Hiroyuki Saito

気がつけばカンサス

気がつけばロングビーチという予定だったのですがカンサスです。もてぎのレースが予定通り土曜日に開催されれば、日曜日に日本を発ちアメリカには時差の関係で日曜日の朝に到着する予定だったんですけどね。
そうすればレースだけでも取材できる予定だったのですが、皆さんもご存知のとおり、もてぎが一日順延となってチャンプ・カー最後のレース取材をすることはできませんでした。
残念だったのですが、その分、日本で貴重な瞬間に立ち会うことができました。ダニカ・パトリックの初優勝を撮影することができました。

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ダニカがマシンを止めてコックピットから出るときには、あの大きな瞳からすでに涙が溢れ出ていました。
ほとんどが男性というモータースポーツの世界で、負けないように気丈な態度をとり続けていたダニカも、やはり女の子だったんですね。まぁ、もちろん、男性でも初優勝すればうれしくて涙するものでしょうが、それとはちょっと違う、なんというか泣きじゃくる女の子の涙だったんですね。
インタビューでも言っていたのですが、マシンを降りて優勝を実感したあと、一人の女の子に戻って泣いてしまったと。

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お母さんと抱き合っている姿はなんというか、うれしくて泣いているというのもあるのですが、やっと勝てたという安堵感、そして緊張感が抜けて涙がどんどん出てきたような感じもしました。
いつかは優勝すると思っていましたが、まさかもてぎかと。アメリカのメディア、ファンにとってはその瞬間が日本だったのでちょっと伝わりづらく残念だったかもしれません。しかし、そういう意味でも日曜日にもてぎに来た日本のファンの方々は、ダニカの初優勝の場所に居合わせたので、とてもよかったのではないでしょうか。

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ロングビーチにいけなかったのも、ダニカの初優勝を撮影するためだったんだなって、改めて思いますよ。
そのダニカですが、優勝後はヘリコプターで成田まで飛び、なんとロジャー・ペンスキーの自家用ジェットでアメリカに帰っていました。そしてロングビーチのテレビ放送ブースにゲストとして呼ばれ、インタビューされていました。
もともとそういう予定だったんでしょうが、僕も一緒に行きたかったですよ。まぁ、無理ですけどね。
そんなこんなでどうせ間に合わないのならぎりぎりまで日本にいることにしました。飛行機のキャンセルから予約のし直しとばたばたしましたが、なんとか昨日ロサンゼルスに到着しました。
カンサスには予定通り午後10時30分に到着したのですが、それからレンタカーを借りてホテルに向かい、到着するとすでに午後11時30分を回っていました。
ご飯も食べたかったのですが、とりあえず、チェックインするためにロビーを見ると、サウスウエスト航空のチェックイン・カウンター並み(ようは長い列です)に行列ができていたのです。ざっと40人くらいでしょうか。冗談だろうと念のためロビーに確認しに行くと本当に皆さんチェックインを待っている状況でした。
行列はラーメン屋くらいにしておいてよと思いながらもこれは埒が明かんと、ご飯を食べにいきました。ホテルに向かう途中にあった“RUBY TUESDAY”という、まぁ日本で言うファミレスですね。そこがまだオープンしていることを祈りつつ急ぎました。

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午前12時前でしたが、週末は午前12時までやっていたので滑り込みセーフです。なんとか食事をすることができ(アメリカのファミリーレストランとしては結構おいしい)、そろそろ行列もなくなっているだろうと思ってロビーにいったらまだ10人くらい待っていたんですね。
まあ、お腹もいっぱいなので苛立つこともなくチェックインをし、「予約した齊藤です」というと、「Oh Great」と言われました。何でかなぁと思いながらも何でこんなに並んでいたのか聞くと、ユナイテッドの飛行機がキャンセルになり、その乗客がこのホテルに泊まることになったということでした。
並んでいた人たちはイギリス英語訛りだったので、何かのツアーかと思っていたのですが、国に帰る人たちだったのでしょうね。こんな時間だし、レンタカーもない状況なのでどこにもいけず、ピザを頼んでロビーでビールを飲み、ちょっとしたパブ状態になっていましたよ。
午前1時を過ぎてなんとか部屋で落ち着くことができました。もうちょっと早めの飛行機にすればよかったなと後悔した寄航になりました。おまけに時差ぼけで眠れませんよ。