INDY CAR

松浦孝亮、予想外の苦しい展開の中ラストの猛チャージで9位フィニッシュ

<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2005 IRLインディカー・シリーズ第4戦「ブリヂストン・インディジャパン300マイル」
■■■イベントデータ■■■
日程:4月28〜30日
開催地:栃木県茂木町 ツインリンクもてぎ
距離:1.5マイル(2.414km)
■■■4月30日決勝■■■
天候:快晴 気温:26℃ 時間:13:00
<9番手グリッドからのスタート>—————————————
ゴールデン・ウイーク初開催となったブリヂストン・インディ・ジャパン300マイルは、公式日程の3日間すべてが素晴らしい好天に恵まれた。栃木県にある本格的オーバルコースのツインリンクもてぎには、今年も7万6000人という大観衆が結集した。
決勝日のツインリンクもてぎは、予選日に比べて湿度も低く、とても過ごしやすい、まさにレース日和と呼ぶべきものとなっていた。コンサートやアクロバット飛行など、賑やかなアトラクションの後、午後1時にレースはスタート。パナソニックARTA/パノス・Hondaを駆り予選9位につけた松浦孝亮は、序盤から確実にポジションを上げる戦いを目指してカーナンバー55のコクピットに納まった。
<序盤はトップ10をキープ>——————————————–
パナソニックARTA/パノス・Hondaのハンドリングは、今回も競争力のある仕上がりとなっていた。スタート直後は若干のアンダーステア傾向にあったが、ペースを大幅に落とさなくてはならないほどではなく、松浦はトップ10をキープし続けた。しかし、1回目のピットストップでトラブルが発生。松浦は1周の周回遅れに陥った。トップを走行していたダリオ・フランキッティが松浦の前へとピットアウトし、その後にフルコース・コーションが出されたことから、松浦はフランキッティをパスして周回遅れを取り戻すチャンスを失った。そして、トップグループのバトルを妨害しないよう、リスタート時にはラインを譲らねばならず、さらに苦しい戦いを強いられることとなった。
<終盤に激しくチャージ>———————————————-
スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングと松浦孝亮は、タイミング良くフルコース・コーションが出るチャンスを待ち続けた。マシンの仕上がりは非常に良く、トップグループスピードを保つこと自体には何の問題もなかった。周回遅れさえ挽回できれば、上位でフィニッシュすることは可能だとの確信があった。
チャンスが訪れたのは、もうレースが終盤に入ってからだった。135周目、松浦は給油とタイヤ交換のためにピットインを行った。ところが、ここで松浦とチームが想定していたよりも1周早くコントロールタワーにグリーンフラッグが出された。ピット作業を終えてペースカーの後ろに並んだ車列の最後尾につけるはずだったが、松浦がコースに戻った時には、すでに先頭集団は半周以上も先を走っていた。それでも、ここから松浦は目覚しい勢いでアタック。7位までポジションを上げて見せた。
意外なことにレース終盤にはフルコース・コーションは出されず、ゴールまで残り8周で松浦は燃料補給のためにピットイン。これで再び1ラップの遅れとなったが、結局9位でゴールすることになった。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
「今日は本当に悔しいレース。最初のピットストップまでが大きなポイントだった」
「9位は悔しい結果だし、今日は本当に悔しいレースになってしまいました。序盤のリスタートでは、ターン4でスピンしそうになり、一気に数台にパスされて、ペースを崩してしまった。あの時点でトップに半周ほどの後れをとって、ピットストップではさらに大きなタイムロスがあった。トップを走っていたダリオ・フランキッティが、自分の前にピットアウトしてきてしまったため、序盤にして周回遅れになってしまいました。ダレン・マニングの後ろについてピットインして何秒かのロスがあり、給油に時間がかかったことでさらに何秒かロスを重ねてしまいました。その先は作戦をチームが考え、何とかして周回遅れを脱出しようとしていました。