Hiroyuki Saito

カナダの日本食レストランにおける和食進化論 −エドモントン後編−

メニューをざっと見た後、とりあえずベトナミーズかジャパニーズにするかを決めることにした。ベトナミーズの方がどちらかというと魅力的なメニューの内容だが、このレポートの本題でもある和食の進化が、どこまで進んでいるのかを調査しなければならない。後ろ髪を引かれつつもジャパニーズを選ぶことにした。
 
ジャパニーズの項目には、ロール系を中心としたお寿司、ビーフ、チキンのテリヤキと天ぷらなどを含めたコンビネーションのBOXセットや、ヌードル(うどん)などがあった。しかし何より残念だったのは、私が各地で個人的に進化の対象としている“カツ丼”が、メニューリストに登録されていなかったことだった。
 
となると、表記されているものから選ばなければならないが、どれも私の食指が動くようなものは、残念ながら見つけることができなかった。やはりベトナミーズか? と、思っていた矢先、チーフ・スペシャルのランチ・メニューが、最後のページに1枚、挟まれていること発見。
 

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“Singapore Noodles”(カレー風味のビーフン)、“Young Chow Stir Fried Rice”(海老、豚、チキンが入った贅沢なチャーハン)にも正直、心を惹かれたのだが、それらは次の機会にし、2項目あるジャパニーズのメニュー内容を読んだ。
 
“Japanese Teriyaki Udon”(照り焼きうどん)と、“Sizzling Japanese Teriyaki Tofu(照り焼き豆腐)”があったが、内容はどちらも野菜などと共にテリヤキ・ソースを絡めて炒めたという感じに説明してあった。
 
どちらにするか若干迷ったが、豆腐よりはうどんのほうが満足感を得られるはずだし、その“Japanese Teriyaki Udon”の内容説明の最後に“Yummy!(おいしい!)”という言葉が記してあったのが、最終的な決め手となった。
 
注文を聞きにきたアジア系のウエイターにまず、このランチ・メニューの料理を注文できるか聞くと、OKということだったのでそれを頼む。待つこと10分。とうとうその“Japanese Teriyaki Udon”がやってきた。
 
このレストランのマネージャーと思われるアジア系のウエイターが、30センチほどの大皿に盛られた料理を「ビーッグ」といって私の目の前に置き、立ち去った。銀色の金属製の箸が和食というセンスからは若干離れているものの、料理に関しての見た目は悪くない。
 

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セロリ、にんじん、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、マッシュルーム、ピーマン(青、赤)、牛肉、海老6匹と具材も豊富で、実に食べ応えのありそうな内容だ。ただ、全体に絡んでいるテリヤキ・ソースが少し多めだったのか、お皿と料理の間にじわーっと広がってはいる。
 
早速食べてみると、オタフクのお好み焼きソースを若干薄めたような甘いソースの味が口の中に広がった。丸麺タイプのうどんも茹ですぎ炒めすぎでもなく、ほどよいこしがあり、うまい。野菜に関しての炒め方も全体的に火が通っていて歯ごたえも良い。ただ、牛肉に関しては若干硬かったのは否めなかった。
 
想像以上に違和感なく美味しくいただき、結局、大皿にあんなに盛られていた料理のなかで残ったのは、身を取られた海老の尾だけだった。この料理に関して一言いうならば、もちろん“Yummy!”という言葉だけだろう。
 
中華料理の影響を受けているというベトナムで、麺類を炒める料理はポピュラーだし、麺とソースの種類が違うだけで簡単に調理できるこの“Japanese Teriyaki Udon”が美味しいのは、それほど考えなくても十分理解できる。
 
私の知っている限り、醤油ベースの焼きうどんが一般的だが、このエドモントンではテリヤキ・ソースをベースにして調理されているという進化を発見することができた。しかしもしかしたら日本のある地方では、まったく同じような料理が普通にあるかもしれないな、と考えをめぐらせる料理となった。
 
そんなことを感慨深く思っていると、髪の毛を後ろで結わえた少し体格の良い、黒いエプロン姿のアジア系の若い女性が、厨房の方からバーカウンターのほうにやってきて、冷蔵庫からMGDビールを取り出し、持って戻っていった。
 
すると今度は、ちょっと疲れた感じの白いコック姿のアジア系のおじいさんが、バーカウンターにやってきて、MGDビールとカナディアン・ビールを同じ冷蔵庫から2本取り出すと、アジア系の若い女性と同じようにビールを持って厨房へ。
 
午後8時30分を過ぎてはいたが、私以外に客もいないので、ビールでも飲みながら賄いでも食べているのだろう。私も残っていた“アレクサンダー・キース”を飲み干し、会計を済ませてホテルの部屋へ戻り、残っていた仕事を片付けて眠りについた。
 
翌日も行こうかと思ったのだが、残りの2日間とも仕事が長引き、結局は到着日に行ったファスト・フードが続くことになったので、このレストランでベトナミーズとカナディアンを食すことはできなかった。
 
このホテルの宿泊代次第だが、来年も再び“CAJAVI RESTAURANT”に来ることができることを願い、カナダでの日本食レストランにおける和食進化論を終えたい。次回のレポートに関しては未定だが、また、お伝えすることができればと思います。