<US-RACING>
ロング・ビーチ3連覇を達成したセバスチャン・ブルデイ。伝統の市街地コースで、3年連続チャンピオンが完全復活を遂げた。ポール・ポジションのブルデイは、スタートからハイペースを保ち、2位以下をどんどん引き離してゆく。レースを完璧にコントロール化におき、3回あったリスタートもまったく問題なく決め、今シーズン初勝利をポール・トゥ・ウインで飾った。「マクドナルド・チームにとってとてもうれしい結果になったよ。みんなが冬の間にがんばって働いてくれたから、ラスベガスではミスばかりして最悪の気分になった。今日の結果はチームの努力のおかげ。ドライブするのがほんとうに楽しかったんだ」と優勝の喜びを語るブルデイ。よほど嬉しかったのか、優勝後のドーナツ・ターンを3回も披露していた。これでチャンピオンシップ・ランキング3位に浮上。ブルデイの復活で今シーズンのタイトル争いはますます面白くなりそうだ。
負傷欠場のトレイシーに代わって、急遽出場が決まったオリオール・セルビア。14番手スタートから2位を獲得する大健闘を見せた。昨日の予選は慣れないマシンにてこずったが、フォーサイス・チームと夜遅くまで作業したことで、今朝のプラクティスでは8番手まで調子を上げてレースに挑む。29周目から上位陣の最初のピット・ストップが始まると、1回目のコーション中の10周目にピット・ストップを行っていたセルビアが、33周目でトップに浮上。前が開けたことでセルビアは、軽くなった燃料タンクのアドバンテージを活かしていっきにスパートをかけ、2回目のピット・ストップの後には、2番手を走るタグリアーニの前でコース・インすることに成功した。ブルデイには追いつけなかったものの、しっかり2位をキープしてフィニッシュ。表彰式で高々とトロフィーを持ち上げて見せた。「ここに居ることが信じられないよ。金曜日にロング・ビーチへ来たときは、レースに出られるとは思っていなかったから、とても嬉しいんだ。それに、僕を頼ってくれたチームのみんなにはいくら感謝をしても足りないくらいだよ。そしてファンのみんなにも感謝しなきゃいけない。先週のラスベガスのパドックでは、どこにいてもファンが僕に声をかけてくれたよ。金曜日もそうだった。そのおかげでモチベーションがあがったんだ」と優勝したかのように喜ぶセルビア。見事にこのチャンスをものにしたことで、今後のシート獲得に向けて弾みがついたことだろう。
2戦連続のポディウム・フィニッシュを飾ったウィル・パワー。昨日の会見では「ミスのない走りをする」という言葉通り、危なげのないレースで3位に入る。2番手からスタートしたパワーは、一時7番手まで順位を落としてしまうが、迅速なピット作業で4番手まで浮上すると、最終ラップのターン1でタグリアーニを豪快にパス。同じくタグリアーニをかわして迫り来るウイルソンを振り切り、3位まで順位を取り戻してフィニッシュした。「この週末は物事が良い方向に進んでいたね。ほんとうに良い結果だよ。チャンスがあってタグリアーニを抜くことが出来た。クリーンなパスだったね。今日のレースは大変だったから、先週より満足感があるんだ。良い結果で終われて、ポディウムに乗ってポイントもとれた。次のレースが楽しみだよ」と喜びを語るパワー。今日のレースでチャンピオンシップ・ポイントを25ポイント積み上げ、ポイント・リーダーの座をしっかり守っている。
新生Rスポーツが4位と5位に入り、前戦ラスベガスはトラブルでリタイヤしたジャスティン・ウイルソンが4位でフィニッシュした。「今週末はうまく行ったよ。先週のラスベガスでは苦労したけどね。良いレースだったし、面白い一日だったよ。レース前半は戦略に集中して燃料をセーブしていた。それが成功して1回目のピット・ストップで、ポジションを上げることができたね。レース後半はマシンのセット・アップを改良し、全開で走ることに集中していたんだ」と今日のレースを振り返るウイルソン。「良い位置でフィニッシュしてポイントも獲得できたから良かったよ。どんどん進歩しているから、来週ヒューストンでは表彰台フィニッシュを狙いたいね」と次戦の展望を語った。
