INDY CAR

真夏のシーズン中盤戦、松浦孝亮、15番手からスタート

<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2005 IRLインディカー・シリーズ第8戦「アーゲジェント・モーゲイジ・インディ500」
日程:7月2〜3日
開催地:カンザス州カンザスシティ
コース:カンザス・スピードウェイ
距離:1.5マイル (1.609km)
■■■7月2日予選■■■
天候:曇りのち晴れ 気温:27度 時間:12:45〜(日本時間:4日3:45〜)
<涼しい中で始まったプラクティス1回目で6位につける>——————–
もう真夏を迎えていると言っていいアメリカ。カンザス州カンザスシティといえば酷暑で知られる場所だが、2デイイベントとして始まったIRLインディカー・シリーズ第8戦は、意外にも涼しい中でのスタートとなった。プラクティス1回目が始まったのは朝の8時。空は灰色の雲が大方を占め、気温は22℃と半袖では肌寒いと感じるほどだった。 パナソニックARTA/パノス・Hondaを駆る松浦孝亮は、今週は2グループ目に組み入れられており、8時45分から45分間の走行を開始。ここで40周をこなし、25秒7199の自己ベストラップを最後の計測ラップに記録。22台出走中の6番手につける好調な滑り出しを見せた。
<プラクティス2回目にタイム更新は果たせず>—————————
45分間のプラクティスを終えた後、1時間半のインターバルで第2回目のプラクティスがスタートした。この時点でまだ空には雲が多く残っており、気温の上がり具合も緩やかだった。幾つものセッティング変更を繰り返しながら松浦は39周を走り、プラクティス2回目のベスト=25秒7813を32周目に記録した。ここでの順位は15番手。2回のプラクティスセッション総合でも15番手につけて予選に臨むこととなった。
<日差しが照りつける中での予選>————————————–
予選が始まったのは午後12時45分。この頃になってようやく雲はカンザス・スピードウェイ上空から消え、太陽の日差しが照りつけるようになった。気温は大きく上昇。カンザスシティらしい暑さの中で出走22台の予選は行われた。
松浦のアタック順は16番手。15人がアタックを終えた時点で、バディ・ライスが25秒4927を記録してトップに立っていた。オフィシャルからの合図を受けてマシンは威勢良くピットロードからコースへと進入した。計測1周目、松浦は25秒8042をマークした。ほぼすべてのドライバーが予選アタック2周目にベストを記録していたため、松浦にも2周目のタイム更新が期待され、それに応えて僅かながら速い25秒7855を記録した。走行終了時点での松浦のポジションは11位だったが、最終的な予選順位は15位となった。
<決勝用セッティングには自信あり>————————————
カンザス・スピードウェイは、コーナーにつけられた15度のバンク傾斜角、十分に広いコース幅、スムーズな路面と、高速レースを実現するための要素がすべて揃っている。松浦の予選順位は15位だが、プラクティス2回でレースに向けてのマシンセッティングはかなり良いレベルに仕上げることができている。1台ずつ着実にパスしていけば、300マイルのレースでは十分に勝機も、上位フィニッシュのチャンスもある。
明日の午前8時15分から行われるファイナルプラクティスでは、最後のセッティング確認を行う。そこで得られたデータを基にレース用セッティングは決定される。ファイナルプラクティスよりも決勝での気温は確実に高くなるため、その変化による影響も熟慮し、トラフィック内で速いマシンに仕上げなくてはならない。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
「予選はだいたい自分の想定したものと同じ。明日のファイナルプラクティスで最後の煮詰めをやりたい」
