INDY CAR

松浦孝亮、終始トップグルーブでレースを展開。14番グリッドから追い上げ、今季ベストの7位でフィニッシュ

<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2005 IRLインディカー・シリーズ第6戦「ボンバーディア・リアジェット500」
■■■6月11日決勝■■■
天候:晴れ 気温:31℃ 時間:19:45〜(日本時間:12日9:45〜)
<シリーズのトレードマーク、ナイトレースでの開催>——————–
テキサス・モーター・スピードウェイは“IRLインディカー・シリーズの第二の故郷”というニックネームも持つ。昨年までは年に2戦が開催されてきたが、今年は1戦のみが行われる。その第6戦は、シリーズのトレードマークのひとつであるナイトレースとして開催した。
昨年、松浦孝亮はルーキーとしてテキサスでの2戦に臨んだ。6月の第5戦では予選4位の好ポジションからパナソニックARTA/パノス・Hondaでトップを走り、10月の最終戦では予選15位から7位まで順位を上げるファイターぶりを見せた。しかし、両レースともメカニカルトラブルによるリタイアを喫した。
参戦2年目を迎えた松浦は、マシンに対する理解度をより一層深め、オーバル特有の戦い方もマスターしている。スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングは、パノスシャシーのポテンシャルをさらに引き出せるようになり、Honda Indy V-8エンジンも今シーズンに入ってさらに性能が向上した。松浦、そしてチームは、すでに二度のレースを経験し、その両レースで好パフォーマンスを見せたテキサスでの戦いに、大きな期待を持って臨んだ。
<決勝前のセッティング変更で息を吹き返す>—————————-
松浦は獲得したスターティンググリッドは14番手。このグリッドはチームの期待を下回っていた。しかし、テキサス・モーター・スピードウェイは、インディカー・シリーズで最もクロースフィニッシュの多いコースであることが証明しているように、フィニッシュまでレースがもつれることが多い。そのため、トラフィック内で安定したハンドリングを実現できれば最後尾グリッドからでも優勝のチャンスはある。
スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングは、エンジニア、ドライバーたちがミーティングを行い、レース前にマシンセッティングを変更して決勝に臨んだ。その結果、パナソニックARTA/パノス・Hondaは息を吹き返し、今年もドラフティングを終始使い合う接近戦がゴールまで続いたが、松浦は24度のハイバンクを集団で疾走し続ける力強い走りを見せ続けた。
<コンペティティブなレースを戦い抜き、断ち切ったここまでの悪い流れ>–
7列目外側グリッドからスタートを切った松浦は、7周目に出された最初のフルコースコーションでピットストップを行ったため、14位から17位へと後退した。しかし、レースが再開されるとすぐさまトップ10へとポジションを上げ、さらにスピードを上げてトップ5まで食い込んでいった。その後、昨年度シリーズチャンピオンのトニー・カナーンと激しくポジションを争い、5番手のポジションを奪い取るシーンもあった。レース終盤にはイエローが出されず、最後の2回のピットストップはコース上がグリーンのまま行われた。松浦は残り40周を切った168周目にピットイン。しかし、コースに戻った時にトップグループとの間隔が開いていたため、最後は優勝争いに絡むことはできなかった。
結果、松浦は今シーズンのベストリザルトである7位でゴールした。しかし、さらに重要なことは、コンペティティブなバトルを戦い抜き、これまでの悪い流れを断ち切れたことだ。次戦リッチモンドからは実力をフルに発揮し、常にトップ争いに食い込んでいくことができる。そう確信できるレースを戦うことができた。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
「今後はこのようなレースを続けなければいけないと思います」
「トップ5を走り続けるなど、久しぶりにいいレースができました。最後にトップグループから引き離されたのは、ピットインの際に目の前にいたダニカ・パトリックが遅かったのと、ピットアウト時に攻め過ぎてコースを飛び出しそうになったためです。それでも、今回は久しぶりにレースを目いっぱい戦えましたから後味がいいです。序盤にトラフィック内でのアンダーステアが少し出ていましたが、ピットストップでフロントウイングを2回に分けて2クリック上げてもらうことで、それからはずっと安定して走ることができました。ニュータイヤを履いた時が特に速かったですね。30周を過ぎたころからは少しスピードが落ちたので、ウェイトジャッカーや、ロールバーを操作しながら走り続けました。それから単独走行でのスピードが少し足りず、1対1の勝負になった時に苦しかった。最後にダン・ウェルドンに抜かれたのもこのためです。この点は改善しなければなりません。結果は7位と今ひとつでしたが、チーム全体としてもほとんどノーミスで走り切れたし、終盤までトップを争えた。頑張ることができたレースだと思います。今日のようなレースを続けていれば、タイミングが合った時にトップ3フィニッシュもできるし、優勝だって狙えます。今後はこのようなレースを続けなければいけないと思います」
<サイモン・ホジソン チームマネージャー>
「ピットからの指示がなくてもコウスケは燃費をセーブして走っていた」
「最後のピットストップで右フロントの交換が若干遅かったのと、ピットアウト時にマシンを滑らせてしまったために先頭集団から離されてしまった。しかし、コウスケは素晴らしい走りを200ラップにわたって見せてくれた。トラフィックの中では落ち着いた走りを続け、ピットからの指示がなくても燃費をセーブしながら走っていた。彼のキャリアの中でベストなドライビングだったと言えるだろう。決勝に向けてマシンにセッティング変更を施した。車高やコーナーウェイトなど、予選用のセッティングに近づけてレースに臨んだ。ファイナルプラクティスではトラフィック内でのスピード不足が見られたが、レースではそうした症状に悩まされることはなかった。そして、コウスケはアウト側のラインで自分が速いことを見極めると、とてもスマートなレースを続け、ゴールまで走り抜いてくれた。チームとしても大きなミスをせずに戦うことができた。エンジニアのジョン・ディックは、単独走行でのスピード不足が今日の問題点であったとガッカリしていたが、レース中のセッティング調整もパーフェクトだったし、今日見られた弱点を解決すべく、さらにデータの解析を進めると約束してくれた。このようなレースを年間17戦で行わなければならない。今後は、トップグループでの戦いを見せ続けるつもりだ」
<トム・アンダーソン マネージング・ディレクター>
「昨年のケンタッキーの4位を上回るレース内容だった」
「テキサスでのコウスケ、そしてクルーたちの戦いぶりにはとても満足している。最後のピットストップで大きく遅れたのは、前を走っていたドライバーが遅かったためだ。あれだけで5秒ものロスを強いられた。そのため、最後にトップ争いへと加わることは、残念ながらできなかった。しかし、後方グリッドながら上位へと短時間でポジションアップし、そこからトップ集団についていくスマートな戦いぶりをコウスケは見せていた。コウスケは燃費も非常に良く、勝利の狙えるポジションを保ち続けていた。コウスケのベストリザルトは昨年のケンタッキーでの4位であり、それを上回ることができなかった。しかし、今日のレース内容は、ケンタッキーを大きく上回る素晴らしいものだった。スターティンググリッドが悪かった上に、レース中に後方へと下がったりした中、トップ5までポジションを上げ、トップグループで堂々とした戦いを続けたのだ。これまでにないハードなレースを戦い抜き、コウスケは7位を得た。第7戦リッチモンドからは、上位で戦い続けることができるはずだ」