スタート・ダッシュを決めて3番手に上がったアレックス・タグリアーニ。1回目のリスタートも抜群の出だしを見せ、パワーをかわして2番手まで浮上する。終盤はペースが上がらず、セルビアの先行を許し、最終ラップにはウィル・パワーとチームメイトのウイルソンにまでかわされてしまうが、2戦連続のトップ5フィニッシュを果たした。「Rスポーツ・チームはとてもすばらしいんだ。ここ2戦でマシンに大きな問題がひとつもなかったのは、彼らのおかげだよ。マシンは良かったけど、表彰台フィニッシュには届かなかったね。でも大事なのはチャンピオンシップの2位にあがったことだよ。いつもレースの優勝を狙っているけど、1番大事なのはチャンピオンシップを獲ることだから、ポイントを獲得するのが重要なんだ。今週もまたポイントを獲れたから、Rスポーツではすばらしいシーズンが期待できそうだよ」と、この結果にもタグリアーニは満足の様子だ。表彰台は逃したが、しっかりポイントを稼いだタグリアーニ。タイトル争いのダークホースとなるかもしれない。
2回目のコーションでピット・ストップを見送り、10番手から一気にトップに立ったルーキーのトリスタン・ゴメンディ。リスタート後は激しく揺さぶりをかける、フランスF3チャンピオンの先輩であるブルデイを抑え込み、13周にわたってトップを快走する。68周目にピット・ストップを行い、結局11位に終わるが、デビュー2戦目のルーキーが3年連続チャンピオン相手にまったく動じない走りを披露した「チャンプ・カーのレースをリードすることは、僕にとって新しい経験となったね。まだまだこのマシンについて学ばなくちゃいけないけど、全体的には成長できたと思うよ。レースをリードし、完走できたのは良かったけど、結果が良くなかったね」と悔しがるゴメンディ。この日4番目のベスト・タイムを記録したことで、再びポテンシャルの高さをアピールできた。あとは結果を残すだけだ。
デビュー戦で2位に入る活躍を見せたロバート・ドーンボス。今週末はつきがなく、初日はトラブルに見舞われ、2日目の予選ではガス欠でストップする。予選アタックを続けることが出来なくなってしまうが、6番手のスタート・ポジションを確保してレースに臨んだ。スタートは無難にこなして6番手をキープするドーンボス。ところが、1回目のピット・ストップでエンジン・ストールを喫して後退し、終盤にはギアがスタックするトラブルが発生する。ドーンボスは手負いのマシンをなんとかフィニッシュまで運び、4周遅れの13位でレースを終えた。「今日はがっかりだね。スタートが上手くいったから、安全に良いリズムで走ろうと思ったんだけど、最初のピット・ストップでマシンがストールしてしまった。そこから復帰するのは難しかったよね。できるだけのポイントは獲得したから、今から来週のヒューストンに集中するよ」と話すドーンボス。ヒューストンでの復活を誓う。
決勝日も朝から快晴となったロング・ビーチ。レースが始まる午後からは雲が広がったものの、時折太陽を覆い隠すだけだった。朝のうちは16度だった気温も、レース前には24度まで上がり、昨日同様過ごしやすい一日となる。決勝日のグランドスタンドは満席となり、年に一度のスピードの祭典を見ようとコース内外に人が溢れ、賑わいは最高潮に達していた。33回目の開催となったロング・ビーチ・グランプリは、今年も大成功を収めたようだ。
ロング・ビーチのオフィシャル・ビールを務めているメキシコのテカテ。今年もいろいろな場所にブースを出展し、テカテの看板もコース内外に多くみられた。名物となっている総勢20名のテカテ・ガールも会場を回り、テカテ・ビールのプロモーション活動に大忙し。集団で移動する彼女たちは、どこへ行っても注目の的だった。
表彰式でドライバーにトロフィーを渡すプレゼンターは、毎年市長が行う慣例となっているが、今年は前日のプロ・セレブリティ・レースに参戦した、『スター・ウォーズ』監督で知られるジョージ・ルーカスが手渡した。ロング・ビーチの市長であるボブ・フォスターは、2位のセルビアにトロフィーを手渡し、優勝チームへのトロフィー授与もルーカスが行うとても豪華な表彰式となった。