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●IRL R4 もてぎ【決勝日】:フォト&レポート

<US-RACING>

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唯一のシボレー・ユーザー(エンゲは昨日のクラッシュでレースを断念)だったシェクターが151周目からレースをリードし、2位との差をどんどん広げていく。これまでにも何度かレースをリードすることがあったシェクターだったが、優勝までには至らないことが多く、今回こそ優勝するのではと思った残り2周、燃料切れでコース上にストップしてしまう。そこでトップに躍り出たのが、燃料をセーブし続けたウエルドンだった。「無線で言われた数値を守って走り、少しフラストレーションもたまったけど、こうして日本で2連勝できたことは誇りに思っている。燃料をセーブし、(前のピットで換えなかった)タイヤも大事に使わなければならなかったから、厳しかった。途中、トニーを抜いたときは無線で『なにやってんだ!』って思いっきり怒られたよ」とウエルドン。開幕4戦で3勝目を獲得したのは、IRLでも初めてのこと。ポイントランキングで2番手のカナーンに46ポイントもの差を広げることになった。

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決勝日も快晴となったツインリンクもてぎ。約7万6000人のファンが見守る中、午後1時にレースがスタートした。初のフロント・ローからスタートしたパトリックは、ターン2でホーニッシュJr.をパスし、トップとなったところでクラッシュが発生。17周目のリスタートでもトップをキープするが、19周目には2番手に後退した。しかし33周目に再びホーニッシュJr.を交わしてトップになると、46周目までキープ。トータルで32周のリードラップを記録し、IRL参戦4戦目、そしてテクニカルなコースと知られるもてぎで、自身最高位となる4位でフィニッシュした。

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初年度同様、クラッシュが多発したもてぎ。オープニングラップでは、ルーキーのバックナムがターン2でスピンを喫し、オーバルの洗礼を受けることになった。これにディクソンが巻き込まれて早くも2台が戦線離脱。12周目のリスタートではバロンがターン4でスピンし、またもコーションとなる。その後、コース上の障害物除去のため2回のイエロー・コーションとなり、114周目には安川のエンジン・ブロー。そして123周目にはフランキッティがターン4で、139周目はカーパンティエがターン2、199周目のレース終了直前にもカストロネベスがターン2でクラッシュしてしまった。合計8回、レース周回数の約4分の1となる59周もの間イエロー・コーションが発生する波乱に満ちたレースとなったが、今年から新たに設置されたセーファー・バリアのおかげで、ドライバーに大きなケガは無かった。

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「決勝用のマシンは自信があります」と語っていた松浦だったが、スタート後に勢い余ってスピンしそうになり、そこから歯車が狂い始めていく。ピットでは燃料補給がうまくいかず、大幅に時間をロス。序盤に周回遅れとなってしまい、最後まで挽回できなかった。「今までにない悔しいレースでした」と声を震わせる松浦。「マシンはハンドリングもよく、仕上がりは開幕戦のホームステッド以上だっただけに、ほんとうにくやしい」。終盤、燃費レースとなった中でペースを上げ、一時7番手まで浮上。コーションが多発したレースで、その時点で再びイエローとなれば更なるポジションアップも期待できたが、すべてにおいて、今日のレースは運に恵まれなかった。「次のインディ500では、今回の経験を学んでミスをなくしたいと思います。また全力で戦うつもりです」

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安川にとっては3年目の日本だったが、この週末は初日からマシンが原因不明のトラブルに見舞われていた。決して完璧ではないマシンで、安川はスタート後すぐにポジションアップを果たし、松浦ともバトルを展開。日本人同士の順位争いに、エキサイトした観客も多かったことだろう。「序盤はハンドリングも悪くなく、いけるかもしれない」と本人も思っていた矢先、エンジン・トラブルで無念のリタイアに終わってしまった安川。「最初のコーションでピットインする作戦で3位に上がり、そのままイエローになったので、運も味方していると思っていたんですが……。ほんとうに悔しいです」と落胆する安川だったものの、「次のインディ用のマシンは500マイル・スペシャルとしてすでに作ってあるので、早く乗ってみたい」と気持ちを一新。2年連続10位から、今度こそ勝利を目指す。

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ホンダ・ホスピタリティで行われた2度目の優勝記念パーティ。勝利したドライバーを祝福するケーキが用意され、昨年同様、ウエルドンがカナーンとフランキッティから手荒い祝福を受けた。ケーキに顔をうずめられ、その後はシャンペン・シャワーを浴びせられたウエルドン。会場は飛び散ったケーキとアルコールの匂いが充満して凄い状況となったが、祝福に駆けつけた人々の笑顔で会場中が満たされていた。

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パーティでは日本人ドライバー2人のスピーチが始まったが、ケーキとシャンペンまみれのウエルドンに近づこうとしない松浦。実はこのとき裏の方でカナーンがシャンパンをもってスタンバイしており、すでに松浦は逃げ腰になっていた。そして松浦が話している途中でカナーンが動き出した。逃げる松浦だが、大勢の人がいるなかで逃げる場所も無く、しっかりびしょびしょになってしまう。来年こそ日本人ドライバーが、ぜひとも勝ってシャンペンとケーキの洗礼を味わってほしい。