「予選タイムはだいたい自分の想定したものと同じでした。もちろん、もっと上のグリッドを獲得したかったんですけどね。ハンドリング自体はとても良かったんですが、スピードが上がらなかった。単独走行でのスピードが上げられないんですよ。それが僕らのチームはずっと解決できていませんね。今回はかなり色々なことを試したんですけど……。プラクティス1回目の途中でポンッとタイムが上がったのはドラフティングを使ったからで、マシンの状態自体はあの時点で向上はしてませんでした。でも、レース用のマシンは良いものに仕上げることができるはずです。今日の時点でトラフィックの中でのハンドリングは決して悪くなかったですから、明日のファイナルプラクティスでは最後の煮詰めをやりたいと思っています。15番手スタートでのレースでもトラフィック内でのハンドリングが良ければ順位を上げていくことは可能です。明日どれだけのマシンにできるか、ファイナルプラクティスが重要になりますね」
<サイモン・ホジソン:チームマネジャー>
「カンザスはコウスケの好きなコース。1台ずつ着実にパスして、最後には上位争いを」
「今回はプラクティスで1回のセットアップ変更に対し、走る周回数を5ラップ程度と少なく設定している。5ラップの間にコウスケはマシンがどういう動きをしているかを判断し、良いか悪いかの結論を出さなくてはならない。プラクティスの時間が短いため、10ラップも走って判断を下していては多くのセッティング変更を行えない。プラクティスは2回ともイエローが多かったが、少ない周回数でピットに呼び入れていたため、多くのセッティングをトライすることができた。コウスケは与えられた時間内でマシンを的確に評価し、エンジニアとともにセッティングを向上させていった。走り始めのセッティングが良くなかったことが、今回の予選結果には大きく響いている。何度かの変更を施したところでマシンは良くなり、その後はライドハイトを上げることでドラッグを減らしていき、予選用セッティングを決定した。予選順位は我々の期待していたものよりも悪い。もちろん決勝の方が予選よりも重要であることに間違いはないが、今や予選でのパフォーマンスを犠牲にすることなどできない。IRLインディカー・シリーズの競争は非常に激しいものとなっており、ひとつでも前のグリッドからスタートする意味は大きい。カンザスは予選順位がさほど大きなウェイトを占めないタイプのコースではあるが、テキサスほどにポジションアップが容易なコースでもない。カンザス以降のレースには、より予選ポジションが重要となるレースが幾つもある。カンザスのコースはコウスケにとって好きなものだし、このようなコースでどういうマシンが速いかを彼は充分に理解している。明日のファイナルプラクティスでレース用セッティングをベストなものとし、1台ずつ着実にパスしていって上位争いを最後には行っているというレースを戦いたい。そのためにも、レースを通してトラフィックの中でも安定したマシンに仕上げることが必要だ」
<鈴木亜久里:チーム代表>
「ファイナルプラクティスでどこまでマシンを仕上げられるか。上位まで上げてこられるはずだと期待している」
「シーズン途中でエンジニアを代え、チームマネージメントも代えた。良い方向に進むためにいろいろと工夫をしているのだけれど、少し歯車が噛み合っていないところがあるようにも見えている。この体制変更はトム・アンダーソンと孝亮が話し合って決めた。チームの内部で充分に検討をして、少しでもやりやすい方向へ進もうと考えた結果だから、いずれ良い結果が出ればいいと考えている。シーズンの途中でこれだけ大きな変更をするというのは、なかなか思い切ったことだから。今回は新体制での2戦目。まだチームの歯車が少しズレているという気がする。15番手からのスタートだけれど、孝亮が言うには、単独でのタイムはともかく、パックの中では安定もしているし、速さもそこそこあるということだから、どれぐらい上がって行けるかだね。1台ずつ抜いて上がっていくこと。ピットストップは今年に入って良くなっているから、その面ではほとんど心配はしていない。最終プラクティスでどこまでトラフィックの中でのクルマを仕上げられるかが重要だね。レースの流れがどういうものになるかはわからないけれど、上位までポジションを上げてこれるはずだと期待している。今回はダニカ・パトリックが初のポールポジションを獲得した。僕は何年か前のサラ・フィッシャーのポールポジション獲得も見ているんだけど、女性のポールはあれ以来でしょう。ダニカの活躍によってアメリカの一般の人たちもインディカー・レースに興味を持ってくれている。彼女が頑張ってくれることでIRLインディカー・シリーズ自体の人気も上がってくれればいいと思う」