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チャンプ・カー・ワールド・シリーズ 第8戦 エドモントン[決勝日]フォト&レポート

<US-RACING>

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3年連続チャンピオンのセバスチャン・ブルデイが本領を発揮した。ここ3戦は2度もリタイアするついてないレースが続き、ポイント・リーダーからも陥落したブルデイだったが、今日はチャンピオンらしい走りを披露する。2番手スタートから抜群のダッシュを見せると、大外からポール・ポジションのウィル・パワーを抜き去り、1周目で早くもリードを奪った。1回目のピット・ストップは不運にもキャサリン・レッグと交錯。接触は避けたが、タイム・ロスを喫し、再びパワーの先行を許す。しかし、パワーが2回目のピット・ストップに入ると、猛然とスパートをかけ、ブルデイがピット作業を終えたときには、悠々とトップにたった。ここからはブルデイの独壇場となり、今シーズン4回目のトップ・チェッカーを受けた。「面白いレースだったよ。でも、いつものようにタフだったね。ここは体の負担が大きいけど、その分勝ったときはほんとうに気持ちが良いんだ。みんなはレースが終盤へ向かうにつれ、疲れを見せていたように思う。マクドナルドのマシンが速かった。それが今日勝てた理由のすべてさ」と大喜びのブルデイ。タイトルを争うドーンボスとパワーが後方に沈んだため、ブルデイはポイント・リーダーに返り咲くとともに、一気に20ポイントの差を築いた。前人未到の4連覇に向け、再び大きく前進し始めた・

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ブルデイの速さに為す術がなかった昨年のウイナーであるジャスティン・ウイルソン。1回目のピット・ストップで首尾よく2番手を手に入れるが、トップのブルデイにはじりじりと溝を開けられてしまう。持ち前の堅実な走りで2位を守り抜き、8戦連続のトップ5を果たすが、今日はブルデイの背中が遠かった。「長くてタフなレースだったね。凄く楽しかったよ。僕たちは全力を尽くしたけど、ほんの少し足りなかったんだ。CDWのチームは週末を通して素晴らしい仕事をしてくれた。CDWのためにまたこのエドモントンで、表彰台フィニッシュを飾ることができて嬉しいよ」と残念がるウイルソン。ポイント・ランキングはトップのブルデイを29点差で追いかけ、まだまだタイトル戦線に生き残れる位置だが、タイトル獲得のためにはそろそろ1勝がほしいところだ。

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今シーズン2回目の表彰台を獲得したルーキーのグラハム・レイホール。スタートではニール・ヤニの先行を許すも、トップ5をキープする力強い走りを披露する。常に上位を狙える位置につけていたことで、前を走るヤニがピットで痛恨のエンジン・ストールを喫すると、4番手に浮上。トップだったパワーのリタイアにも乗じて、52周目には3番手まで順位を上げた。その後は、昨年アトランティックでチャンピオンを争ったシモン・パジノウを押さえ込み、そのまま3位でフィニッシュした。「メディ・ゾーン・チームにとってとても安定した週末になったね。今日のレースもまた良いパフォーマンスだった。うまくスタートが切れたと思ったけど、ジャスティンに並んだら、ニールも彼の内側にいたことに気づいたんだ。だから、レースの前半は彼らをずっと追いかけていた。それからできるだけ燃料をセーブしていたら、僕たちの思い通りの展開になったよ」と話すレイホール。前回ヒューストンで表彰台を獲得したときは、父親で3度のチャンプ・カー・チャンピオンであるボビー・レイホールがいなかったが、今日は父親が見守るなかでのポディウムとなった。ヒューストンで2位、今回は3位に入った。残すところは表彰台の頂だけだ。

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初日の予選で負傷したトリストン・ゴメンディの欠場が決まり、PKVレーシングは、チャンプ・カーのアトラクションのひとつであるF1-2シーターのドライバーを勤めている、マリオ・ドミンゲスを急遽起用した。ドミンゲスにとっては第4戦でフォーサイスのシートを失って以来、4戦ぶりの実戦復帰となる。この天から舞い降りたチャンスをなんとかものにしたいドミンゲスだったが、レース序盤の34周目に、無常にもマシンから白煙が上がり、あえなくそのままマシンを止めてしまった。自分を売り込む絶好のチャンスを思わぬ形で奪われてしまった。ゴメンディは今週再検査を受け、ケガの具合が思わしくなければ、週末のサンノゼ・グランプリを回避する可能性もある。だが、その空いたシートにドミンゲスが再び収まるかは、微妙なところだ。

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そのF1-2シーターで今日ステアリングを握ったのは、なんとF1とチャンプ・カーの両タイトルを獲得した伝説の名ドライバー、マリオ・アンドレッティ。今週末はミド-オハイオでIRLがあり、いつもなら溺愛する孫のマルコと一緒にIRLのパドックを闊歩しているはずだが、今日はグランド・マーシャルを務めるためにチャンプ・カーを訪れていた。往年の活躍を思い起こさせるシルバーのヘルメットを被り、かつてチーム・オーナーとドライバーの関係にあったポール・ニューマンを後ろに乗せてコース・イン。わずかな時間ではあったものの、何度かスピンするほど攻め込み、パワフルなV10エンジンのF1を満喫したようだ。ところで、今日のIRLのレースでは溺愛するマルコが横転する大クラッシュを演じてしまった。今週はIRLに行かなかったのが正解だったかも知れない。