でも、作戦をうまく利用できるチャンスが全然来ないままレースは進んで、終盤にやっとリードラップに戻れたのですが、ゴール前にもう一度ピットストップをしなくてはならない展開となって、9位でゴールすることになりました。マシンはずっとハンドリングが良く、終盤のチャージでは7位までポジションを上げることができました。序盤は少しアンダーステアがありましたけど、ピットストップでウイングを調整してからは、ターン1、ターン2で前車の後ろにピタリとつけてもハンドリングが悪くならず、ターン3への進入で相手をパスして行くことができていました。マシンの仕上がり具合は、開幕戦のホームステッド・マイアミ・スピードウェイ以上でした。しかし、リードラップに戻ってからのレース展開も、自分たちの味方にはなってくれませんでした。今回のレースは、最初のピットストップまでが大きなポイントとなりました。自分のミスがあり、チームのミスもあった。それが重なったことで周回遅れになってしまったのです。次はインディ500です。インディでは予選でキッチリとトップ5に入りたい。そして、レースに向けても強いマシンを作り上げ、トップグループで戦いたいと思います。今回は足元をすくわれるようなレースになってしまいましたが、自分もチームも今回の経験に学んで、ミスをなくして戦います。マシンは4レースすべてで良いものにできていますし、自分自身も乗れています。流れは絶対に良いんです。インディ500でも全力を出し切りますので、応援をお願いします」
<鈴木亜久里 チーム代表>
「ラップタイムのバラツキとピットのミスが重なり、自分たちの流れにならなかった」
「今日のレースは最初のスティントがすべてだったね。ラップタイムにバラツキがあった。そこにピットでのミスが重なって、それで早い時期に1周の周回遅れとなってしまった。そこからも、この遅れを挽回できる展開にはならなかった。最初のピットで後れをとるまで、そこまでの段階で全部の流れが逆に行っていたと思う。イエローの出るタイミングひとつとっても、自分たちのプラスにはならなかった。マシンのセットアップは良かった。それを活かしてトップと同一周回に戻れたわけだし、終盤のコウスケはいい走りをしていた」
<サイモン・ホジソン チームマネジャー>
「コウスケは周回遅れになっても諦めなかった」
「悔しいレースになった。コウスケは本当にコンペティティブなペースで走れていた。十分にトップ争いを行なえるだけのマシンを今回も我々は用意できていたということだ。しかし、最初のピットストップに時間がかかり、周回遅れに陥ってしまった。その1周の遅れを取り戻そうとがんばり続けたが、チャンスはついに巡って来なかった。終盤にトップと同一周回に戻ることができたが、タイミングが遅過ぎたし、オフィシャルがグリーンフラッグを振るのが1周早かったため、ここからさらに追い上げてポジションを上げることは果たせなかった。IRLには、常に同じルールでリスタートを切る、安定した運営を望みたい。コウスケをピットインさせた後、少なくともあと1周はリスタートが切られないはずだった。しかし、我々がピットインした直後のラップでグリーンが出されたため、コウスケがピットアウトした時には半周ほどもトップグループから引き離されてしまっていた。ピットストップで発生したトラブルは、燃料補給に時間がかかり過ぎるというものだった。フューエラーは燃料が満タンになるのを目で確認するのだが、それをチェックした後にホースを抜くのに少しばかり時間がかかってしまった。燃料タンク側をチェックしているクルーは、もうホースを抜いても良いという指示を出していたけれど、フューエラーは自分の側で確認をしていた。このトラブルによって、タンク側とフューエラー側には、小さいものだが誤差があることが今回発見された。それがわかったことは大きなプラスだ。コウスケは周回遅れになっても諦めなかった。私は彼のそういうところが好きだ。遅れを取った直後は、エキサイトしてブレーキングが激しくなるなど、彼が熱くなっていることが感じられたが、何ラップかすると冷静さを取り戻し、そこからのペースは速く、そして安定していた。今シーズンの我々は、今までのところ運に恵まれていない。次のインディ500では、今回までの4戦と同じくマシンを競争力のあるものに仕上げ、目指す通りの戦いぶりを見せたい。コウスケのランキングは13位だが、1回の上位フィニッシュで大きくそれをアップさせることは十分に可能な状況だ」