイムロスを少なくする走りを続けた。
<脱落者が出る中で集中力を途切らすことなく粘りの走行> ——————
暑さのために集中力を欠いて、あるいは、暑さで路面グリップが低下したためにレース中盤からはアクシデントを起こすマシンが何台か出て、ジリジリとだが松浦はポジションを上げていくこととなった。松浦は最後まで粘り強く走り抜き、昨年と同じトップ10入りは惜しくも果たせなかったが、パナソニックARTA/パノス・Hondaを無傷のままゴールまで運び、11位という結果を得た。マシンの状態はベストではなかったが、与えられたマシンの力をフルに引き出したからこそ得られたリザルトである。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
「チームで戦っている実感を得ることができたレースだった」
「IRLに来て初めて疲れたレースです。でも、フィジカル的にきつかったのではなく、暑さからくる疲れでした。パノスシャシーのショートトラックでの不利が今日のレースでは明らかになっていました。厳しいレースになるのはわかっていましたから、今日はとにかく最後まで走り切るつもりでいました。3連戦の最中なので、どうしてもクルマを壊したくなかったからです。昨年はここでクラッシュをしてチームとしてのリズムを崩してしまった反省があり、今回は絶対に完走すると決めていました。アクシデントを起こすと自分が怪我をしてしまう可能性もあるし、チームとしてもリズムが悪くなってしまうので、それだけは何としても避けたいと思っていました。スタート後の2周でポジションを大きく上げられたのは良かったと思います。右に左に抜いていくのはとても難しいのですが、初めてトライしてうまくいったので、自分自身の成長を実感することができました。マシンはまずまずのハンドリングになっていました。レースの途中で一時オーバーステア気味になったこともありましたが、ウェイトジャッカーなどの調整で対応できました。オーバーペースで走ってミスをしたり、アクシデントを起こしたりということがなかった。レース中のチームとのコミュニケーションも良く取れていました。チームで戦っている、というレースができるようになってきていますから、次のミシガンでは上位で戦えるはずです。今回の借りを返したいですね」
サイモン・ホジソン チームマネジャー
「コウスケは最後まで諦めない走りでチームを鼓舞してくれた」
「結果から見れば非常に悔しいレースとなったが、コウスケは素晴らしくアグレッシブな走りをスタートで見せてくれ、その後はずっと安定した走りを続けてくれた。苦しいレースではあったが、コウスケは最後まで諦めることはしなかった。終盤に速いラップタイムを刻んでおり、体力面でも全く問題はなかった。クルマのハンドリングはレースを通してほぼ安定しており、ピットストップでのマシンセッティングの大きな変更はなかった。今日のクルマは今日のラップタイムで走り続けるだけの力しか持っていなかったということだ。コウスケはマシンの力を引き出し続け、トップグループにオーバーテイクをさせる時も、イン側のラインを守ってタイムロスを少なくするスマートさも見せていた。苦しいレースを戦い抜き、我々は望める最良の結果を獲得したということだ。こうした粘り強く、ミスのない戦いぶりを見せ続けることで、チームもドライバーも力をつけていく。来週のミシガンでは良いマシンをコウスケに与えることができると確信している。いい戦いをミシガンでは見せることができるはずだ」