Hiroyuki Saito

ケンタッキーで見た虹とそのタイミングについて

すっかり秋めいてきた日本を脱出して到着したロサンゼルスは、また夏に戻ったかのような暑さでしたよ。もちろん日本のような蒸し暑さではなくカラっとしているのでね、心地よい暑さとでも言えばいいでしょうか。
 
年中サマーなロサンゼルスに一泊してケンタッキーに到着。ところがここはもうね、秋を通り越して初冬って感じの寒さです。Weather.comで今週末の天気を調べたらなんと明日の最低気温が2度! しかも最高気温は14度だって。そんで日曜日は最低気温6度、最高気温が17度ってね、どういこうとなんでしょ。もうホテルの部屋では暖房をいれないと寒くてだめだし、ケンタッキーってこんなに寒かったかなって、到着日から不安になっていますよ。
 
ともあれ、今回ロサンゼルスからシカゴ経由でシンシナティに入ったのですが、シカゴからシンシナティ行きの飛行機が40分ほど遅れて出発しました。当然、到着も40分ほど遅れ、荷物をピックアップして外に出たらレンタカーのシャトルバスがタイミングよく外で待機していたのでね、それに飛び乗りました。
 
すると空港からクルマを借りる予定のBudgetレンタカーまで行く道中、空には晴れ間が見えているものの、雨雲も確かに空港上空に広がりだしていてね。案の定、雨がぼつぼつと音を立てながら、けっこうな勢いで降り出してきちゃって。到着するまでに止まないかなって、祈ってはいたのですが、逆に勢いが増してきたんです。
 
シャトルバスは僕が借りるクルマが停まっている場所まで行ってくれたのですが、結局雨の勢いは衰えません。仕方なく雨に濡れながら荷物をトランクに入れ、それじゃクルマに乗るかってときになって、雨足が急に弱まってきたんです! しかもクルマに乗ると、雨はもう小雨になってね。なんなでしょう、このタイミングの悪さは……と思いながらナビでホテルを検索、セットしてBudgetをあとにしました。
 
あーあ、結局濡れちゃったなって思いながらホテルに向かう道中のことでした。空港周辺の国道を走っていると、湿った気持ちの僕の前方に、どす黒い雨雲をバックにしてみごとな半円の虹が、ケンタッキーの空に浮かび上がっていたのです。
 
しかもその濃いくっきりした虹の外側には、薄くにじみ出るもうひとつの虹が。そうダブル・レインボーです。これは珍しいなとクルマを道路の脇に止め、写真でも撮るかといつものコンパクトカメラで撮影し始めると、また雨の勢いが増してきました。
 

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しかしコンパクトカメラでは虹の全貌が撮影できず、せっかくだからと雨が強くなる中、なるべく濡れないように仕事用の一眼レフカメラEOS 1D Mark(CMOSセンサーサイズ29.7mm x 18.6mm) とレンズをキャリーケースから取り出して、撮ろうと思ったら17−35mmの広角ズームレンズで全貌を捉えることができない! 慌てて14mmの単焦点広角レンズをセットして、これでもかと思ったらそれでもだめでね。
 
それではと36mm x 24mmフルサイズCOMSセンサーのEOS 1Ds Markにセットして、やっとカメラを構えてファインダーを覗いたら、雲が流れて左側の地面から伸びているはずの虹が欠けちゃって。雨に打たれながらセットしたのにね、その全貌を捉えることができず、タイミングをしっかり逃してしまったんですね……。
 

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でもね、今回、このタイミングを冷静に考えると、シンシナティ行きの飛行機が遅れなければ、雨に濡れずにホテルまでドライコンディションのままチェックインでき、早めのディナーをとってもう寝ているはずでした。
 
しかし、そう簡単に見ることができないであろう、ダブル・レインボーは飛行機が遅れなければ見ることはできなかったはずだし、その完璧な姿が映し出されていたのはたかだか5分程度です。そう考えると雨に濡れてもね、そのタイミングに見ることができたのは、なんだか不思議な偶然というか必然にも思えるわけです。
 
ある意味ではこの虹を見るために、飛行機が遅れたんじゃないかと思えるまでになったのでね、こうやって時差ぼけの勢いをかりながらfrom USを書いてしまいましたよ。
 
ともあれ、雨に濡れても絶妙なタイミングで見ることができたので、ハッピーだったのですが、その完璧な光景を撮り逃し、ここに掲載できないのはカメラマンとして非常に残念だなって思ったケンタッキーの夕暮れでした。
 
次回、またダブル・レインボーに遭遇できたら再びお伝えしたいと思いますが、次回があるかどうかは天候次第。でもね、次こそはちゃんと撮影したいと思いますよ。