Hiroyuki Saito

The Beer Store

レストランも閉店するような時間帯にカナダのトロントに到着したのでね、ビールでも買って晩ご飯はファスト・フードで簡単に済ませっかと思って、まずはガス・ステーションによくあるコンビニのようなお店へと行きました。
 
でも、確かカナダのガス・ステーションではビール売ってないんじゃなかったかな・・・・・・と、悪い予感が脳裏をよぎったのですが、案の定、行ってみると販売していません。それじゃあ、スーパーか日本でいうコンビニ的なお店でも探すかとナビで検索し、走り回ってやっと見つけたお店でも、やはり販売していませんでした。
 
お店の人に聞くと、もうちょっと北にいったところにリカー・ストア(酒屋)があるよって教えてくれたんですが、もう午後11時近かったのでね、時間も時間だしビールの購入はあきらめることにしました。
 
ビールが飲めなくて残念無念でしたが、腹は減っているのでとりあえずファスト・フード的なところを探しました。するとホテルに戻る途中になんかしがないピザ屋を発見したのでね、ピザを1枚食べてホテルに戻りましたよ。
 
翌日、取材が終わってから今日こそはビールを買わないとなって、ホテルへ帰りながらナビでスーパーマーケットを検索。アメリカにあるメジャーな“Target”や“Walmart”に“Kmart”なんかがあるもんだと思っていたら、ここはカナダだからそれらが一向に表示されなくてね。
 
ナビが一生懸命探し出すリストを見るんだけど、カナダでの“Target”的なメジャーなスーパーマーケットは知らないし、どれがいいのかわからず迷っていると、ホテルに近づくうちになんと“Walmart”がリストに表示されたのでした。
 
そういえば“Target”もカナダには進出しているから“Walmart”があってもおかしくないなってちょっと安心し、ここならビールが売ってるべなって店内を探索しました。しかしビールの販売コーナーを見つけることはできず、なぜかワインが申し訳なさそうな小部屋で売っているだけでしたよ。
 
がっくりと肩を落としたのですが、もうここまできたらなんとしてもワインといわずビールが買いたくなってね。そこでワインを売っていた女性に「ビールが買いたいのだけど、どこで買えるかわかりますか?」って、ある意味失礼な質問をしたら「ビールは、リカー・ストアとかでしか買えないのよね・・・・・・あ、そういえばビア・ストアが近くにあったわ」と、その女性が思い出してくれました。
 
「その道を南にいってね、ハイウエイにのって西に向かってひとつ目の出口を降りるとあると思う」ってな感じで、親切に教えてくれたんですね。お礼を言って早速、その女性の言うとおりに向かうと、ハイウエイを降りてすぐひと目で「ここでビールが売っていますよ」とわかるそのお店を発見。
 

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ビア・ストアっていうから、ビールを売っているリカー・ストアで、店名は他にちゃんとあるんだろうなって思っていたら、本当に“The Beer Store”って名前だったからちょっとびっくりしましたよ。
 
ともあれ、やっとビールが買えると“Walmart”の女性に感謝しつつ、小躍りしながらお店に入りました。店内にはその名のごとく、確かにビールしか販売されていません。しかも入って右側には飲み終えたビール瓶を回収するカウンターがありました。
 
そこで回収した瓶が、金券的なものになるのか、直接お金になるのかはわかりませんが、空き瓶を持ってくる人たちは後を絶ちません。リサイクルが盛んなようです。僕も子供のころ、ビールやコーラのビンを近くの酒屋に持っていってね、小銭に替えてもらった記憶があるけど遠い昔の話ですね。今も日本では換金してくれのでしょうか。
 

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まあ、それはさておき、店内はそのようなコーナーと、ビールが販売している冷蔵の陳列棚とで構成されており、それ程広くはありません。しかもメジャーなビールはすべてシックスパック(6本)か箱買いからのスタートといった具合です。
 
これだけ求めていたものに囲まれると、なんかビールが黄金の山にも見えてきてね、目がちかちかしてきますよ。しかも小さな冷蔵の陳列棚には地ビールが1本ずつ購入できるコーナーがあり、ちょっと興奮までしてきました。
 
冷静さを取り戻し、よく店内を見渡すとリサイクル・コーナーの壁には、なんとカナダのビールメーカーのラベルがメーカーごとにずらりと並べてありました。左側には“The Big Ten”と表示された下に、モルソン、カナディアンといったカナダを代表する大きめのラベルがあり、その右側には約270種の地ビールを含めたブランドの小さいラベルが表示されていました。
 
たぶん、そこに表示されているのは全部あるよってことなんでしょう。まさに“The Beer Store”と謳っているだけはあると、妙に納得した反面、これだけあるとね、うれしんだけど、優柔不断だからどれを買えばいいのかわからなくなってしまうから大変。
 
壁のラベルを見てから、パックや箱の入った陳列棚にいって、今度は1本ずつ購入できる小さな陳列棚であれでもないこれでもないと、軽いめまいに襲われながら店内をそれこそ迷える羊のようにうろうろと徘徊して回ります。
 
そろそろ店員にも「あの人、ビールを買うのになんでそこまで悩んでいるのかな」って、怪しまれるくらいの時間がたったので、こりゃ、消去法でいこうと決断しました。まず、壁に表示されているブランドのビールに関しては、オーダーするのが面倒なので却下。パック買いのコーナーのビールは、メジャーなビールが多かったのでこれも却下。
 
それじゃ、やはり、せっかくだから地ビールが並ぶ陳列棚でいろいろな地ビールを購入しようと(そうなるだろうとはじめからうすうすは思っていたのですが)、それらとのにらめっこが始まりました。それでもね、やはり種類が多いので迷っていると、やっと出口へと誘う地ビールを発見。
 

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今回、開催されたホンダ・インディ・トロントでは、ビア・パートナーとしてサーキット内で販売する地ビールメーカーがあったんですね。その広告がサーキット内に張られていて、たまたま覚えていたブランドがあったんです。
 
その名も“Toronto Amsterdam Brewery”っていう地ビールメーカー。なんかトロントとアムステルダムのコラボレーション的なネーミングが気になっていて、ぜひ飲みたいと思っていたのです。
 
でもね、さすがにサーキットで飲むわけにもいかなかったので、これはラッキーとばかりに手に取り、それと他に気になる地ビールを選んで、やっと“The Beer Store”という迷宮から宝物を見つけ出し、脱出することができたのでした。なんてな。
 
もし、あなたがビール好きでしかもトロントに来る機会があって、空港周辺のホテルに滞在し(レンタカーがあればなおよし)、ホテルの部屋でゆっくりと地ビールを飲みたいならば“The Beer Store”は興味深いお店だと思いますので、ぜひ。
 
さてさて、購入したそれらの地ビールのひとつ、“Toronto Amsterdam Brewery”のネーミングの由来、そして味についてはね、まあ、勘のいい人なら察しがつくかと思いますが、次回改めてお伝えしたいと思いますよ。